空を撮り損ね、こねてみた。
美しい朝日を雲の切れ間から感じて、掻き立てられる様にスマホのカメラを起動する。
素人の修正無しの一発撮りを楽しむ瞬間に、集中しながら空に向かう。
1秒、2秒、3秒....
次の瞬間に映り込む可愛いモデルさん達_
何で今なのかね...
手前の電線に愛らしく、上手に並ぶ小鳥達を目で追いながら3羽と、2羽と、5羽と数え出し、いつの間にやら脳トレに早変わり。朝1番の囀りは忙しい様で、飛び立つ鳥と仲間に入る鳥はなかなか定まらず、暗算に夢中になり愉快な敗北をする。
目を凝らして見ると鳥関係が面白い。
詰めろや、押せ押せと小さな一歩で微調整しながら体を寄せ合う子達も居れば、優雅に毛繕いが忙しい子。体を膨らませてどっしりと落ち着く子は隣りの口喧嘩に興味が無い様子。
鳥達も人間をこんな風に眺めているのかな_
道に落ちた毛糸の帽子を、誰が落としたのか知っているだろう。
公園で誰よりも早く来て待っていた子は、誰かを知っているだろう。
前が見え無い程の荷物をカートに積んで運ぶ配達のお兄さんに、駆け寄り扉を開けてあげる人を見ているだろう。
翼があるって良いな。皆が知らない事を
いっぱい知っているなんて素敵だな_
子供の頃は、雀を助けたお爺さんが御礼に鳥の声が聴こえる頭巾を貰った昔話を真剣に羨ましいと思っていた。
大人になっても羨ましさは変わらないけれど、進化する未来の先まで手に入りそうも無い。
今出来る事は何だろうかと考えると、鳥目を持つ事だと思う事にした。
シャッターチャンスを逃した代わりに、新しい目を学んだ日のお話_
未来の聞き耳頭巾...登場するかな....。