ニュース映画史・戦後編(#3 ニュース映画で現代社会を勉強しましょう)
ニュース映画史(戦後編)
終戦を迎え、「映画法」は、昭和20(1945)年12月26日に廃止されることになりました。その結果として、各新聞社や通信社を中心にニュース映画の製作が復活しましたが、昭和27(1952)年までは、新たにGHQによる検閲が行われていました。検閲の主体が変わっただけですが、その変化は大きかったと言えるでしょう。
終戦後の娯楽や情報に人々が飢えていた時代には、映画は大衆向けメディアとして大きな役割を果たすこととなり、それに伴い本編に併映されたニュース映画も第二の全盛期を迎えることとなります。
上の記事と写真は、当時銀座の三原橋にあった、ニュース映画専門館、テアトルニュースの窓口の様子です。昭和27年に戦後初のニュース映画専門館として開館したテアトルニュースは、その後も映画館シネパトスとして営業を続けていましたが、2013年3月に東京オリンピックに向けた再開発で、この場所ごと無くなってしまいました。
戦後のニュース映画の特徴としては、都市部を中心にした各地の復興の様子が、格好の素材としてニュース素材としてしばしば取り上げられています。
それら地域のニュース映画は、大きく、新聞社、映画会社等のメディア企業によるものと、自治体自らが製作したものに大別できます。さらに後者は、自治体が自ら製作するものと、自治体が発注して外部企業が製作するものに分かれています。これら、行政の施策の内容を題材にしたものを、「政策ニュース映画」と呼んでいます。
前者のメディア系企業によるものには、日本ニュース・朝日ニュース(製作:日本ニュース映画社)、東日大毎国際ニュース(毎日映画社)、大毎ニュース(新理研映画社)、毎日ニュース(毎日新聞社・毎日映画社)、東映ニュース(朝日テレビニュース社・テレビ朝日映像)、讀賣新聞ニュース・讀賣ニュース(読売新聞社)、讀賣国際ニュース(讀賣映画社)、中日ニュース(中日映画社)などがあります。
現在どの会社でもニュース映画自体はもう製作していませんが、映像製作は継続しており、さらにメディア企業として、過去の製作物の管理は適正になされているケースが殆どです。これらにも、戦後復興期の地域の記録などが含まれているものが多くあります。
例えば、日本ニュース映画社製作の朝日ニュースは、国会図書館の資料によると、昭和15(1940)年から29(1954)年まではNHKが、昭和30(1955)年以降は東宝ステラが権利を保有しています。また地域新聞社製作による中日ニュースは、中部から関東地方のローカルニュースを多く取り上げており、政策ニュースを持たない地域の戦後復興期の記録を見ることもできます。但し、これらの過去の映像記録は、あくまで企業アーカイブズとして管理されており、例えば個人対象の公開等はしていない場合もあり、地域のアーカイブズとして、余り活用がなされているとは言えないかもしれません。
後者の自治体製作によるニュース映画に関しては、多くの広域普通地方公共団体(都道府県)が、昭和20年代後半頃から、多くの記録映画を残しています。これらがここでの研究対象の政策ニュース映画にあたります。
これらは破棄されたものなども多く、その詳細な製作実態を明らかにするのは不可能だと思われます。但し現在では、多くの自治体がデジタル化してネット等によって公開しており、以降には、それらを元にして、政策ニュース映画の概況を明らかにして行きます。