村上健志の俳句実況(2022/02/09)《+自作句7句》
【はじめに】
この記事では、2022年2月9日に配信された「村上健志の俳句実況」を振り返り、チャットで披露したものを含めた「自作句」をご紹介します。
過去の「俳句実況(生配信)」については、上のマガジンからどうぞ。
0.オープニング
画面が普段より近く、姿勢を正した結果、頭を画面から切れてしまうというハプニングから入った2月9日(水)の俳句実況です。
今年に入ってからは毎回土曜日でしたが、今回は平日夜ということで、日程を変えてみると参加できる層も変わってくるので良いかも知れません。
そんな頭が切れていたことは関係ないでしょうがww オープニングトークでは「切れ」について村上さんが話していました。
俳句といえば、「五七五(17音)」と「季語」が2つの大きな特徴なのですが、それに加えて「切れ」というのも大事な特徴なのだと言います。
俳句の初心者向けの本には、教科書的な説明はあるものの、その効果だったりがしっかりと説明されていないと村上さんは(も)感じている様でして、「切れ」が難しいと感じているみたいです。それでも、
1回目:75点『コスモスや女子を名前でよぶ男子』
2回目:78点『テーブルに君の丸みのマスクかな』
という2句で特待生に昇格された村上さんは、初挑戦の頃から、かなり切れを掴んでおられるなという印象がありました。それでもやはり理論的に説明するとなると難しいですよね。
1句目について、「や」でカットが切り替わると良く言うものの、村上さんとしては『コスモス』の広い光景があって、その中に女子を名前でよぶ男子が居ると描きたいそうなので、完全にカットを切り替えてしまうのではないと語っておられました。
(スケッチブックの真っ白い紙に、2つの映像を思い描かせて、ペラペラめくって解説する様は、私は伝わりましたが、知らずに見るとシュールww)
※いやでも実際、季語を「や」で切る形の句って「プレバト!!」では特に、完全にカットを切り替えてしまうのではなく、上五の季語の余韻をたっぷりと残した状態で中七下五に展開する、或いは上五の大きな季語の世界の中に中七下五の細かい部分に焦点を絞っていくアングルを取ることも多いと思うので、村上さんの理解で正しいと感じますね。
さらに、「MrNozza1919」さんからのコメントに答えると、代表例として、
などの様に明確な切れは無いものの、「季語:雪」以外の情報に自然に遷移させて、いわゆる「取り合わせ」的に詠まれている句も多いので、カットが変わらない俳句が一物仕立てかと問われれば、含んでいますが「イコール」ではないかと思います。
1.指パッチン
などと俳句について語っている間、村上さんは良く「指パッチン」をされていました。そこで1つ目の席題は「指パッチン」と決まりました。
村上さんは無自覚にやってしまうそうですが、チャット欄からは「自分は音が鳴らない」といったコメントが多く寄せられて逆に驚いておられました。村上さんは『練習した覚えはない』と仰るとおり、出来る/出来ないが顕著な仕草の一つかと思います。
指パッチンをするのは基本的に人間でしょう。そこで村上さん、こんな人物と場面設定を思い浮かべました。
この監督が、スポーツの監督か芸能の世界の監督かで描くイメージがガラッと変わってきそうですが、いずれにしても「宵」に監督が活動をしていて、なおかつ指パッチンをスカしているという点の滑稽みは流石です。
一点、プレバト!! 的に気になった点といえば、縦一行に書いた時に、「パッチン」と「スカす」でカタカナが連続してしまっているので、「スカす」を平仮名で書いた方が良いかなって思いました。
いずれにしても、この発想の飛躍ぶりは流石でしたー
《 Rx自作・指パッチン3句 》
では私も幾つか。「指パッチン」はやる設定が限定されると思うので、
『指パッチンする癖 骨折の春に』
『花おぼろ指パッチンの加速度は』
『残花のマジシャン指パッチンは巧い』
2.宝くじ
2つ目の席題は「宝くじ」と決まりました。こちらも俗っぽいものですね。
お笑いのネタなら「高額当選」の設定にするのでしょうが、俳句では不自然な虚構は難しいので、小額が当たったか、買ったけど外れたみたいな部分を描く方が作りやすそうだなと思ってみていました。
ちなみに、チャット欄の情報から調べてみると、確かに『箕面の富』などの傍題として「富札」なるものが新年の季語として掲載されていました。ただ現代における「宝くじ」は、(年末ジャンボなどを除いて)基本的には季感は非常に弱いと思いましたねー
そして村上さんは、昔ながらの「宝くじ」から連想して、ここに来ました。
『スクラッチ』でも伝わらなくはないですが、「くじ」を字余りにしても入れたいという村上さん。この現代風の向き合い方が「新社員」という季語と合っているのかも知れませんねぇ。
最後に私も1句。こんな季語の使い方をしてみました。
3.ミスド(ミスタードーナツ)
最後の席題は、なんと大胆な固有名詞『ミスタードーナツ』となりました。略して「ミスド」とホワイトボードには書かれていましたね。
日本でも1971年から半世紀以上の歴史のあるファストフード店。専門店だけでなく、大型スーパーや商業施設に店舗を展開していたりしますよね。
全国的に展開していることもあり、多くの方がミスドの思い出を語っていました。振り返ると確かに「飲茶」に注力していた時期もありましたよねー。
そしてこちらも、非常に現代的な作品を村上さんが作り上げます。これは、2022年の中でも屈指の傑作だという風に個人的には思いました!
「ひな祭り」という古来からある季語(年中行事)の現代的な変遷をはっきりと感じる作品です。『ドーナツの箱開ける子ら』でも意味はほぼ同じですが、『ミスド』という固有名詞が極めて春らしいです。
※別に、「マック」でも「ケンタ」でも良いのでしょうが、この「ミスド」というチョイスは妙に必然性を感じて、個人的には高評価でした!
このワクワク感こそ「春」らしさであり、季語の空気感を良く捉えてます。
私もそれを目指して、なんとか3句作ってみました。
《 Rx自作「ミスド」3句 》
『いいことあるぞ麗らかなるドーナツ』
『ドーナッツの名前詳しき君や春』
『先輩らに冷やかされミスドの初デート』(無季)
特に2句目は、複数の方からお褒めの言葉を頂き大変うれしかったです。春のワクワク感を強く意識する今日この頃、一足早い春を、俳句と俳句実況でお楽しみ頂ければと思います!
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