今そこにある危機 - WHOによるファシズム計画
2024年5月に予定されているWHO総会での採択を目指して、現在、 国際保健規則 (IHR) の改定とパンデミック条約の作成についての政府間交渉が行われている。新型コロナウイルスにより世界中で「甚大な被害」が出たため、既存の規則改定や新条約の締結により、新たな感染症流行への世界的な予防能力向上を目指すというのが表向きの目的となっている。
しかし、本当にこのIHR改定やパンデミック条約は、公衆衛生の向上に寄与する内容と言えるのだろうか。
改定案および条約草案の内容、IHR作業部会や日本の官僚答弁から紐解いていくと、WHOの真の狙いは「公衆衛生」という名を借りた、国家主権と国民の基本的人権を奪う全体主義政策であることが浮かび上がってくる。
第二次世界大戦で跋扈したナチスに代表される悪名高い全体主義が、今「公衆衛生」の名の下に蘇り、誰にも気づかれないまま、我々のもとに忍び寄ってきているのだ。
「善良な」組織であるはずのWHOがまさかと思う人もいるかもしれない。しかし、WHOのウェブサイトに掲載されたIHR改定案やパンデミック条約草案を見ていけば、この企みは明らかになってくる。
まず、今回のIHR改定案では、これまでWHOが加盟国に対して行っていた勧告レベルの指示に法的拘束力が伴うようになることが、大きなポイントとして挙げられる。法的拘束力を伴う文書を作成することは、以下の外務省公開文書(100559301.pdf (mofa.go.jp))によると、2022年9月頃には決定されていたようだ。実際にIHR改定案文書では「法的拘束力を伴わない」という文言が削除されているし、WHOが加盟国に課した義務の履行を監視するコンプライアンス委員会の設置に関する文言が加えられている。
また、改正案では「基本的人権の尊重」の条文が削除されていることも非常に重い意味を持つ。これによって、例えば、パンデミックがひとたび発生すれば、WHOがワクチン接種の強制等を加盟国の国民に命令することが可能となる可能性が出てくる。
そんなことがあり得るかと思うかもしれないが、コロナ禍における一部の海外ではワクチンパスポートが導入され、スーパーと薬局以外に入れない状況に陥った非接種者もいる。今度はこれをWHO加盟国全体に拡大させようとする試みは容易に想像できることだ。
これに加え、改定案では、「パンデミック」が発生したか否かの判断をする際に「加盟国の合意」を必要とする記述が削除され、WHO事務局長の裁量で行えるようになっている。また、「潜在的な」パンデミックの恐れがある場合も「パンデミック」宣言の対象となるという文言が追記されており、実際にはパンデミックが起こってなくとも、事務局長が「パンデミック」の恐れがあると判断しただけで緊急事態になる可能性がある。この改訂とWHOの主たる出資者が製薬会社である事実を考え合わせると、製薬会社の開発したワクチンや薬を売るために、WHOが便宜を図って、計画的に「パンデミック」を演出するような事態が可能になってしまうことを意味する。
一方で、前述の改定案や条約草案はあくまでWHOの当初案であり、現在進行中の交渉過程で良い方向に変わるかもしれないという反論も聞こえてきそうだ。
確かに、交渉内容が非公開なので、その可能性を完全に否定することはできない。しかし、この交渉は、私の見るところ全く民主的な手続きが踏まれておらず、大きな疑問を喚起させる。WHOや政府は、本当に「公衆衛生」の向上を通じて、人類を救う、民主的で慈悲に溢れた組織なのか?と。
民主的な手続きが踏まれていないと言った最も大きな根拠は、2024年2月26日の予算委員会で原口一博衆議院議員がパンデミック条約、IHR改正がWHOで採決された後、その批准には国会承認を必要とするかと上川外務大臣に質問した時の回答である。彼女は明確に「必要としない」と回答した。しかし、これは憲法違反になりかねない発言だ。
なぜなら、憲法73条第3項に国際約束の締結に対する国会承認の必要性が明記されているからだ。国会承認を要する国際約束の範囲は、「大平3原則」が戦後の日本の慣行になっており、①法律事項を含む国際約束、②財政事項を含む国際約束、③政治的に重要な国際約束のいずれかに該当すれば「条約」という名前かどうかに関わらず、国会承認が必要となる。上川外務大臣は、予算委員会の中で、この「大平三原則」が未だ有効であることを認めつつも、法律事項、財政事項を含む国際約束であるパンデミック条約やIHR改定の国会承認は不要であるという矛盾する発言をしている。これは民主主義の根幹を揺るがしかねない重大な発言である。
また、民主的でないもう一つの理由は、WHOや政府が交渉内容を非公開としている点だ。特に日本政府は自分たちが提案した内容や交渉上の立ち位置すら、一切公開していない。厚労省によると、パンデミック条約やIHR改定に対するパブコメなども行う予定はなく、国民の自由を制限する可能性のある国際約束の交渉が、国民への周知なく進められているのだ。
また、WHOの意思決定プロセスにも不透明な部分が数多くある。実は、2022年5月にIHRの一部は既に改訂されており、その決議の様子を動画で見ると、定足数を満たしていないにもかかわらず、WHOの法律顧問が規則を捻じ曲げて強行採決させている。流石にこれには、決議が無効だと書簡で主張する国も出ているが、今のところ、WHOからの回答はない。
さらに、WHOの会議上で、『国民の間で「偽情報・誤情報」が溢れ、条約や規則改定の成立を阻害しているため為、これらに対する対処が必要』という発言があった。そして、パンデミック条約18条にも誤情報・偽情報への対応のための項目が含められている。だが、この誤情報かどうかを一体誰がどのように判断するのだろうか。恐らくWHOの専門家たちが判断することになるのだろうが、これは言論統制の恐れがある非常に危険なことだと感じている。
というのも、実際にWHOは情報操作・言論統制をコロナ禍で行った形跡があるからだ。WHOは有名な広告代理店と契約し、コロナの恐怖を煽ったり、ワクチンを強力に推進したり、WHOのイメージを崩さない情報戦略を行っていた。その広告代理店というのが、湾岸戦争の「ナイラ証言」で悪名高いヒル・-アンド・ノールトン社だ。ナイラ証言とはイラクによるクウェート侵攻後、「ナイラ」なる女性が1990年に「イラク軍兵士がクウェートの病院から保育器に入った新生児を取り出して放置して死に至らしめた。」と、涙ながらに語ったことで知られる。これを受けてほぼ無関係だったアメリカを中心とする国際世論がイラクへの攻撃支持へと変わっていく。しかし、後になってこの証言は虚偽で、「ナイラ」はクウェート駐米大使の娘であり、これらすべての出来事がクウェート政府の意を受けたヒルあ・アンド・ノールトン社の反イラク国際世論扇動のキャンペーンの一環であったことが発覚した。
このヒル・アンド・ノールトン社がWHOの専属広告代理店だった。そもそも、民間企業でも競合他社がいる訳でもないWHOになぜPR会社が必要なのか?真っ当なことをしていれば必要無いはずなので、何か間違ったことをしているからそれを捻じ曲げるために必要だったと思わざるを得ない。このことから、WHOが誤情報・偽情報に対応するというのは、全体主義的な取り組みに警鐘をならす人たちへのレッテル張りと言論統制を強化する宣言だと受け止められる。
公衆衛生の向上によって人類を救済するための交渉ならば、国民に秘密にする必要も言論統制する必要も全くない。この言論統制の発言や秘密主義・隠ぺい体質自体が、彼らが全体主義への道をひた走るファシズム機関の証左であるといえよう。
冒頭で述べた通り、WHOは今年5月の条約・規則改定の成立を目指して、交渉中であり、残された時間はあまりない。一方で、国民には全く周知されていないばかりか、国会議員でさえ交渉内容の情報を与えられず、今のところ決定的な解決策がない。
このように状況は絶望的だが、まだ希望はある。
WHOが最も恐れているのが、人々に彼らの企みが知れ渡ることなのだから、我々国民としては「知ること」「知らせること」が最大の武器となる。
これから、言論の世界も規制が強くなっていくことが予想されるが、完全に言葉を狩られる前に、この問題に関心を持ち、情報を拡散してほしい。これこそが、今ここにある危機を乗り越えるための唯一の手段となりうると信じる。