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スーパーなお月様の贈り物

 「お母さん、今日はお月様が大きいよ。」

   「何言ってるの、毎日お月様の大きさが違う
 訳が無いでしょ。それを言うなら、大きく見え 
 るよっでしょ?」

子供との会話は国語力を上げる為の課外授業の意識が働き、ついつい頭の中に赤ペンを持ってしまう。長い月日で赤ペンの色も薄くなり始め、最近では子供に赤ペンチェックを受ける始末。

 「フアンじゃ無いよ、ファンね。」
   「れいあい(恋愛)じゃ無いよ、れんあい(恋愛)
 だからね。
 アーチストじゃ無くて、アーティストだから。   
   外でも言って無い?
 いつも少し間違ってるよ。大丈夫?」

鋭い指摘に少々モヤモヤするけれど、有難い青赤ペン先生にお礼の感謝を込めて大好きなレモンのグミを渡した。
肩を窄め耳を真っ赤にして帰った日は、薄くなった互いの赤ペンよりも、同じ空気と安心の気配を刻む様にそれぞれの時間に分かれて過ごす様になっていた。
 
スマホを持つ手が大きく見え、パジャマの裾が少し短くなった青赤ペン先生を部屋に残し、スーパームーンを見逃した空へお月様の後を追いかける様に外に出る。身を乗り出し、限界まで目を泳がしながら探す。
  前にもこんな日があったな_
空気が澄み渡り、星の光に魅せられながら自分が有りの姿に返って行く様な軽やかな気分になる。

たっぷりとお姫様気分に酔いしれ満悦の幕を閉じようとした時に、星の光に照らされた夜空に浮かぶ白い雲に気が付く。
  これは_
夢みる夢子ちゃんの妄想劇とはわかっている
けれどワクワクして嬉しくなるから仕方ない。
空を見上げ、指で形取ってみた。
トナカイのソリに乗った白髭のサンタクロース
が浮かび上がって見えた。
奇跡の偶然なんだ。
都合の良く見る勝手な思い込みなんだ。
けど、見えるんだ。
頭の中にしっかりとデッサンをして、暖かい部屋に戻り紙に描いてみると家の中にお招きした気分で大満足。
  いつも見上げているからお月様のサービス
  かも知れ無い_

 「何やってるの?スーパームーンはもう見えな
 かったでしょ?長い時間粘って風邪ひくよ。」

 「やっぱり、スーパームーンだったよ。」

 「え?...何が?...あっそ。...」

    カーテン越しに星の光を感じながら
            瞳を閉じた夜_

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