【参加録】村上健志の俳句実況（月百句Vol.11）《自作句あり》
【はじめに】
この記事では、2021年９月11日に「フルーツポンチ村上の俳句の部屋」で、行われた俳句実況「月百句」の第11回放送に参加した記録を、私の添削句や自作句を交えてご紹介していきます。
０．オープニング
残り55句と、折返し地点の50句が見えてきての放送。早速、『月百句』にー とおっしゃっていましたが、最初は宣伝も兼ねて、告知をひとつ。
フルポン村上の俳句修行・番外編 人工知能「AI一茶くん」と三番勝負！
村上さんの『好書好日』の連載企画の番外編として、「AI一茶くん」コラボ企画が開催中。どっちが「AI」の作った句か、Twitter投票を実施中なので、この記事をお読みになった方はぜひご覧ください。クオリティ高いっすよ？
１．席題「月の舟」＋スニーカー
最初の兼題は、前回の俳句実況で、スパチャ付きで要望のあった「月の舟」に決定。更に、もう１つテーマを募るという実質テーマ２つな難しい題に。
ちなみにこの「月の舟」とは、『半月』の傍題で、「大空（夜空）を海に、月を舟にたとえた秋の季語」なんだそう。この季語単体でも詩心にあふれていますよね～
この「スニーカー」というチョイスも、かなり良いと思います。村上さんは十数分迷っておられましたが、「スニーカーの名前」という固有名詞を駆使し、視聴者からの後押しもあって「２句」作りました。
【 １句目 】
『初めてのポンプヒューリー月の舟』 村上健志
１句目の「ポンプフューリー」は、村上さんが中学生の頃とかにも流行ったというビビッドカラーなスニーカー。『初めての』とあると持ち主の若さとワクワク感が伝わってきますね。 続いて、
【 ２句目 】
『お揃いのジャックパーセル月の舟』 村上健志
こちらは村上さんが大好きな脚本家・坂元裕二さんの恋愛映画『花束みたいな恋をした』にインスパイアされたエピソードだそう。
《 Rx自作句① 》
私も、村上さんと同じアプローチ、スニーカーの名前で２句つくりました。
①-1『月の舟「俊足」でなんか飛べそうな』 Rx
①-2『月の舟 飛ぶために履くコンバース』 Rx
子供がそのネーミングからして憧れる「俊足」と、星のロゴもオシャレだという「コンバース」を入れての２句です。皆さんはどんなスニーカー履いた句を作られますか？
２．席題「動物園」
続いて２句目は「動物園」という席題。デートでも子供連れでも、あるいは一人でも楽しめるレジャー施設ですからね。句材は沢山ありましょう。
一つポイントとなるのは、「月」を季語とした時に、どうしてもナイトサファリか閉園後の動物園となるところ。昼間の賑やかさとの対比がポイントとなりそうです。
色んな動物が居る中で、村上さんは象からゴリラへと着目して、こんな句が出来ます。
【 ３句目 】
『月明かりゴリラの檻のずた袋』 村上健志
↓
『月明や』
↓
『月明のゴリラの檻のずた袋』
本人曰く「神様目線（俳句らしい作者という視点ではなく、小説の地の文のような第三者的な視点のこと）になっちゃう」ことを、気にしておられましたが、私はそこまで気になりませんでした。
季語も村上さんの中で推敲されて、こちらの形となりました。夜の動物園も非常に詩心に溢れていますね。
《 Rx自作句② 》
私も、村上さんがゴリラに行き着く前に悩んでおられた「閉園になって取引先が見つかった象」という発想を、お借りして作ったこんな１句。
②-1『引き取り先の決まらぬ象や星月夜』 Rx
絵本のワンシーンのような作品になりましたでしょうかね。あと、村上さんにも共感してもらって嬉しかったのですが、皆さんはご存知ですかね？
50円とか100円とか入れて、受話器で動物の説明を聞くこういうの（↓）
②-2『<動物園にて> 夕月や百円で聞く象のこと』 Rx
ちょっと伝わらないかなｗｗ でも動物園は吟行にもオススメですね。家藤正人さんも仰ってましたが、同感です。
３．席題「公園」
続いても、デートかな？ って思うぐらいの鉄板スポット「公園」がテーマに決定。村上さんもおっしゃるとおり、最初に「吟行」に行くにはピッタリな場所だと思います。
こちらもポイントは「動物園」と同じで、「月」が入ることで自然と「夜の公園」になること。そこをうまく活かせるかが鍵になります。
【 ４句目 】
『夜半の月砂場に刺さるウルトラマン』 村上健志
村上さんは「逆さ」と入れたかったとおっしゃいましたが、コメント欄にもあった通り、動詞「刺さる」によって、変な向きに子供に刺されて忘れ去られたのかなって分かります、これは言葉のチョイスが良かったと思います！
こんな扱いをされてしまうのも、ウルトラマン人形のある種、運命なのかも知れませんねぇ。
《 Rx自作句③ 》
村上さんはある種、子供目線だったので、私は親の目線から？ こちら。
③-1『公園の近き新居や月の秋』 Rx
ご高齢の方かお子さん連れでない限り、あまり寄る機会もないし、ましてや近くにあるかどうかを気にして物件選びをするなんて珍しいと思うんです。「公園の近き新居」という語の裏のドラマを詠み手に想像してもらえたら嬉しいなと思って作ってみました。
村上さんも仰っていたとおり「公園」は非常に俳句づくりに優しい場所だと思うので、皆さんもぜひ１句、この状況下でも行きやすいでしょうからね。通報されない程度に散策＝吟行してみてくださいｗｗ
４．席題「ドラえもん」（＋恋）
そして、折り返し50句に王手として、今日最後の席題は「ドラえもん」となりました。先ほどの句で「ウルトラマン」が出たので、その流れで。更に、
というスパチャが来ちゃったので、「ドラえもん」を選んだ後ですが、何とか「恋の句」を目指すとのこと。サービス精神旺盛ですねぇｗｗ
１つ目に続き実質「縛り２つ」のハードモードでの作句となりました。でも村上さんの句柄で確かに「恋の句が好き」という声は多いですし、作句してても生き生きされてる印象なので、これは期待大です！
【 ５句目 】
『ひとり月を待つ ひみつ道具なく』 村上健志
「ひとり」で恋人が居ない状況を描いたとおっしゃる通算50句目。破調で、恋の様子を描く村上さん、やはり「ひみつ道具」はドラえもんを詠む上でも欠かせない存在なのでしょう。語順については推敲の余地がありそうです。
さらに、『ドラえもん』という作品にメタ的にアプローチします。こんな句です。
【 ６句目 】
『ドラえもんをマネる月下の君の声』 村上健志
村上さんの披露したドラえもんのクオリティはさておきｗｗ 声真似をする中、ドラえもんは非常にメジャーで、メジャー過ぎるからこそ、大山のぶ代さんの時代には「声優業界でモノマネはタブー」視されてたんだとかｗｗ
「君の声」と聴覚に村上さんは訴えておられましたが、個人的には幾つか気になる点があったので、こんな添削案をご提示しておきます。
【 Rx添削案 】
『ドラえもん真似る月下の君の喉』 村上健志
上五を字余りにしてまで助詞の『を』を入れなくても良いのかなというのが１点と、「マネる」と仮名（カナ）が続くことを気にしたようなら、真似るを漢字にしたらどうかなと思いました。
そして、最後に「君の声」と着地すると聴覚に訴える句になりますが、私（Rx）なら、「君の喉」と抑えて、視覚情報を強めて映像化するとともに、愛しい人の部位に目線が行ってしまって、浮ついている感じを出せるかなと思いました。
《 Rx自作句④ 》
最後に私も「ドラえもん」と恋の句を。
④-1『ドラえもん告白できたよ月今宵』 Rx
どうしても「ドラえもん」で「恋」というと、『のび太の結婚前夜』を連想してしまいます。アニメ・映画としても人気のエピソードですかね。
上五で「ドラえもん」と置いて、実は「のび太」が呼び掛けている。そんな空気感を出してみましたが如何でしょうか。
そして、「ドラえもん」に「恋」と言われて、ふと思い出してしまったのが【星野源】さんです。そんな１句もお遊びで作ってみました。
④-2『ドラえもん、恋と歌って星月夜』 Rx
星野源さんの大ヒット曲は、タイトルが一単語でシンプル。その洗練された感じが、多くの世代に届くのだろうなぁ、と思いました。
【おわりに】
気づけば、残り50句を過ぎて、早くも村上さんは「折り返し地点」を過ぎた残り49句となっています。私はもう少し沢山句が出来ていますので、月百句の100句までもうちょっとといった所でしょうかね。今回出来た句がこちらになります。
①-1『月の舟「俊足」でなんか飛べそうな』
①-2『月の舟 飛ぶために履くコンバース』
②-1『引き取り先の決まらぬ象や星月夜』
②-2『<動物園にて> 夕月や百円で聞く象のこと』
③-1『公園の近き新居や月の秋』
④-1『ドラえもん告白できたよ月今宵』
④-2『ドラえもん、恋と歌って星月夜』