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誰を幸せにすると会社は成長できるのか?
なぜ「誰を幸せにするか」を考えるとよいのか?
多くの会社や個人レベルでも、「世の中を良くする」「顧客企業を成功させる」といった大きな目標を掲げます。それ自体は素晴らしいことなのですけども、具体性が無いと、結局何をすればいいのかわからなくなってしまい会社の売り上げも上がらずに。ということが起きてしまいがちです。理想を追いかけるのも大事ですが、本当に集中すべきなのは、「目の前のこの人をどう幸せにするか」ということです。
特にBtoB企業の営業のご相談いただいたりする時、成績の良い営業の方ってこの考え方持ってるなと感じます。この考え方、意識するだけでも行動も変わると思いますので、最後までお付き合いいただけたら嬉しいです!
成果を出すには目の前の人を幸せにする
例えばBtoBビジネスでは、顧客企業の成長を目指すことが一般的です。しかし、その顧客企業の中でも、実際にプロジェクトを進めたり、製品やサービスを活用するのは「担当者個人」であることを忘れてはいけません。成功の鍵は、この「目の前の担当者」にフォーカスすることにあります。
例えば、あるIT企業が大手顧客企業に製品を導入したとします。しかし、プロジェクトがうまく進まなかった理由は「担当者の具体的なニーズを十分に理解できていなかった」という問題であることも多い。製品自体は優れていても、その担当者が社内で成果を示せなければ、プロジェクト全体が頓挫してしまうのです。ポイントは担当者が社内で認められるかどうかです。
逆に、担当者個人に徹底的に寄り添い、「どうすればこの担当者が社内で評価されるのか」を考えた場合、結果は大きく変わります。たとえば、製品導入の成功事例や社内向けの説明資料を提供し、担当者が自信を持ってプロジェクトを進められるよう支援する。このようなサポートがあると、担当者は「この会社と一緒に進めれば自分も成功できる」と感じ、信頼関係が深まります。
結局のところ、顧客企業全体に大きなインパクトを与えるためには、まず目の前の担当者一人を幸せにすることが出発点になります。
あなたのやるべきことは、担当のお客様を出世させることである
「担当者を出世させる」という視点と行動がとても大切で、「出世」とは、役職が上がることだけではなく、その担当者が社内で成果を認められ、「このプロジェクトを選んで正解だった」と評価されることを指します。あなたの役割は、その成功を全力でサポートすることです。
例えば、あるIT製品を販売する企業で働いているとしましょう。あなたの製品を導入した顧客担当者が、その効果を社内で証明し、他の部署や上司から信頼を得られた場合、その担当者は「このプロジェクトのリーダーとして成功した」という評価を受けることになります。その成功体験を支援することが、あなたの仕事の一部と言えるでしょう。
まず他社の成功事例を具体的に伝えることで、担当者が自信を持ってプロジェクトを進められるようにサポートしたり、担当者が社内で製品の導入意義を説明する際には、説得力のある資料やデータを代わりに作成し、プレゼンテーションを成功に導くための支援を行うことも重要です。さらに、定期的なフォローアップを実施し、担当者が進捗を確認しやすいように効果測定のツールやレポートを提供することで、プロジェクトのスムーズな進行をサポートします。
このようにして担当者の成功を後押しすることで、担当者は「この製品を導入して良かった」と実感し、社内での信頼を高めていきます。そして、担当者が昇進したり、新たな部署でのプロジェクトを担当するようになると、そこから新しいビジネスチャンスが生まれる可能性も広がっていくのです。
ただし一つだけ気につけるべきことは「担当の言いなりにならない」ということです。よく「◯◯さんがこう言ってるから」と営業が聞き、それを社内で展開してしまい、結局成果が上がらず、担当も褒められなければ、もちろん自社も次の契約も継続しない。ということが起こる可能性があります。
担当の解像度を高めるとは、単に顧客の要望を表面的に理解するだけでなく、担当が本当に必要としていることや、その背景にある課題、成功の定義、その担当の社内での立ち位置や上司との関係性、担当は誰に褒められると良いのか?なども深く理解することです。これを行うことで、顧客の要望をそのまま受け入れるのではなく、本当に成果の出ることができます。
たとえば、製品導入時に担当者が抱えている社内の課題や、その担当者が成果として求められているポイントを深く掘り下げて理解することで、具体的かつ効果的な支援が可能になります。また、顧客のゴールやKPIを明確にすることで、単なる取引相手から「信頼できるパートナー」として認識されるようになります。
相手担当者の言いなりにならず、解像度を高め、その担当者が本当に成果の出ることをどう戦略的に実行するのか。という意識を常にもつことです。
顧客と「共に成長する」ことで築く関係性
BtoBでもBtoCでも、お客様との関係は一度きりでは終わりません。それは、継続的に育てていくものです。この考え方は、単なる取引を超えた長期的な信頼関係を築くことにとても重要です。
「共に成長する」とは、お客様があなたの提供する商品やサービスを通じて何かを達成する手助けをし、それを一緒に喜ぶ姿勢です。このプロセスで重要なのは、あなたが提供する価値とお客様が求める価値を一致させることです。
たとえば、ある化粧品ブランドでは、購入後に「この商品を使ったベストなメイク方法」をお客様に提案することで、顧客満足度を大きく向上させました。単に商品を売るだけでなく、商品を使って得られる成果にまで寄り添うことで、ブランドへの信頼が高まり、リピート購入につながります。
このように、お客様が「この会社やブランドのおかげで、自分が良い結果を得られた」と感じる経験を提供することが、共に成長する関係を築く上で欠かせないのです。
BtoC企業も考え方は同じ
「目の前の人を幸せにする」という考え方は、BtoCのビジネスでも全く同じです。BtoC企業では、顧客一人ひとりの体験がそのままブランドの評価や売上に直結します。特に、お客様が商品やサービスを使うことで「成功体験」を得られるようにすることが、長期的なファンづくりに欠かせません。
アパレル業界では、店舗スタッフの対応が顧客体験に大きな影響を与えます。スタッフがただ商品の案内をするだけではなく、「お客様がどんな場面でこの服を着るのか」「その場面でどう見られたいのか」を丁寧にヒアリングし、その上で「この服ならきっと素敵に見えますよ」と具体的なアドバイスを提供する。このような対応が、お客様に「自分のことを理解してもらえた」という特別感を与えます。
例えば、結婚式やパーティー用のドレスを探しているお客様が店舗に訪れたとします。その際、スタッフが「会場の雰囲気はどんな感じですか?」や「周りの方々はどんな服装をされる予定ですか?」といった質問を投げかけ、そこから「この色やデザインなら写真映えしますし、華やかに見えますよ」と具体的な提案を行うことで、お客様は「このお店のスタッフは自分の状況を理解してくれている」と感じます。
その結果、お客様がその商品を着用して実際に結婚式やパーティーに参加した際に、「そのドレス、とても素敵ですね!」と褒められる経験を得られれば、その成功体験がブランドへの信頼を大きく高めます。このような体験が繰り返されることで、お客様は「このお店なら安心して選べる」と感じ、リピート購入や口コミにつながります。
経営者だったらどうか?
「目の前の人をどう成功させるか」経営者であってもこの視点は変わらりません。経営者の仕事は多岐にわたりますが、事業を成長させるためには「目の前の顧客に集中する」そのためには特に「顧客の解像度」を上げていくことがとても大切です。
直接顧客の声を聞く。ということをやってますか?昔はよくやってたけどなあぁ。と思う人も少なく無いのでは?
顧客が抱える課題やニーズを深く理解することで、的確な戦略や製品改善が可能になります。定期的に客先に直接行って担当、先方の経営者も含めて経営の課題、現場の課題などを直接聞くことによって、顧客の解像度を常に上げておく必要があります。「もう半年前に気づいていれば。。。」なんて後悔しても遅いのです。
また顧客体験を経営者自身が直接体感することも有効です。飲食業の経営者が店舗スタッフとして働き、顧客対応を実際に体験することで、顧客の満足点や不満点を理解し、それに基づく改善を導入することもできるかもしれません。
これらをする理由は全て経営資源を重要な顧客に集中させ会社成長のスピードを上げるためです。すべての顧客を均等に扱うのではなく、その顧客を成功事例に育て、新たな顧客獲得につなげる好循環を生み出します。
このように経営者が目の前の顧客に集中することで、顧客満足度と信頼が向上し、顧客の成功体験が長期的な取引の継続や新たなビジネスチャンスを生む土台となるのです。
まとめ:目の前の「誰」を幸せにするのかを明確にする
どんなビジネスでも、「誰を幸せにするか」を明確にすることが成長の第一歩です。それがBtoBであれBtoCであれ、目の前にいる「誰か」の成功を支援する姿勢が、結果としてあなた自身やあなたの会社の成功につながります。
大きな目標を掲げるのも良いですが、その第一歩として、まずは目の前の人を幸せにすることから始めましょう。そして、その幸せの積み重ねが、自社を次のステージへ押し上げてくれる力になります。
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藤原義昭