市場価値・給与を上げるための方法
これはなに
AppBrewでは、「給与の公開制度」と「360度評価制度」を導入しています。
人件費を聖域化せず、オープンに各自の能力・価値やそれに見合う報酬について議論できるようにという意図を込めて運用しています。
360度評価制度は、専用のシステムを作って(代表自身がコーディングとメンテをしています)業務フィードバックを中心に周囲の人全員から評価がなされ、内容は公開されます。
他社と比較しても、シビアな制度になっていると思います。ハイパフォーマーにとってはやりやすい環境である一方で、全ての人が高い評価を貰えるわけではなく、どうしても厳しく映ってしまう一面はあります。
そういった背景があり、評価制度は厳しく運用する一方で、キャリア価値を高めていく成長のチャンスは全員に均しくあることを伝えたいと考え、社内向けに公開した資料なのですが、反響が大きかったので一般公開すべく編集しました。
ほぼそのままの内容ですが、社内にいないとわからない部分などは削除してあります。また、今はそういった運用ですが、将来に渡っても続けるかどうかの保証はなく、あくまで企業価値に最大貢献するようにフラットに組み立てたいと思ってやっています。
-------------以下社内向け資料-------------
はじめに
まず落ち着いて評価結果を確認してください。
評価結果をみて受け止めて、数値などよりも内容をしっかり読んでください。数値はある程度統計的に処理された客観的に使える指標ですが、数値自体に特段意味はありません。
よって、表面上のスコアより内容をしっかり読んで、業務改善のヒントを得てください。また、完全な評価というのは出来ず、ある程度誤差・波があるものと心得てください。
ずっと高い/低い人もいますし、回によって成長が認められ大きく伸びる場合も、その回では伸び悩む場合もあります。
当然評価には慣性があり、自分が頑張った量とその時点での他者からの評価が綺麗に相関することはないです。
評価されるには時間がかかりますし、当然、失った評価を取り戻すことにも時間がかかります。
「頑張った時の評価は上がらず、あまり頑張れてないが前Qの功績がじわじわ評価されて高評価になる」ことなどもままあります。
主観の努力量は綺麗な線型でも、評価はガタガタな非連続関数のことが多いです。
それでも、会社として最適な報酬配分ができるように、なんらかの形で答えを出さねばなりません。
この形のピアレビューは、そのための一つの、そして弊社としての解だと考えています。
なので、一喜一憂せずに、自分のバリューを長期で追求してください。
また、全ての人が会社と同じ速度で、「スタートアップ的に急速に成長する必要がある」とも思っていません。
当然、頑張り続けるのも大変なので、生活とのバランスを考えて数年スパンで緩やかに成長したいというのも一つの考え方ですし、尊重したいと思います。いずれにせよ、キャリア・スキルアップの指針となるのではという考えです。
一般論として、市場価値・給与をあげるための方法
成果を上げる
当然、皆の目標や成果は、事業計画と目標に応じてブレイクダウンされたものになっています。
結果を出したり目標を達成したりすることで、(たとえ厳しい目標であっても、相対的に高い働きであればうちの評価制度では評価されるはず)
会社の事業価値向上に貢献することができれば、その対価を得ることにはなんの異論もないと思います。
また、設定された目標内での業績貢献は、採用・前回評価の際の期待値にある程度織り込まれていることが多いです。
なので例え目標達成をしても、10~20%程度のプラス評価になる程度で終わってしまい、結果として評価されていないと感じるケースもよくあります。
50~x00%以上のプラス評価を得たい場合、より事業全体に目線を合わせて、メタ視点で自分ができることを考える必要があります。
例えば、
・新規事業立ち上げや既存事業の新規セグメント立ち上げで大きな成果を上げる
・売上全体の1割以上貢献するような新商品の提案から制作、販売までをまとめあげる
・オペレーションの標準化・自動化(自らSQL/コードを書くなども含む)や採用・移譲を推し進めリソース効率を2,3割以上向上する
・オーナリングと実装をした新機能や改善でアプリの重要KPIが1割以上改善する
・重要なプロジェクト・チーム単位でのコミュニケーションをリードし、きちんと成果につなげる
・他職種の能力を勉強し身に付け、部署横断的な活躍ができるようになる
など当初期待値を超える=想定外の成果を出すと、大きく評価されると考えます。
また、「ある程度」評価されるためのコミュニケーションも必要だと考えてください。会社が市場から資金を得るためには、当然実態やプロダクトが最重要ですが、最低限の投資家コミュニケーション等も必要になります。
優れた企業は、プロダクトだけでなく(様々な)マーケティングにも優れています。
個人もある程度は同じ考えが必要です。
弊社はピアレビューなので、「直属の上司に評価される」必要はなく、
「一緒に仕事をしている人たちから信頼される・認められる」くらいの粒度で構わないので、気をつかってみてください。
自身のリソースとキャパシティを有効活用する
リソースあるあるは大きく二つ問題があると思っています。
・やることが多すぎてオーバーワークになる
・やるべきことに忙殺され、発展的なことに手を出せない
オーバーワークの解消
先日slackで残業チェッカーをリリースしましたが、「残業が慢性化・生産性の低下が認められる」場合で、かつ本人がストレスを感じているケースは、
「会社/チームとしてリソースの配分ができていない・絶対的にリソース(人数)が足りていない」
などの問題があり、会社・リード・周囲の人の側に責任があると考えます。なので、該当職種でリソース再配分・採用をするよう、リードや本人含めしっかり話合ってください。
とはいえ、「いいタレントを採用するには時間がかかる」「ベンチャーなので事業成長にリソースが追いつかない」問題は常にあり、
本人の問題ない範囲(かつ労基的に問題ない範囲)でのハードワークは多少仕方ない部分はあると思います。
ですが、大きな問題になってからでは遅いので、周囲の人も積極的にケアしてください。
また本人も早い段階で「まずい状況であることを相談する」「あらかじめキャパシティに応じて仕事を断る」ことをできるようになってください。
長い間安定して活躍している人はこの辺りの選択集中やマネジメントが上手な傾向にあります。
やるべきことに忙殺されないー仕事の発展性追求
仕事は往々にして、「8割は現状の仕事に必要なオペレーション・2割はトップライン追求や発展的な仕事」くらいのバランスだと考えています。
ゆえにオーバーワークと並行して、「発展的な成果を上げるための学習時間・業務時間が取れない」問題は常に存在します。
しかし、会社としてそれでいいとは全く考えていないと心得てください。
発展的な業務に注ぐ時間を増やせれば増やせるだけ企業価値は向上します。当然です。
この場合、新規採用と業務委譲を考えてください。
採用自体は形式的には稟議が必要で、社員に関しては現状では代表のチェック(面談)を入れています。
しかし、弊社は基本的にはチーム単位で柔軟に採用ができるような仕組みにしたく、該当候補者の採用の必要性とその結果の事業価値向上が説明できれば通らないことは原則ないです。
通らない場合、
・採用の必要性に説得力・合理性・データがない
・事業価値向上に必要な要件を当該候補者が満たしていない
・まず本人が委譲できるほど業務を満足にこなせていない
などを振り返ってみてください。
自ら採用(スカウト・リファラル・面接・条件調整・その後の評価など)に関わり成果を上げ、
日常業務の標準化・自動化・委譲をすることによって、トップラインを追求したり、発展的な仕事をしたり、勉強したりなどのための時間に充ててください。
代表自身もこの原則に則って今まで多くの人の採用に関わってきました。
こういった動き方ができると、実質的に「リード」になり、事業・キャリア価値が共に高まります。
特に弊社は職掌をきちんと定めていないので、
このように抽象度の高い「誰がどうやりますか?」というような機会が(日常業務の効率改善も、発展業務へのコミットも)、
多く(潜在的にも)発生しており、その可能性は皆に開かれていると考えています。
そして、一般に急成長する企業はよりその傾向が強く、カオスな中に成長機会がたくさんあります。
体力と精神力の可能な範囲でそういった機会に気付き、逃さず、自らこなしていくことで、大きな成長の機会が得られるはずです。
また、一定以上の給与レンジ・ロールになると、採用貢献は必須項目だと考えています。
プレイヤーとしても10倍程度の能力差は生じます(弊社はプレイヤーの価値を尊重する意志があり、プレイヤーとして1500~3000の市場価値は不可能ではないと考えます)が、
100倍(その上のレンジやSOなどを含む大きな報酬に対する市場価値)となると、多くの場合(あなたがアインシュタイン・ワイルズ・ペレルマンでないなら)は自らの能力外へのスケーラビリティが必要です。
そのレベルでは、大きな採用貢献なしにさらなる価値を出すことは不可能です。
環境に働きかける
リソース云々以前に、今のロールや仕事、やり方が自分に向いていないと感じる場合、(周りから配置換えを求められる前に)早めに声をあげてください。
皆で相談・解決できるよう協力します。
ロール替えや棚卸しは当然、職種ごと替えた例も過去にはあります。
違う職種やロールでパフォーマンスをあげるのは大変なこともありますが、
より適性に合う仕事であることがわかったり、スキルの汎用性が高まったり、視野が広がったりなど、向いていないところで粘るよりも、キャリアにとってプラスになることが多いと考えています。
転職・独立する
これは最終手段で、短期的に考えるとあまり思い浮かびにくい策です。
しかし、「全ての人にとって現在の弊社が最高の選択肢である」とは思いませんが、すべての雇用契約はその時点では長期的にお互いにとって最良の選択肢であるべきと考えます。
会社としては最良であるために最大限の努力はしますが、個人としては他の選択肢が最良である可能性も常に存在します。
(最良かどうかは、キャリア戦略・経済性・個人の志向による総合的な判断になるので一概には言えませんが)
日本は特に人材の流動性が低い傾向にあり、転職自体のハードルは比較的高い市場ですが、
流動性が高まってよりよい選択肢にたどり着くことは市場全体にとってプラスです。
なので、仮に別の選択肢が最良と判断するのであれば、
対話の末(待遇・ロール・職種の変更・改善も最大限する前提で)次の挑戦に送り出すことも厭いません。
当然、そのための相談にのってくれる人も、弊社にはたくさんいると思います。