留守電に間違い電話
マリコちゃん、おばあちゃんから電話|nakamuraching|note(ノート)https://note.mu/nakamuraching/n/n40d60585eeb0
を読んで思い出したことが。
実話なので、関西人の望むオチはありません。
以前川崎に住んでいた頃の話です。
帰宅すると時々留守電が入っていました。少しハスキーで低めの若い女性の声で
「ユンボですっ。明日の朝遅れますっ」
まだ番号表示機能なんてなくて、当然彼女の番号は記録されておらず。
ユンボ(?)と聞こえる彼女はガテン系の感じがしました。
同じような留守電が数週間に1度入るようになりました。
記録は大体14時半~16時半の平日で、サラリーマンの共稼ぎならば在宅してとることの難しい時間です。
何回めかの留守電で
「明日朝は遅れます。5時になります」
とあって朝早い仕事と分かりました。
届かない留守電で、親方に叱られていないか、私達夫婦は心配しました。
しばらくして、今度は男性の声でこんな留守電が
「〇〇です。先程ご連絡した『屠殺証明』、あすまでにお願いします」
川崎競馬、これは厩舎にかけてるつもりだ!
ユンボさんは馬のために朝早く通ってるんだ!
慌てて川崎近くの厩舎を調べましたがうちの電話番号に似ている番号はありません。
それからさらに1カ月ほどして、別の男性からの留守電が。
「〇〇さんが昼過ぎ急逝されました。
葬儀についてはのちほど・・・」
帰宅した私達は買ってきたタ飯そっちのけでNTTに電話したり、厩舎らしいところに連絡したりしました。かけるのはPHSで。固定電話は「のちほど」のためにできるだけ待機状態でした。
そしてついに先ほどの男性から電話が。
こちらの事情を話すと
「ご迷惑をお掛けして」
「いえ、ちっとも(楽しみにしてたくらいだし)。それよりこの番号は厩舎の人からお聞きになったのですか?」
「いやー、わしら名簿みてるだけで」
「でしたら名簿つくっている協会とかに連絡してもらえませんか?
うちは構わないんですが、そこで働いている人が何時に入れますって留守電にかけてきていて、上の人に届いてないから怒られていないかなと」
「あーなるほど」
「くびにでもなったら大変です、すみませんが名簿間違ってると言ってあげて下さい。葬儀のご連絡で大変とは思いますが」
「分かりました」
のんびりした声の男性でした。
以降「ユンボさん」からの電話はありません。
あれから20年。
あの厩舎は、「ユンボさん」はどうしていることやら。
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