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【参加録】村上健志の俳句実況(月百句Vol.16)《自作句あり》

【はじめに】
この記事では、2021年10月7日に「フルーツポンチ村上の俳句の部屋」で、行われた俳句実況「月百句」の第16回放送に参加した記録を、私の添削句や自作句を交えてご紹介していきます。

0.オープニング

仕事が多忙なこともあって、1週間以上ぶりの配信となった今回。

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プレバト!! 金秋戦の決勝戦で、フジモン名人に『(だから)お前のやってる俳句のYouTube再生回数めっちゃ低いんや』とイジられた直後の配信です。やっぱり再生数は……決して、多いとは言えないですがww

でも、『YouTubeって元々収益とかじゃなくて、友達同士で動画を共有するものだから。俺、友達と動画共有したくてやってんだ。』という村上さんの返しは嬉しかったですね~

(個人的には、金秋戦の話しの流れの中で『芸人やめます!』的なことを仰っていたので、それで吉本のマネージャーさん達に怒られて、自重してたのかなー なんて思ったのですが、ひとまず、)

芸人さんらしく「チープものまね」の動画も久々にアップして下さいました。そちらも再生数を伸ばして(?)行きましょう!

なんて雑談をしながら1つ目の席題決めに移った……のですが、本題に入ろうとした所で、なぜか画面が急に「カクカク」しだします。最初は村上さんも気づいていませんでしたが、どうやら、『パソコンを長く起動していた』ことが原因ではないかと予想されていました。

1.席題「カクカク」

そんな下りもあって、1個目の席題は、私含め数人が提案をしていた「カクカク」というオノマトペっぽいものに決まりました。結構久々ですよね。

自身の配信環境で確認をしても「カクカク」しだした様で、その動画を見た村上さんはふと「コマ送りみたいだ」とコメントします。

そんなコマ送りの情景を描こうとしたのが、今日の1句目です。結果的には「一物仕立て」の様な落ち着きのある句に仕上がっています。

【 1句目 】
『カクカクと月に集まる薄き雲』 村上健志

月にかかる雲がなだらかにではなく、まるで「コマ送り」の様に動くさまを描写したという作品です。配信環境から生まれた「カクカク」という席題が結果的には成功している、そんな風に感じましたね。

《 Rx自作句① 》

私は、カクカクという言葉の響きから、直角が連続するものを思い浮かべました。そして、どちらかというと「子どもっぽい」雰囲気が出ていたので、こんな句をば。いかがでしょうか?

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①『カクカクと迷路なぞれる吾子良夜』 Rx

あとは、カクカクなCGだったり、カクカクなニコニコ生放送だったりも想像したのですが、「俳句」という文芸との相性を考えて今回はスルーします。

2.席題「電子マネー」

1つ目の俳句発表後、「一句一遊」などでもお馴染みのいつき組の俳人な「彼方ひらく」さんがコメント欄に登場し、ちょっと盛り上がったり。

2つ目の席題は「電子マネー」となりました。コ口ナ禍で更に広まった印象のある「電子マネー」は、もはや「俳句の題材」となりうるほど、現代の都市の光景に馴染んでいるものかも知れませんね。

もちろんICカード定期券なども広い意味では「電子マネー」の機能を持ち合わせていますが、やっぱり「電子決済」の◯◯ペイとかの印象が強いです。

視覚に加えて聴覚も刺激することに気がついた村上さん、発想をここまで飛ばした後に、季語を悩みますが、この季語を再び登場させて2句目が完成。

【 2句目 】
『月の暈 決済音の声の主』 村上健志

電子音声にしても、声というのは、誰か人間の声を元にしているものです。『決済音の声の主』と、実在しない人間の存在を想像し、それに『月の暈』という季語を取り合わせたのが素敵です。

時々、雑学的なバラエティ番組にもありますよね、「◯◯の声の主の人」として声優さんが紹介されたりするヤツ。

ちなみに、個人的には、村上さんが「声の主をはっきりと認識していない」感じに話されていたので、もう少し朧気にしてみても雰囲気出るかなと思いました。

【 Rx添削例 】
『月暈や決済音も誰かの声』

電子的なものに、人間の温かみを感じるというのは、平成後半から令和にかけての「ベタ」ではあるかも知れませんが、安心感のある句材ですよね。

《 Rx自作句② 》

ちなみに、私は「電子マネー」に消極的な人間でして、あまねく媒体や企業で使える統一的制度が確立されたら、全面的に乗っかろうと思ってますww

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厳密にはちょっと違うかも知れませんが、「電子マネー」として捉えても、海外の信用の低い現地の通貨単位と詠んで頂いてもな1句を作りました。

②『胡散臭い通貨単位や月明り』 Rx

季語を『月明かり』とすることで、異国感で詠んでも良い様にしたつもりです。皆さんはこの句、どういう風に詠まれますか? お聞かせ願えればと。

あと、「残額不足」ってのもコメント欄にありましたが、それも良さそうですね。ただし、令和の時代においては、電子マネー全般がベタになりそうな危惧もあるので、そこには注意が必要かも知れません。

3.席題「缶詰」

2つデジタルなものが続きましたが、3つ目の席題は非常にオーソドックスに「缶詰」。生活に身近なものだけあって、コメント欄から「アイディア」が来るわ来るわww

缶詰単体だけでなく、「缶切り」やら「缶蹴り」まで発想を飛ばした結果、収集がつかなくなり、時間ばかりが過ぎていきました。苦しんでやや逃げる様に本人は感じながら出したのがこちらの句です。

【 3句目 】
缶詰のように開けられそうな月』 村上健志

「プレバト!!」で名人昇格の時に披露した「ペリッと剥がせそうな月」に酷似していることを本人が相当気にしていらっしゃいましたが、苦しんだ末の作品ということで、73句目が出来上がりました。

《 Rx自作句③ 》

ちなみに、村上さんの話す中で、特に懐かしいなーって思ったのが、これ。『缶ぽっくり』です。皆さんはご経験ございますかね?

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ネーミング的には全国色々ありそうですが、これで遊ぶ習慣というのが結構広く分布していることを今回知ることが出来て嬉しかったです。

さて、私の句ですが、どうも「乾パン」とかの災害用の缶詰を、結局は使用することなく、自宅に持ち帰って食べた経験があったので、それを句にしてみました。「地震」を古く日本では『なゐ』と呼んでいました。

③『地震揺なゐふらず開くる新月の缶詰』 Rx

これは「新月」に「(食べ物の)缶詰」を開けて食べているという普通の詠み方をして頂いても勿論良いですし、敢えて字面どおり詠んで、「新月が中に入っている缶詰」というファンタジーなものを想像しても面白そうです。

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4.席題「かさぶた」

続いて4つ目の席題は、こちらも懐かしさを覚える「かさぶた」というものです。大人になると昔に比べて「かさぶた」の出来る機会がめっきり減ったなと感じる今日この頃ですが、

村上さんは『童心』を蘇らせて俳句を詠むのが非常にお得意なので、こちらも頑張って句を作り上げました。それがこちら。

【 4句目 】
『かさぶたに月の匂いの砂まじり』 村上健志

確かに、「かさぶた」と「砂」というのは相性が良いですよね。まずそこに目をつける辺りが流石は村上さん。さらに、月百句というテーマがあるとはいえ、「月」に嗅覚を刺激させるあたりも見事です!

《 Rx自作句④ 》

皆さんのコメントを見ている中で、「体育館でスライディング」して膝を擦りむいたなんていう学生時代の記憶がありありと蘇ってきました。こういう原体験を思い出せるのも、俳句実況の楽しさですよね。

④『かさぶた落つ試験前夜の半月よ』 Rx

これは即吟した句です。「落つ」と終止形にしましたが、句全体の完成度は今一歩かなと感じています。それはさておき「かさぶた」といえばやっぱり学生の印象が強いです。

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その一方で季語が「月」となると基本的には夜のイメージ。そこをどう結びつけるかを考え、こんな作品となりました。

5.席題「ヘルメット」

最後の席題も、なんか子供の頃を思い出す「ヘルメット」。ただ、大人でもヘルメットを着用する機会は案外多くて、ネタを集める幅の広そうなテーマと言えるでしょう。

コメント欄から「小学校で自転車の練習」を校庭でしたことなどもまた思い出したりしましたが、村上さんはもう少し年上な、中高生の野球部かな? ヘルメットを連想しました。それがこちら。

【 5句目 】
『ヘルメット部室に並べ終え月下』 村上健志

《 Rx自作句⑤ 》

原付に乗っていた時期は日常的に「ヘルメット」を被っていましたが、学生時代は徒歩か電車通学・通勤でしたので、基本的には「ヘルメット」と無縁な生活を送っていました、私。

そこで、村上さんの「自転車のヘルメットの紐」を学生時代に、なんて話しを拝借して1句作ってみました。それがこちら。

⑤-1『チャリメットの紐に反抗期や夕月』 Rx

チャリメットという極めて俗で崩した表現を敢えて入れることで、若者感を狙ってみましたが、如何でしたでしょうか。

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【おわりに】

そして、もう1句、最後にご紹介しましょう。この俳句実況が終わった直後に起きた「強い揺れ」を伴う千葉県北西部を震源とする地震に関連した句。

地震なゐ新月メット姿のアナウンサー』 Rx

「東日本大震災」の時ぐらいから時折、テレビでも賛否が分かれてた、民放アナウンサーの「ヘルメット」を着用しての災害報道。先日の地震においても、何例か見かけました。慣れれば、安全対策上は大事だと感じます。

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あと1時間ズレていたり、あと30分延長して俳句を作っていたら、恐らく「俳句実況」の配信中にあの地震が起きていた事でしょう。
村上さんとしても、内心ホッとしたのではないでしょうか。やはり人の目がある中で災害に遭遇するのは、芸能人であるかに関わらず負担が大きいですから。

さて皆さんも全国地震には注意を払いつつ、お過ごし頂ければと思います。ここで今回の記事でご紹介した5句をご紹介します。

①『カクカクと迷路なぞれる吾子良夜』
②『胡散臭い通貨単位や月明り』
③『地震揺なゐふらず開くる新月の缶詰』
④『かさぶた落つ試験前夜の半月よ』
⑤『チャリメットの紐に反抗期や夕月』

◯『地震なゐ新月メット姿のアナウンサー』


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