『云之羽』 中国ドラマ 鑑賞記録
2023年7月に始まった『长相思』があまりにも素晴らしくて、余韻から抜け出せず現在2周目中です。
当分 古装劇は観られそうもないわ~
など言いつつ、24話という短さに釣られてうっかり視聴したこちら(笑)
でもこの24話、ちょっと詐欺?w だって1話が長いのなんの! ほとんど60分以上あるような。45分換算だと30話は超すのではないかしら、、
総体的な感想としては、まぁ面白かったといえるのだけど、個人的にはとても特殊な印象の作品でした。
そんなあれこれを書いてみたいと思いますが本作、日本ではとても人気ありました。なので大好き!という方は読むのをお控え頂いた方がいいかもしれません。だいぶ辛口な文章になりそうなので。
ネタバレはありますが、正直このドラマのネタは多少バレても視聴に影響はないかもしれないです(笑) 最後以外は!
概要
主役は上の画像のお二人。张凌赫 演じる宮門の四公子 宫子羽と 虞书欣演じる無鋒の刺客 云为衫。宮門と無鋒とは敵対関係にある。
宫子羽は冒頭で執刃と呼ばれる宮門門主に就任した、はず、だが兄弟から横槍が入ってしまう。その兄弟とは腹違いの兄 宫尚角。演じるのは 丞磊。時代劇でままみられる公子たちの跡目相続問題が勃発だ。
宫尚角 は既に通過している3つのテストを 宫子羽もパスせねばならないことになる。
そんな中、無鋒から嫁候補の体で送り込まれたスパイ 云为衫と 宫子羽は早々に恋仲となる。いや正確には 宫子羽の一目ぼれかな。云为衫の気持ちは任務との兼ね合いで最後まではっきりとは示されない、という設定。
何しろ定期的に情報を奪って無鋒に報告し解毒剤をゲットしなければ、飲まされたヤバい薬(何かの卵入り 怖)が徐々に身体を蝕んでいくのだから。愛とか恋と自由とかいってる場合ではない、はずだ…
そして 云为衫と同時に無鋒から送り込まれたスパイ 上官浅(演じるのは 卢昱晓)は兄の方 宫尚角の嫁候補となり、二組の男女と、宮門 VS 無鋒、宮門の覇権争いを軸にその他宮門のその他兄弟や、裏山と呼ばれる管理組織、無鋒の上下関係(魑 魅 魍 魎)など入り乱れ、わけ分からない(いや、謎に満ちたというべきか)混乱の様相で話は進んでいく。
文句なしの映像美!
このドラマを支えている要素の一つは間違いなく全編を華麗に彩る映像美だろう。
水滴。風。葉っぱ。
アクションのカメラワーク、スローモーションを多用した水流のような映像、スタイリッシュなカット割りに思わず目を奪われる。
聞けば、 顾晓声とクレジットされている監督は『晴雅集』(陰陽師 とこしえの夢)の 郭敬明なのだそうだ。なるほど画面がそっくり。(脚本も同じく)
わらわら登場するイケメンたち
本作を大いに底上げしているのは次々と登場するイケメンたちではあるまいか。枚挙に暇がないとはこういうこと?!
この点はおそらく多くの方が賛同してくださるのではないかと思う。
ほとんど私はお初にお目に掛る方々であったが、美しいだけじゃなくて随分と演技もよかった。さすがは中国、いくらでも実力ある美形がいるんだなぁと感心するばかり。
上の画像二人の他にも、宫子羽の忠臣 金繁を演じる 孙晨竣、宫尚角の義弟 宫远徵役 田嘉瑞、裏山の雪宮の雪重子を演じる 林子烨、同じく花公子の梁雪峰、他
好みによって選び?放題?!な充実ぶりである。
理解しがたい展開や、筋の通らない筋書きがあったとしても、この映像の美しさ、竹の葉が風に舞う中、剣を交えるイケメンたちには思わず有難う!と感謝してしまうのだ。
上官浅と宫尚角
そしてメインの二人の影を薄くしてしまったのがこちらの二人である。主役の二人(宫子羽と 云为衫)はいつの間にか唐突に想いを寄せ合うようになっていたが、こちらの二人はいつどこで何がどうなっていたのか、最後まで判断つかない。なのに二人が一緒にいると周囲に特別なオーラに満ちたような空気を醸す。これがいわゆるCP感というものか!と納得だった。
そもそも相対する組織の二人だから、そうすんなり恋が成就する訳がないのである。お酒を酌み交わし食事をしていても、そこは駆け引きの場だ。そういう基本設定に忠実な演出と演技が、この二人の場面だけきちんと描かれていたように思う。
なぜここだけ? おそらくこの二人の演技力が半端ないからなのだろう。いつも潤んだ瞳で湿度高めな目線を交わし、思わせぶりな口調や繊細な手の動きが美しい。花の種類を通して愛を表現したりして、やたらと情緒たっぷりなのである。
彼らがいてくれたおかげでわたしはこのドラマを完走できた。なので今後はしっかりお二人の俳優に注目していく所存。
脚本の矛盾
本作、本国での評価はわたしが目にした限りではあるが高いとはいえなかった。脚本がまずい、と。監督はあちらではいわくつきの方なのでその影響もあるだろう。
対して日本では、これもわたしが感じた限りだが大変に好評だったようだ。
この温度差はいったい何だろう。どこからこんな差異が生まれるのか。
そこが個人的に一番 本作を特殊に感じ、興味を持った点だった。
エンディングに関しては両国とも総じて評価が低かったようだ。が、日本では最後の部分は忘れましょう!というコメントが多かった(笑)
途中何度も脱落しそうになっていたわたしは、むしろあのエンディングは想定内。この脚本の手法から行けば何でもアリだと思っていたから、さもありなんという感じだった。
脚本のツッコミどころといえば挙げるとキリがないのだが、例えば
嫁候補にもなろうという家の双子として生まれた 云为衫は、いったい何のために、何故、幼少時から劣悪な環境で過酷な訓練に耐えられたのか? 任務を全うせねば自由を得られないどころか命も危うかったはずだが元気に宮門から出ていけるのはおかしくないか?
終盤で指南役(鴉)たちは弟子である 云为衫らへの愛を吐露するが、そんな甘々な感情であのスパルタ訓練を全うできたとは思えないが?
雾姬の悲惨な最期と無罪放免の 云为衫、同じ無鋒からの刺客と判明した両者の扱いの差は一体?
主の危機に身を挺して出云重莲を確保しに行き瀕死で帰還した 金繁を待っていたのはピンピンしてる 宫子羽だったり?
等々、思わずオイ オイ オイ オイ … と口走ってしまう穴だらけのプロット満載が気になって、気になって。
そもそも設定の根幹である宮門と無鋒。その双方で生まれ育った男女が組織への忠誠と恋の狭間で葛藤し自らの人生を選び取っていく話ではないのか。
なのに、そんな過去や大儀よりも目の前の愛に翻弄されてしまう彼ら。もしかするとわたしが脚本に感じた矛盾、それと同じあるいは似たものを本国の人も感じていたのかも、しれない。
底流に流れているべきものの存在を確認できぬまま目を引く美しさに気を取られて表面を流されていく居心地の悪さ。
「ほらね、あなたも結局こういうの好でしょ?」と画面の向こうにしたり顔で笑う誰かの顔が見え隠れする気持ちの悪さ。
状況を打開するために本人たちが苦悩し選択するのではなく、見せ場を作るために力技で状況を捻じ曲げてしまう脚本。少しぐらい矛盾や整合性に欠けていても面白さを優先する、乱暴な手法。
そのアラが目につく前に、華麗な映像とメンズの美で綺麗にラッピングしてしまう。それを誤魔化しと感じるか、そんなことは気にせず流れに身を任せられるか。
そこが手放しで面白いと思えるかどうかの分かれ道だったのかもしれない。
けれども、しかし、かといって、面白くなかったか?と聞かれれば
まぁ普通に面白くはあったかな
と答えるしかない、不思議なドラマ。
結論的には、男2女2カップルは大変素晴らしく、イケメンの力はやはり絶大で、映像は美しかった、ということになるかな。
なんだか妙に筆が乗ってしまい、長文になりました。
本作を面白く鑑賞された方、気持ちよく賞賛できなくてごめんなさい!
未視聴の方は試しに観てみてもよいかもしれません。
わたしの意見は国内では極めて少数派らしいので、面白いと思われる確率は高いです(笑)
拙い文章をお読みいただきありがとうございましたー!