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【参加録】村上健志の俳句実況(月百句Vol.9)《自作句あり》

【はじめに】
この記事では、2021年9月4日に「フルーツポンチ村上の俳句の部屋」で、行われた俳句実況「月百句」の第9回放送に参加した記録を、私の添削句や自作句を交えてご紹介していきます。

0.オープニング

これまで結構悩んで作っていたが、ここ2回はスピードを意識して作句して毎回5句作れている状況。もし1時間以内で5句作れば、もう少し作ろうかなと宣言してのスタートでした。(過去の記事はこちらからどうぞ ↓)

残り67句ということで、9月中に1回「3時間とか長尺で、10~15句作る回を設けたい」と仰っていました、そちらも楽しみです!

1.席題「一昨日(おととい)」

最初の席題は「一昨日(おととい)」と決まりました。『昨日』ではなくて『一昨日』なのがミソ。自然に盛り込めるかが大事になってきそうですが、村上さんも『一昨日だから連想することってないですからね』と語ります。

結局、この席題で「理論づけて」考えるなら、『普通なら昨日なのに一昨日である事の面白さ」を突き詰めてドラマに仕立て上げるのが鉄則でしょう。

村上さんもそのアプローチで攻め、いきなり2句出来上がりました。まず、

【 1句目 】
『一昨日の料理の画像 月の秋』 村上健志
『一昨日のケーキの画像 月の秋』

「料理」と「ケーキ」どちらが良いか悩んで、コメント欄は僅かにケーキが優勢かなぐらいの感じ。当初は、一昨日の画像を『SNSにあげる』部分まで言おうとしていましたが、『月』が入らなくなってしまうので断念。しかしその結果、余白が生まれて、落ち着いた作品になったと思います。続いて、

【 2句目 】
『日替わりメニュー一昨日のまま月上る』 村上健志

こちらも好意的に詠めば、「昨日のまま」なら普通だけど「一昨日」な所にドラマがあると見て取れるでしょう。店主が体調不良になっちゃったのかなとか幾らでもですね。

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ちなみに私なら、敢えて「ぼかす」方向の句を練習で作ってみました。

【 Rx私案 】
『日替わりは一昨日のまま朝月日』

日の字を3回使ってみました。そして「メニュー」と限定をしないことでの損得をお楽しみ頂ければと思います。

《 Rx自作句① 》

私も2句ほど、兄弟みたいな感じで作ってみました。どちらも「一昨日」+「思い出す」というベタな発想の句です。

①-1『一昨日の約束思い出す月夜』 Rx
①-2『三日月やをとゝひの件思ひ出す』 Rx

1つ目は「約束」と、2つ目は「件」としてみました。特に2つ目は敢えての旧字体としてみましたが、なかなか難しいです、ぼんやり成功させるの。

2.席題「佳」

続いてのテーマに移る前に、こんなスパチャが飛び込んできました。それが

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もしできれば、でいいのですが、「佳」という文字でお願いしたいです。友人の名前に「佳」を含んでいて、彼女の誕生日が秋で、彼女に送れるようなものをもし作っていただくことができれば... 俳句については全く分かってないので、可能であれば、で大丈夫です。難しければ無視して下さい。

句会では良くあるものの、この俳句実況ではあまりなかった「漢字1文字」シリーズお祝い句としての側面があるものの、その一方で、「佳」という漢字は、使われる熟語も少なく、結構難しいテーマです。

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ちなみに、辞書を引くと「佳」という字では、『佳い』に訓すれば「よい」となり、「良い」などとほぼ同じ意味となります。
「佳人薄命」や「佳作」などで書き言葉として見かけますが、日常会話では「佳境」ぐらいでしょうか、中々お見かけする機会が限定される漢字です。

けっこう悩まれましたが、村上さん、出来上がった作品は流石の一言です。

【 3句目 】
『ロウソクのクリームを舐め佳宵かな』 村上健志

「良夜」とほぼ同じ意味を持つ季語『佳宵』で「月」の要素を入れつつも、「ロウソクのクリーム」と【誕生日ケーキ】を匂わせ、さらに動詞「舐め」を入れる事で、おちゃめでくだけたな家族・仲間の光景が浮かんできます。

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これなら、彼女さんの秋の誕生日にプレゼントをしても(意味を説明してあげれば)きっと喜んでもらえる作品になったのではないでしょうか? これは句集にしても「鍵」になる素晴らしい句だと思います!

ちなみに、最初は『ロウソクのクリーム舐めし佳宵かな』でしたが、助動詞「し」警察の私としては、『過去』の意味を入れる必要性が気になってて、冒頭お示ししたような形に推敲なさっていました。

※ちなみに、子供の頃に「ロウソクのクリーム舐めたなあ」と回想しているならば、助動詞「し」は効果的なのでしょうが、大人になってとか、今子供の相手が現在まさに「舐めている」んだとしたら、現在形の方が良いかな?

これに対して、冒頭、テーマを寄せてくださった「alpha」さんから、再びのスパチャ、しかも「赤スパチャ」が寄せられ、謝意が伝えられました。

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このチャンネルに「赤スパチャ」来ること自体珍しいので驚いてしまいましたが、でも良く考えたら、芸能人で俳人の方に、自分の彼女へのプレゼントの俳句を作ってもらえるんだとしたら、5,750円でも決して高くないですよね。

いわば、「プレバト!!」の次番組である「モニタリング」で、プロの歌手が1曲◯千円で歌うドッキリを、ガチでやっているみたいなもんですからww

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結果的には、以前、中田敦彦さんが提案した様なスパチャ飛び交う俳句実況が実現し始めている、そんな感じがしました。とにかく凄い!

《 Rx自作句② 》「佳」の字を含んだ人名の2句

私も触発されて「佳」の字を含んだ俳句を2句ほど作りました。村上さんが最後にボソッと仰っていましたが、

村上「まあ佳宵(かしょう)って良い言葉だよなぁ。この字(佳)付けたら何でも良いって意味になるんだからすげぇ良い字。そりゃみんな名前に付けるわな。だから名前って凄いよなぁ、殆どの場合ご両親が素敵な名前にしたくて、良い意味の名前を付けるんだよな、名付けって。
 ここにいる人の名前もきっと……私の名前も『健康な志』(健志)ですし、グロテスクな意味が付いた方ほとんどいらっしゃらない(と思う)」

と仰るとおり、文字通り「佳い意味」だからこそ、多くの人が、大切な家族を名付ける際に使いたくなる字なのでしょうね。どちらも歌手の名前から。

②-1『小椋佳好きのラジオよ佳き月よ』 Rx
②-2『佳祐のふざけぬ唄や海に月』 Rx

1句目、私の好きなラジオ番組であるラジオ関西(AM神戸)の『青春ラジメニア』のパーソナリティ「岩崎和夫」さんが、良く『小椋佳』さんの歌を流されます。そこから着想を得ての俳句でした。

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続いて、2句目は、言われてみればですけれどのサザンオールスターズの「桑田佳祐」さん。佳祐という表記が案外珍しいので、名字がなくても伝わるかなと思って作りました。
桑田佳祐さんの本意(?)は「ふざける」ことにあるとは思いながらも、『奇跡の轍』や『真夏の果実』に『TSUNAMI』など名曲ありますからね。

3.席題「バウムクーヘン」

ここまで、日替わりメニューにケーキと腹ぺこでもないのに食べ物が登場している村上さん。「食べ物縛り」ということで続いては『バウムクーヘン』に決定しました。

『バウムクーヘン月みたい』と7・5音で考え始める村上さん。バウムクーヘンって、形状が独特なこともあって、特有の食べ方がある様に感じます。そこに拘って村上さんが思いついた句がこちら。

【 4句目 】
『バウムクーヘン月光ごとちぎる』 村上健志

これも勢いのある句ですね。バウムクーヘンの食べ方の形容を、『ちぎる』で良いのかずっと悩んでいましたが、音数的に難しいですよね、たしかに。ただ一つ言えるのは、「月光ごとバウムクーヘンをちぎる」という発想には詩心が溢れているということです。

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ちなみに私なら破調にせず定型に収める形を考えて、

【 Rx添削案 】
『バウムクーヘンちぎる月の光ごと』

とするのも一案かなと思いました。ただ、原句の勢いが削がれてしまうのでそこの判断は皆さんにおまかせしたいと思いますね。

《 Rx自作句③ 》「バウムクーヘン」にまつわる数句

クイズのファンならずとも、「バウムクーヘン」がドイツ語の『木の幹』を語源としていることは結構有名みたいですね。

お菓子の家にも出てきそうな「バウムクーヘン」は、いろんなシーンに登場します。コメント欄には結婚式のイメージが強いとの声もありました。

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私は少しイメージを変えて、芸能界だったりの「差し入れ」(これもコメント欄にあったやつですが)に発想を飛ばしてこんな句を。

③『差し入れのバウムへ月光のナイフ』 Rx

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私は、略語も容認する派の人間なので、バウムクーヘンを「バウム」と省略して句にさせてもらいました。自分のテリトリーの中では良いっしょとww

4.席題「ガム」

食べ物縛りの今回の最後の席題は、結果的に「お口直し」な感じで『ガム』に決定。色んなガムがありますが、一般的には「チューインガム」のことを指す言葉として定着していますよね。(他に行っても面白いけど)

形状も味も用途も多岐にわたるため、これはこれでエピソードを見つけてこないと作るのが難しそうな「俗っぽい」テーマです。でもそれが得意なのが村上名人。すんなりと2句作ってしまいます。

【 5句目 】
『ガム捨てる場所なき月の観覧車』 村上健志

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さらに連作みたく関連した作品として出来たのがこちらです。

【 6句目 】
『歯の奥にガムを隠して月下のキス』 村上健志

これは下五の字余りが個人的にはあまり気になりませんでした。勢いが付いて若々しさを表現できていると思います。こういうデートとかの句は、以前からやっぱり素晴らしいと思いますねー

《 Rx自作句④ 》「ガム」にまつわる数句

先ほど書いた通り、ガムは色んなバリエーションがあるのが面白みであり、掴みどころが難しいテーマでもあるかと思います。ひとまずコメント欄にあった「ガム」関係の単語から、色々ひねってみました。

・ブルーベリーガム
・焼肉屋でもらえるガム
・ガムの捨て紙

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④-1『バス酔いのブルーベリーガム月遠く』 Rx

車酔いするタイプの人間である私にとっては、ガムを噛むと、それはそれで気持ち悪くなってしまいますww もちろん月は遠くにあるものなんですが敢えて「遠し」とすることで、心理面を投影しているそんな作品です。

ではここで最後に1曲。雅夢で『愛はかげろう』(1980年、最高3位)

これを思いついてしまって(もはやダジャレ)、最初作った句がこちら。

【 推敲前 】
④-2『十五夜を愛はかげろう聞きながら』 Rx

これに関連して、『愛はかげろう』がギターで最初に弾いた(練習した)曲みたいなコメントがあって、それを受けて、こう推敲してみました。

【 推敲後 】
④-2'『十五夜や愛はかげろう弾きながら』 Rx

弾くという主体性を盛り込むことで、積極的に「十五夜」の満月を愛でている感じが出ないかなと思った次第です。「ガム」ではないですけどねwww

じゃあ、ガムそのものを詠んだ歌に関する曲を!(←結局、曲の話かい!)

④-3『夕月へマグマ大使のガムの唄』 Rx

さらに昭和中期(1966年)まで遡ってこんな句を。特撮『マグマ大使』から挿入歌扱いの「ガムの唄」を取り合わせてみました。オールド特撮ファンの皆さん如何でしたでしょうか?(狭ww)

【おわりに】

今回だけで、村上さんは6句、私に至っては9句も出来てしまいましたww ぜひ皆さんも一緒に「月」で1句作ってみませんか?

※『日替わりは一昨日のまま朝月日』

①-1『一昨日の約束思い出す月夜』
①-2『三日月やをとゝひの件思ひ出す』

②-1『小椋佳好きのラジオよ佳き月よ』
②-2『佳祐のふざけぬ唄や海に月』

③『差し入れのバウムへ月光のナイフ』

④-1『バス酔いのブルーベリーガム月遠く』
④-2'『十五夜や愛はかげろう弾きながら』
④-3『夕月へマグマ大使のガムの唄』


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