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イチジクの便り

柔らかく繊細な無花果を優しく洗う
無花果の晴れの姿が引き立つお皿を探す
食器棚の中で1番白いお皿に置き
芸術的な色を眺める時間にふと想う

無花果と名付けた人は誰だろう
花も果実も無いなんて少し哀しげな名前だ
柔らかな実は優しい色
控えめな甘さに心がほぐれる

実を繋ぐ茎を持つと無二の音を奏でる鈴のようにも見える
柔らかな実が落ちない様に手を添えながら感じ取る時を鳴らす

一軸と書いてもイチジク
沢山ある果物の中で違う個性を保つ無花果は
優しく時に溶け込み夏の終わりと秋を繋いでいる

その姿を小さなスケッチブックに描いて
テーブルに置いた。

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