福留 庸友

朝日新聞のカメラマン。2014年9月から4年8カ月仙台に住み、被災地のいま、東北のいまを取材してきました。 特に原発事故の被害を受けた福島の浜通や、風光明媚な東北の絶景と各地のうまいものが得意分野。

福留 庸友

朝日新聞のカメラマン。2014年9月から4年8カ月仙台に住み、被災地のいま、東北のいまを取材してきました。 特に原発事故の被害を受けた福島の浜通や、風光明媚な東北の絶景と各地のうまいものが得意分野。

最近の記事

フォトグラファーだからこそ大切にしたい「言葉」の力

写真が好きなので写真展には空いた時間にふらっと足を運んだり、本屋で写真集を眺めたりします。 最近は写真と同じくらい、1枚、1枚の写真に写真説明がついているかが僕は気になります。なぜなら、説明のない写真、不十分な写真が好きになれなくなってきたからです。 そもそも良い写真とは何か?と考えた時、個人的には「写真説明がなくても伝わるインパクトの強い写真」が答えの一つだと思っています。 それは昔から変わりません。 なのに、「説明はないけど雰囲気が良い写真」、「写真だけで訴えたいこと

    • 選挙期間中のモザイク写真を見るたび頭に浮かぶこと

      東京都知事選が18日に告示されました。 この週末も、新聞各紙には都知事選の記事に「コロナ禍の選挙戦」を現す場面の写真が掲載されています。 総選挙、参院選などと同じく、注目を集める大きな選挙の取材はフォトグラファーにとって「モザイクとの戦い」になります。(と僕は思ってます) ご存じの通り、告示、公示後は投票が終わるまで公正を期し、(主要)候補者を平等に並べるか、どの候補者か分からない写真が掲載されます。 多くの場合は後者で、時にモザイク処理されます。 理由は選挙の公平性を保

      • 写真の「印象操作」にPhotoshopはいらない

        何を今さら分かりきったことを…… そう感じる人もたくさんいると思います。 「え、やっぱりマスゴミ最低!?」と思った人もいるかもしれません。 が、事実をありのままに話すと 写真の加工なんかしなくても簡単に印象操作はできます。 もちろん、事実を伝えるための報道写真も例外ではありません。 先に言っておきますが、だからといって「都合良く切り取って印象操作をしても良い」と言っているわけではありませんよ! どうしてそんな「当たり前のこと」をあえて書こうと思ったのか。 自粛要請中なのに

        • 「なぜ日本の新聞写真は心に響かないのか」のその後

          11月初め、「なぜ日本の新聞写真は心に響かないのか」というnote↑で、新聞紙面での写真の使われ方への不満と改善点を思うがままに書き、フォトグラファーや新聞業界にとどまらず、想像以上の反響がありました。 もちろん、共感してくれるものもあれば、「報道写真は事実を伝えればいい」という意見もありました。ただ、賛同してくれる声が多いように感じ、「新聞の写真を変えて、もっと見てもらえる紙面にする余地がある」と希望を持てました。 一方で、noteを読んでくれた多くの人がどこかでツッコ

          新聞社のフォトグラファーに不可欠な「意外」な能力

          新聞社のフォトグラファーに最も必要な能力は何か? 一瞬を逃さない瞬発力。 いやいや一瞬を逃さないためには「忍耐力こそ必要」という人や、「少し先の展開を読む予測力」という人もいるかもしれません。 もしくは「生まれ持った運」と開き直る人も笑 (冗談抜きにすごく重要!!)。 このあたりは実際に働いたことのない人も、なんとく想像がつくと思います。 でも、実際に働いてみて初めて気付いたとっても、とっても重要な能力がありました。それは間違いなく、日刊の「新聞社」(一般紙、地方紙、スポ

          新聞社のフォトグラファーに不可欠な「意外」な能力

          なぜ日本の新聞写真は心に響かないのか

          台風19号の報道で、ニューヨークタイムズ(NYT)の写真特集が話題になりました。「被害の甚大さや被害にあった人々の様子が伝わってくる」と。 同時に「なぜ日本の新聞にはこんな写真が掲載されないのか」という疑問が投げかけられました。 海外メディアのフォトグラファーは日本のそれより、写真がうまい。 単純にそう思った人もいたと思います。 しかし、よく見るとこの特集のクレジットの半分以上は「kyodo」「jiji」。国内通信社、日本のカメラマンが撮影したものです。 (日本勤務の外国

          なぜ日本の新聞写真は心に響かないのか

          更地になった大槌町旧庁舎跡地が今も問い続けること

          東日本大震災で、津波が庁舎を飲み込み、当時の町長を含む職員39人が亡くなった岩手県大槌町。その旧庁舎は解体か保存かで揺れた末に、今年の2月解体されました。(詳しい経緯は文末に略歴) あれから9カ月がたち、更地には町が植えたクローバーが育ち、ベンチや、わき水をいかした水場も設置され、きれいな公園になっていました。 ここがどういう場所であったか分からないほどに。 唯一手がかりになるのが、町外から寄贈された献花台とお地蔵さんだけです。ただ、ここで何があったのかを説明するものはまだ

          更地になった大槌町旧庁舎跡地が今も問い続けること

          撮れちゃった写真。良いフォトグラファーとは…~取材のこぼれ話~

          ここ3日間、ラグビーワールドカップの取材が続いています。 今日9月23日の朝刊には、撮影した写真がスポーツ面に大きく掲載されました↓↓ アイルランドの選手が仰向けにのけ反りながらもトライする、力のこもった瞬間を見事に捉えていますね!笑 トライを防ごうとするスコットランド選手の必死さも表情から読め、攻防の激しさがビシビシ伝わってきます。 「ナイスショット!」と思わず声が出そうな、THEスポーツ写真!! ですが、、、、 正直に言います。これ偶然撮れちゃっただけなんです。

          撮れちゃった写真。良いフォトグラファーとは…~取材のこぼれ話~

          京急事故の報道批判でも知って欲しい「現場取材」のあり方

          9月5日に起こった京急車両とトラックの衝突事故で、「無許可で線路に入って撮影し、警察官の注意も聞かない」など、マスコミの取材自体がツイッターで大きな批判を起こしました。 事故を伝えるツイートより拡散しています… もちろん同僚のカメラマンも現場に駆けつけ取材しました。 2千近くリツイされていますが、リプをたどると事故そのものよりも、「どこから撮影したのか」、「線路に入って取材した証拠そのもの」という否定的な意味で拡散しているのが分かりました。 撮影したカメラマンに直接確

          京急事故の報道批判でも知って欲しい「現場取材」のあり方

          ありがとう東北。私は東北産フォトグラファー。

          ついにこのときが来てしまいました。 とても悲しいのですが、東北といったんお別れして、明日5月10日から東京で働きます。仕事はやめてませんよ! これまで通り朝日新聞のカメラマンを続けます。 勤務地が東京本社になっただけです笑 新聞社は全国転勤なので、入社14年目にして今回が6回目の転勤。珍しいことではないのですが、どうしてもこのタイミングで、紙面でもツイッターでもインスタでも伝えきれなかった今の気持ちを伝えたいと思いました。 これまでの仙台駐在カメラマンの任期は2年ほど。

          ありがとう東北。私は東北産フォトグラファー。