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陽だまりの子守唄

  「 重 」
幼子の為に何も置かずにおく和室
畳にお日様の光が広がり包み込む

家事する母を、夢見心地に待つ幼子
手元の蛇口に反射するお日様の光で時を知る
手際よくエプロンを取り髪を束ね直し
  天井見上げ微笑む姿を両手で迎えに行く

クリーム色のベールを纏う畳はホカホカ
薄桃色の頬に優しい光が届く
柔らかな肌着を小さく握り優しく摩る
肌を育てる手当の力は泡程の軽さ
小さな手足が言葉の変わりに喜びを伝える

待ち侘びる月日の中で縫い上げたオシメ
洗濯を終えた小山からそっと引き出す1枚
端と端を丁寧に重ね優しく撫でる様に畳むと
いつも慌ただしく畳んでいる事に気付く

重ねたオムツの横でお日様に喜ぶ幼子が微笑む
手を差し出すと重ねてくれる手
母の手に隠れてしまう小さな手
母の手を覆ってしまう程の大きな手に育てと
畳む手を止めて重ねる

お日様の優しい日差しに誘われ横たわり
井草の香りに包まれ夢心地
添い寝のうたた寝に重ねた手はそのままに




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