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美術展巡り(3) -デイヴィッド・ホックニー展-東京都現代美術館-

おはようございます、いかフライです。
猛暑の日々が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
台風の影響で天候が少し心配ですが、お盆の時期ということもあり、お出かけをする機会が多いかと思います。室内で楽しめる施設は多くありますが、リラックスができ、知識や刺激を得られるのは美術展ならではの魅力だと思います。
今年も魅力的な美術展が多く、どこに行くべきか悩んでしまいますね。
展示会で出会った画家・作品とは縁があると思っているため、「行きたい!」と思ったら足を運ぶようにしています。
今回は東京都現代美術館で開催中の、デイヴィッド・ホックニー展の感想レポートです。

東京現代美術館 企画展示入り口付近
シンプルで広々とした空間

デイヴィッド・ホックニー展 感想レポート

1、風景画、植物画をiPadで制作

前知識を入れずに展示作品を見て一番驚いたことが、作品の多くがiPadで制作されていたことです。2010年からホックニーは新たな表現方法としてiPadを駆使し、精力的にiPad作品を制作しています。コロナ禍に描かれた〈春の到来〉シリーズは、いつかパンデミックが明けることを願って描かれたiPad絵画です。自由が制限されていた冬のような時間を思い出し、明るくて優しい色彩の絵を見て感動しました。これまでiPadで描かれた作品を美術館で見たことが無かったため新鮮でしたが、自然や時間の移り変わりや濃淡が表現されていて、とても印象に残りました。サイネージで制作工程を見ることができたのも、iPad制作ならではの面白い展示方法でした。

2、季節の移り変わりを描く

特に印象的だった作品は、〈春の到来 イースト・ヨークシャー、ウォルドゲート 2011年〉シリーズです。こちらもiPadを駆使して描かれた作品で、ホックニーが毎日同じ場所に出かけ、冬の終わりから夏の始まりにかけて描いた作品です。「電子機器を使って絵を描くと、直線的になって繊細な表現をするのが難しそう」という固定概念がありましたが、ホックニーの作品は季節の移り変わりが自然に表現されていると感じました。木々の葉っぱの茂り方に違いがあり、道路の色も同じ場所であるのに春・夏は赤やピンク、冬はオレンジと、季節によって変わっていきます。色鮮やかなのに繊細な表現がとても印象に残りました。展示会終盤には90メートルのiPad大作も見ることができるので、ぜひ会場で鑑賞するこをお勧めします。

3、現代美術は難しい?

ホックニーは1937年生まれの現役作家です。現代美術の面白いところは、
今活躍している画家の作品に出会えることだと思います。同じ時間を共有している画家の作品に触れることで、自身が考えも付かなかったようなアイデアや考え方が発見できます。そのため、昔の作品よりも作品と自身の距離が近いように感じます。(昔の作品であっても、自身と重ね合わせて共感できることも多くあります)しかし、あまりにも考え付かなかったような、理解するのが難しい作品を前にすると「?」が浮かぶことがよくあります。私にとっては、ホックニー展でも一部の作品で「?」が思い浮かんだものがありました。文献をじっくりと読めば理解できるものもある、と思いますが、絵画を前にして「分からない」という感情は意外と頻繁に起きます。
美術漫画の「ブルーピリオド」という作品には、「ピカソの絵が良いか分からない」という描写があります。「分からない」ことがダメではなく、作品を見て自身がどう思うのかを大事にし、次になぜそう思うのかを自分なりに解釈することが重要だ、とこの頃感じています。今頭の中で「?」が浮かんでいる作品も、時間が経てば別の角度から作品の良さが分かるかもしれません。今後の展示会も、この絵が「好き」、「よく分からない」という素直な気持ちを持って、作品展示を楽しみたいと思いました。

4、美術展グッズ、そしてまとめ

展示会で購入したグッズを少しご紹介します。

左 デイヴィッド・ホックニー自画像
右 iPad制作作品〈2020年3月16日「春の到来 ノルマンディー2020年」より〉
下 ランダムで引き当てた、キュビズム調の絵画のキーホルダー

ランダムキーホルダーは550円(税込み)で購入できます。欲を言えば風景画が欲しかった…ですが、グッズも縁だと思って満足しています。
ノートは購入しませんでしたが、普段使いができそうなお洒落な表紙のノートが販売されていました。グッズもぜひチェックしてみてください!

また、美術展会場入り口で、ユース向けの鑑賞ガイドが配られていました。最近は美術展で小中学生向けの無料ガイドをよく見かけます。大人にとっても優しく書かれていて勉強になるので、ガイドブックの入手もお勧めです。

ユース向けの分かりやすい鑑賞ガイド。
美術展HPでPDFのダウンロードもできる。

色鮮やかでありながら自然を感じられる作品を見て、とても元気をもらえた美術展でした。11月5日まで開催されているため、デジタル画やスケールの大きい作品がお好きな方、現代作家の風景画に興味をお持ちの方は、ぜひ足を運んでみてください。

次の感想レポートでもお会いできたら嬉しいです!







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