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サーチファンドが事業承継の救世主!?

2025年に迫るのが日本中小企業を襲う大廃業時代。前回の記事「自社売却を目指すオーナーへ」の中でも触れていたが、M&A仲介業者は手数料の見込めない中小案件には手をださいため、本来事業承継が必要な企業へサービスが行き届いていないのが現状だ。それを解決するのがこのサーチファンドになる訳だ。以下詳しく見ていこう。

サーチファンドとは?

一言で表すと【個人が主役のM&A・事業承継】である。 
サーチファンドの起源は1984年であり、現スタンフォードビジネススクールの教授であり、世界初のサーチャーであるH. Irving Grousbeck氏によって考案された。この取り組みは大成功を収め、一躍米国の有名ビジネススクールへ広まった。MBA取得後起業するという選択肢以外に、企業を買って経営するという新しい選択肢として、MBAホルダーに人気となると同時に、投資家にとっても有効な投資機会と認知され広まっていった。日本では2000年ごろからサーチファンド設立の動きが見られるようになり、最近は中小企業の事業承継の受け皿として注目をされている。

どんな仕組みで成り立っているの?

一般的なPEファンドとサーチファンドの仕組みを比較してみよう。

(株)サーチファンド・ジャパン 伊藤 公健代表 記事から転用

投資スタイいるにおいては、どちらも過半数〜100%の株式を保有しハンズオンの経営支援をする点は共通だ。しかし、サーチファンドは組織・投資規模が小さいところからもわかるように個人が主体のM&Aと言われる所以である。サーチャー(買収後の代表)の役割は「金の卵」を探すところからスタートし、最初の面談から譲渡企業オーナーと多くの時間をともにすることで信頼関係を築いていく。無事買収交渉がまとまれば株式譲渡を経て買収成立となる。サーチファンドのメリットとして、譲渡企業のオーナーからすると個人へ売却することでより親近感を持った譲渡となることが挙げられる。そうすることで譲渡後のPMIにおいても前オーナーの力を借りてスムーズに進められる。この短さが魅力の一つだ。

どんなプロセスで進められるのか?

次にどんな流れで進んでいくのか見てみよう。

(株)サーチファンド・ジャパン 伊藤 公健代表 記事から転用

サーチファンドの流れは、サーチャーと呼ばれる人がファンドから活動資金を投資してもらい、自分とシナジーがある企業を探すところから始まる。そして自ら譲渡希望企業を見つけ直接交渉をして買収完了を目指す。買収資金も同じサーチファンドから投資してもらい、晴れて企業オーナーとなる。その後は、企業のバリューアップを行いIPOや企業売却によるEXITを行う。一般的な投資期間は5〜7年と比較的短い期間の投資となることからも、サーチャーの腕が試される。そういう背景もあり、サーチャーに選ばれる人材はM&A取得者やコンサルタント経験者、大手事業会社の経営企画などを経験した方と求められるスキルも高い。

救世主になるか。。。

これまでサーチファンドを詳しく見てきたが、果たしてこの手法が日本の事業承継問題を本質から解決するものとなり得るか。
私の見解としては、M&A業界の問題点を解決する手法として有効だと考える。
【現在の問題点】
・M&A仲介の就労人数を増やしていく
・買手企業を急増させるのも難しい

サーチファンドのような個人が企業を買収する仕組みなら、数の部分で承継数をカバーできるし、人対人の構図なら企業に買収されるのを嫌がるオーナーのニーズも取り込む可能性もある。是非とも全国的に拡大していって欲しい。

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