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無職日記#2 : 憧れの京都、黄色いキッチン。


2024年7月24日。

無職生活297日目、深夜1時半。
暑くて夜中に目が覚める。
エアコンがないともう生きていけないな〜なんて思いながら1度温度を下げて、また布団に潜り込む。

昔住んでいた京都の部屋も、日当たりがあまりに良いせいか、
夜も暑くて、何度か夜中に目が覚めたことを思い出す。
畳に布団を敷いて寝ていたのも暑かった理由の一つかもしれない。
それでも居心地が良くて、好きだったあの部屋。




大学生の頃、6ヶ月間だけ京都に住んでいた。


住んでいたのは、たった4畳半の部屋。
シェアハウスで私の他に8人と一緒に住んでいた。
かつては寮として機能していたから、各々の部屋にキッチンが付いていて、
私はそのキッチンが好きだった。

黄色いキッチンの壁が好きだった。
(この時はまだ5段ある某ソフトクリーム)


京都に移住しようと思ったきっかけは
至極シンプルな理由で、「京都が好き」だったから。

大学4年次の夏に1年間の休学を決めて、そこからはひたすらお金を貯めた。
ちなみにアルバイトを始める前は、自分史上最重量だったが、居酒屋と漫画喫茶の掛け持ちであっという間に痩せた。

そしてぼちぼちお金が貯まった2月、私は京都に移り住んだ。当時まだ京都は雪が降っていて、不安な気持ちと達成感と寂しさと、色んな感情が入り混じりながらバスから鴨川を眺めたことを今でも覚えている。


憧れだった京都は、日常になった。


いつも旅行で訪れていた場所に、気軽にゆっくり立ち寄ることできる。行きたい場所が出来たら、自転車に乗ってふらっと訪れることができる。
あっという間に、すべて「日常」に溶け込んでいった。

大好きな逃現郷


しかし、生活費はすぐに尽きてしまった。
アルバイトは喫茶店と居酒屋の2つを掛け持ち。
居酒屋はシェアハウスから徒歩1分なのに交通費100円が出るような面白いところだった。


京都の日々はあっという間に過ぎていった。アルバイト先とシェアハウスを往復するだけの日も結構あって、でもそんな暮らしですら私にとっては嬉しかった。


季節も良かったのだと思う。
瞬く間に冬から春になり、初夏になり、京都の夏になった。


夏が来たと実感する下鴨納涼古本まつり


京都は夏を過ごすのにぴったりの街だ



そして8月、短い京都生活が終わった。

人生において、京都の日々はキャリアに直接結びつくものでもないし、きっと何処かの誰かにとっては無駄な日々。

でも自分で選んで決めてお金を貯めて引っ越しをした経験とか、屋上でみた五山送り火とか、仕事終わりに自転車で走った時のぬるい風とか、意味のない瞬間のことも私は生涯忘れないだろうし、胸を張って「京都で暮らしてみてよかった」と思えるのだと、今でも強く思っている。



風の噂では、もうシェアハウスは閉じてしまったらしい。
それでも大好きだったキッチンのこと、京都生活のことをずっと大切に覚えていたい。

そしていつか、また京都が日常になる暮らしをしたい。
私のささやかな夢。



#自分で選んでよかったこと

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