にわかメイニア
阿佐ヶ谷に、行ってみたい店があった。
毛皮のマリーズでドラムを叩いていた富士山富士夫さんが立つ、バーふじやま。
看板には大好きな宇野亞喜良さんの絵があしらわれているのも胸が熱い。
行きたいなら行けばいいのになにをモジモジしているかといえば、正直、自分をマリーズのにわかファンだと認識しているから。マリーズ活動中にライブも行けなかったし、(過激なライブらしく流血を見たくない。完全にビビって手を出せない。)アルバムを買ってライナーノーツを読み漁ってもいない。こんなのではとうてい熱量が足りないのではないか
マリーズを知ったのは、志磨さんがイエローモンキーに感化されてバンドを始めたと耳に入ったから。(正確には何かで読んだんだと思う)私の中のそれまでの認識では、そう言ってるバンドさんはみてくれだけに全振りしてキモい(ごめん)のが多く、イエローモンキーの影響でバンドを始めたなんて言わないで欲しいということが多かった。(なんか本当ごめん)
でも、同じイエローモンキーが好きという気持ちが嬉しくてそんなバンドはどうしてもチェックしたくなっちゃう。
マリーズは完全に違った。とたんに好きだと思った。イエローモンキーを消すことなく昇華して他の要素をふんだんに取り入れた自分たちの音楽をやってた。それってめちゃくちゃすごいことだとおもった。
前置き長くなっちゃったけど、好きという気持ちはちゃんとあるの。イベントをやるなら少しでも多く来て欲しいでしょ?なんてどこから目線な気持ちで、バーふじやまでやってるドレスコーズのポップアップに行かせていただいたわけです。
ぼくだけはブルー
志磨遼平さんの出した自叙伝を買いました。これが本当に良かった。感想は後ほど
せっかくきたから、夜のバー営業も思い切って参戦。
パートナーと行ったから、いくらか気が楽だったのもあって無邪気に楽しく過ごせた。印象的だったのは、お店に置かれたライトやトイレのお花(茎が華奢で可憐なコスモスだった)ハンドソープはビュリーが置いてあって、いや、オシャレすぎん?!富士山さんて実はとんでもなくオシャレな人?!と思ったこと。
よくよくお話が深まってくると、志磨さんの形跡が数多く残っていたのがわかった。
うちの店も今使ってるハンドソープがなくなったらビュリーにしようと決めた。それくらいにあれは大きな仕事をしてた。
「社長!!」と呼ばれて他の常連さんがたに大人気の、肌が綺麗な男性がきて
酔っ払った勢いで、「何の偉い方なんですか?」なんて不躾な質問をした。
レッドクロスの社長さんだった。
これは自叙伝を読んでからかなり恥ずかしく申し訳なく、失礼をしたなと思った。とんでもなく素晴らしい方じゃないか!!!私のバカヤロウ!ポンコツ太郎!!!
できそうでできない 行きすぎる、やり切る、偏ったバランスの継続。本を読んでいて畏れと憧れが同時に押し寄せた。
傷つけてしまうことがわかっていても、つくりたいビジョンを止められないなんて。よっぽど自分のやりたい完成体が見えてしまうのだろうな。これがスターか。
選ぶ言葉ひとつひとつに思想が滲む。澱みを拒む自分の在り方への姿勢に、自分にももう少しそんな要素があってもいいなと小さな火がついた読書体験だった。