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短歌

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2019年7月の記事一覧

春が来るように突然夏が死にわれのほのおも灰となり消え

わたししか生きてない夜ふと押したいいねボタンが生きものめいて

「都心まで急行10分!」駅前のパブの光で光る水仙

方舟に二人で乗って生き延びて根絶やしにしよこんな世界は

熱帯夜死を知らぬふりさせまいとわたしの部屋に線香は満ち

きせきだね夢みたいだねあの夜の悪夢から醒め忘れてしまう

スカートの中覗き込む星野源彼が元気なだけで嬉しい

ひさしぶりさいきんはきてくれないね昨日の分の花を捨て聞く

しぼみゆくきのうのわたくしうら悲し0:15のねごと

いやべつにいつもは殺すよ今回は買ったばっかの本だったから

髪の毛もまつげも舌もささくれもすべて性器として受け入れる

なぜか今とても泣きたい気持ちです泣くのでぼくを見ててください

帰国日を「死ぬ日」とこっそり呼んでいる朝起きるたび魂洗って

碧眼の若者つどい伯林の夜は更けゆく祭囃子か