政策ニュース映画の価値(#10 ニュース映画で現代社会を勉強しましょう)
政策ニュース映画の価値
政策ニュース映画とは、特に大空襲を受けた地域を中心に、戦後の復興を記録していった行政刊行物、要するに行政映画です。ただ個人が写真や映像などの記録を余り残せなかった時代に、その地域の様々な出来事と暮らしている人々を映像で捉えたという点に特徴があります。
現在の目から見た、記録としての価値は、3つほど挙げられます。
1.時代の記録として
2.社会課題の提起として
3.地域の変化のアーカイブズとして
現存する政策ニュース映画の最古のものは、茨城県政ニュースで、昭和23年の制作です。しかし、多くの政策ニュース映画は、昭和27年(1952)4月28日のサンフランシスコ平和条約発効にあわせるように、制作が開始しています。日本の社会や人々にとって大きなインパクトがあったのでしょう。
この映像は、横浜市が公開している神奈川ニュース映画のうち、昭和26(1951)年に製作された「復興への動き」と題されたもので、講和条約に向けて、戦後の復興計画が実施されていったことが示されています。
神奈川県政ニュースのうち、横浜市分は、接収、復興関係のものがごくわずか、上記サイトから公開されているだけです。
その時代の姿、特に人々の様子が記録されているので、政策ニュース映画を時間の流れで見ていくことによって、時代の変化を読み取ることができます。政策ニュース映画は、同じ制作者が同じ観点でその地域を長時間記録した、定点観測的なものとも言えます。
本来、地方自治体、主に基礎自治体が、政策の広報として制作を始めたのが政策ニュース映画ですので、行政の施策の対象や結果などを示すものでした。その意味からは、2の社会課題の提起という役割を強く持っています。
調べてください: 基礎自治体と広域自治体の役割を理解しておいてください。
インフラ整備や様々な社会設備、さらに教育や福祉などの政策広報がその内容なのですが、特に重要な点として、行政の政策課題が題材になっているという点が指摘できます。今見ると、よく理解できないような社会課題も多くあります。しかし、それが時代の真実の姿であって、政策ニュース映画には、当時の地域、社会が抱えていた様々な課題が記録されています。
さらに題材になっているものは、地方のニュースですので、大手のメディアなどでは決して見ることができない、地域の姿を見ることもできます。
以降、この3つの視点に従って、実際の政策ニュース映画を見ていきましょう。
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