大学と若者をダメにする「善意」と「誤った信念」の正体①「誤った信念とは?」
今日は、最近読んだ本の感想を書きたいと思います。その本とは、「傷つきやすいアメリカの大学生たち: 大学と若者をダメにする「善意」と「誤った信念」の正体」というタイトルのものです。
この本は、道徳心理学者のジョナサン・ハイトさんが書いたもので、現代のアメリカの大学で起こっている問題について分析しています。ハイトさんは、「しあわせ仮説」などのベストセラーを出している人で、私も彼の本はよく読んでいます。
彼の本は、科学的な根拠に基づいて、わかりやすく面白く書かれているので、とても勉強になります。
この本では、ハイトさんが賢者「ミソポノス」に会いに行って、彼から3つの誤った信念を教えられるというストーリーが展開されます。それらの誤った信念とは、以下のようなものです。
困難な経験は人を弱くする
常に自分の感情を信じる
人生は善人と悪人の戦い
これらの信念は、彼らの精神的な健康や教育や社会に悪影響を及ぼしているというのです。
以下、1つ1つ見ていきましょう!
困難な経験は人を弱くする
例えば、困難な経験は人を弱くするという信念は、「安全イズム」という考え方につながります。
安全イズムとは、危険や不快さを避けることが最優先であるという考え方で、大学では自分が嫌なことに直面しないようにするために、講演や授業や本などをキャンセルしたり、抗議したりすることがあります。
しかし、これは逆効果であるとハイトさんは言います。
人間は免疫系のように、試練やストレスにさらされることで成長し、自分の考えや道徳的信念や生産性を高めることができるからです。
安全イズムは、人間を弱くし、自己効力感や寛容さや批判的思考力を低下させるというのです。
常に自分の感情を信じる
次に、常に自分の感情を信じるという信念ですが、これも問題があります。感情は重要な情報源ではありますが、必ずしも正しいとは限りません。感情は認知的な歪みやバイアスに影響されることがあります。例えば、「確証バイアス」というものがあります。
これは、自分がすでに持っている信念や仮説を裏付けるような情報だけを探したり、受け入れたりする傾向です。
これによって、自分の感情が正しいと思い込んだり、他者の意見を無視したりすることがあります。
しかし、これでは真実を見失ったり、偏見や誤解を生んだりすることになります。
感情は大切ですが、それだけに頼らずに、理性や論理や証拠も考慮することが必要です。
人生は善人と悪人の戦いという信念
最後に、人生は善人と悪人の戦いという信念ですが、これも危険です。
人間は無意識に「敵」と「味方」に分けて考えることがあります。
これは、進化的に生き残るために必要だったグループの帰属感や協力性を反映しています。
しかし、現代では、この傾向が政治や宗教やイデオロギーなどの派閥抗争に利用されることがあります。
自分の派閥に賛同してもらうために、無意識を刺激するような言葉やイメージや感情を使って、相手を説得しようとすることがあります。
これは、人々を分断し、対立し、暴力や憎しみを生むことになります。
人生は善人と悪人の戦いではなく、善と悪を分ける境界線は自分の中にあるということを認めることが大切です。
そんな感じでまとめてみました!
次回は、適切な信念について、整理をしていきたいと思います!
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