生き延びることは目的か否か
「人間は自然の一部と考えて、生き延びるのも滅ぶのも自然に任せればよい。だから生物多様性とか考えてもしょうがないのでは。」
生き延びることではなく、今を楽しく生きることを目的とする考え方で、これはこれで一理ある。
もう一つの考え方。
「二世代先のことを考えながら自分も豊かに生き延びたい。だから自然のやることは自然に任せる方法を追求していく。」
人間は自然の一部と考えるという点で前者と違いはないのだけれど、生き延びるために足掻く性のようなものが人間にあるのであれば、それも「自然」なのだろうと考える。
どちらが正しい?
近自然森づくりでは手段に善悪はないと説くが、これは目的についても同じことが言えて、どちらが正しくてどちらが間違いということはない。そもそも豊かさとは、生きるとは、人間とは、というような哲学的な問いに答えを見つけている人はいないかもしれないし、永遠に見つからないのかもしれない。
だから、大きく見ればジャッジメント(判定)ではなくコンセンサス(合意形成/共通認識)の問題になってくる。
ただ、現実にはこの価値観のようなものをどう自覚にするかによって実際にとりうる手段が変わってくるので、今のところ自分はどう思うかという問いかけの繰り返しは、結構大事なことでもある。
林業ってそういうことを考えさせられる、あるいは考えるのにとても良い題材なのではと思う。