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いつの間にかカベセオが楽しみになった話

アルゼンチンタンゴの話です。
カベセオとは、アルゼンチンタンゴのダンスの場・ミロンガで、目線だけで踊りたい相手を踊りに誘うことを指します。
ミロンガでは、3〜4曲が1セット(1タンダと言います)になっていて、タンダとタンダの間の30秒くらいのつなぎ時間(コルティーナと言って、タンゴ以外の音楽を流します)にカベセオを行います。

カベセオは主に男性が主体となって女性に目線を送るのですが、女性はその人と踊りたければ目線を合わせ、お互いに頷いて確認をとると、男性が女性を迎えにいきます。
(混雑してるミロンガでは、実は自分の隣にいる女性とカベセオしていたという場合もあるので、男性が近づくまで待つ方が誤解が少ないです。)

踊りたくない場合は目線を合わせなければ意思が伝わるので、直接相手を拒絶したことでギクシャクすることもない便利な仕組みになっています。
(やんわり拒絶する女性の意思を汲み取らずに目の前まで来て直接誘う人がいますが、私はカベセオで完結したい派なので、そういう場合は笑顔で首を横にふって返しています。)

カベセオの仕組みは好きなのですが、実は私、このカベセオがあまり得意ではありませんでした。

私のカベセオ進化史
レベル1
ミロンガデビュー仕立てでお誘いもあまりないので、わずか30秒のコルティーナ(お誘い時間)では全身のアンテナを張って、視線を感じとろうとする。
視線を感じたと思っても、隣の人へのお誘いだったりするので、誰を誘っているかの見極めを学ぶ。

レベル2
だいぶ知り合いも増えて、決まって誘ってくれる人が出来てくる。
踊りが上達していくにつれて、誘ってくれるリーダーが増えるので、誰でも彼でもカベセオを受けていると、一晩で全員とは踊れない状態になる。
この時期から、独りよがりのリーダーとはあまり踊りたくなくなり、カベセオを避ける術を学んでいく。

レベル3
ミロンガで踊る相手を選ぶようになり、踊ってみたい相手も出てくるが、誘ってもらえず行き詰まる。
自分をレベルアップさせてリーダーの注意をひくのは必須だが、他の人と踊っているときに視線を感じるものの、実際には誘ってもらえない。

実はレベル3でだいぶ長い間悩んでいました。
そして自分はこんなもんなんだろうかと諦めかけていた時、今のパレハと組んですぐに言われた言葉がこちら。

「君、すぐにいつもの人達と踊りすぎ。君を誘いたい人がいても、隙がないよ。」と。

パレハが言うには、リーダーが初めて踊る相手を誘うとき、経験のあるリーダーほどフォロワーのレベルを事前に観察して、フォロワーが無理なく踊れるような音楽のときに誘いたいそうです。
で、私はと言うと、私にとって踊りやすい音楽ほど踊りたい欲が高まり、いつもの人達とすぐに踊ってしまっていました。(盲点...)

レベル4
踊りは音楽を表現するものという意識が芽生え、音楽によっては踊りたい/踊りたくない相手が出てくる。
そして、あることをキッカケに、自分から「カベセオしてもらうことを仕掛ける」ことを学ぶ。

カベセオしてもらいたい人に誘ってもらえる率があがる仕掛け

ある晩のミロンガでの出来事。
フロアで踊りながら、やたらと視線を感じてふと顔を上げると、見かけたことのないリーダーが真っ直ぐにこちらを見ていました。
私と目が合うと、そらすことなく、むしろさらにじっと目で追ってくる。
数秒の出来事でしたが、そのリーダーのことが一瞬で印象に残りました。

そのタンダが終わってすぐのコルティーナ。
先ほど目があったリーダーが気になって目で探すと、がっちりカベセオしてきていました。

普段はフロアで踊っている様子を観察してお誘いを受けるようにしていたのですが、外地から来たであろう人に(実際に別の市から来た人でした)、これだけ「君と踊りたい」と強い意志を見せられたら、覚悟を決めてフロアに立つ以外の選択肢はなかったです(笑)

この経験で、カベセオはコルティーナ以外の時にすでに行われているものということを知りました。

それ以降、気になるリーダーが踊っていて、自分が席で休んでいるような時には、お隣さんとおしゃべりしていても、目線はフロアに向けて、がっちり踊りたいリーダーを追うようにしています。

相手が踊っている最中に目があった場合は、絶対に逸らしません。
また、向こうが気づかないくらい遠い距離にいてもいいんです。気付いていないように見えても、意外と気付いています。

次のタンダですぐに誘ってもらえる時もありますし、向こうが誘いたいタンダを待って来る場合もありますが、踊りたい相手とだいぶ踊れるようになりました。
あと馴染みのリーダーの場合は、自分を誘いそうなタンダが大体分かるので、その時に近くにスッと現れれば、秒でカベセオが来ます。

水面下での駆け引きに気づいてからは、自分がフロアで踊っていない時間もかなり楽しめています。
フォロワーは誘ってもらうのを待つだけじゃない!!
どうしても踊りたい相手がいたら、ぜひ試してみてください。
誘ってもらう機会が増えるかも知れません。

#アルゼンチンタンゴ #ミロンガ #カベセオ #誘ってもらう

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