額田 大志『それからの街』、KING『We Are King 』
北千住にある東京芸大の校舎にて、額田大志『それからの街』を見る。初演は評判を聞いていこうと思ったら満員で行けず残念な思いをしたが、twitterの噂ベースで聞いていた話から妄想し期待していたものが目の前で具現化されているような公演だった。
ワタシが期待していたのは、数年前から演劇を観始めて徐々に生まれてきた不満がどういった形でクリアされるかについてだった。その不満は例えばこういうことだ。マームとジプシーのリフレインがエモーショナルな意味以外で本来機能するのではないかと考えられるリズム的な魅力がうまくいっていないように感じられることや、ままごとが『わが星』以降で自分が見た限り新たなリズムを生み出せていないのではないかということだった。もちろん演劇は新たなリズムを生み出すためのものではないので、これらの不満は別に解消されなくったって構わないと思っていた。でも、そこにチャレンジする人たちがいてもいいのではとは思っていた。
『それからの街』は、そういった個人的な不満が上演した瞬間に解消され、その驚きに鳥肌が立ちっぱなしで鑑賞することになった。身体の動かし方も含め影響を受けているであろう劇団を挙げるのは簡単だろう。マームとジプシー、ままごと、ジエン社、チェルフィッチュ、地点。ただ、これらの劇団のそれぞれの魅力・特徴から、リズム的な面白さにフォーカスを当てて抽出しているところが個人的なツボにハマり過ぎだった。会話をリフレインする中で動詞を抜き助動詞の繰り返していき、同時に起きている別の会話に呼応すると繋げる手法はオリジナルになり得ると感じた(どういうことかというと、例えば語尾の「行かない」の「行か」を抜き「ない」だけを繰り返すことで、別のところで起きている会話に対して返事をしたりする)。否定的な意見もわかる。確かにストーリー展開はちょっと弱いし、後半の繰り返しももう少しスピードの変化をつけると効果があったのではないだろうかという気はする。そういった弱点はるものの、今回の作品で提示した方法論は音楽的に上演するという一点において画期的な作品で、それのみで大傑作と呼べると思う。突き抜けた点に対して、少しのマイナスを引いたところで大した減点にならない。心配な点は今作が、音楽家の1stアルバム的なところを少し感じるところである。これまで考えてきた、練りに練った思考がこの作品で全て表現されているように見えなくもないので、次作が勝負なのではと思う。あと3作品くらいはどんな出来でも全部見たいと思っています。
観劇後、ペネトラの新メンバーになった升本さんと北千住のハンバーガー屋で食べた後家に帰り、家でコーヒーを飲んだあとランニングのトレーニング。女性3人グループKing『We Are King』を聴きながらランニング。全ての曲がシルキーでこれはヤバい。と思ったものの、結構似た感じの曲が多く、また初聴がランニングというあまり集中して聴ける状況でもないため、曲の区別が全くつかないまま終わってしまった。すごいグループだと思う。もう少し聞いてから判断かな。ビルボードトーキョーで公演するそうだけど、さすがに6000円は高い。。サマソニとかに来てくれれば観ると思うのだけど。。
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