統合失調症の母親が好きだってはなし
こんばんは、今日は職場の親しい看護師さんに母親が統合失調症で、誕生日に面会に行ったら元気そうで描く絵も色が綺麗だったという話をしていたら、なぜか涙が溢れてきたきいろいうさぎです。
自分自身でもなぜ涙がでてきたのか理由がわかりませんでした。入院する前の母親はとても大変でした。それは本当に。
病気に侵されすぎている母親との生活に、妹とわたし揃って気持ちが滅入ってしまい、夜もなかなか寝付けず、大声や物音に日々怯えていました。
母親は昼夜問わず、大声をだし、手当たり次第に物を壊し私たちに物を投げつけ、感情のままに罵声を浴びせてきました。落ち着いてもらおうとそんな母親に真面目にとりあっていると、反対に酷い目にあわされることも多くあり、どうにかしてあげたくてもできずに途方にくれるしかありませんでした。
妹に関しては、わたし以上に精神的に疲弊していたので大声や物音がするだけでも身体が硬直してしまい、気持ちが沈み無気力になり仕事も休むようになっていました。その反面、わたしが仕事で妹が休みの日は気持ちがずっと落ち着かないことが増えていました。
だからでしょうか。あの病気に侵された状態の母親との生活はとてもきつかったけど、元気そうな母親をみれたことが実は自分が思っている以上に嬉しかったんでしょうね。やっぱり母親のこと大好きだったんでしょうね。だから、涙が溢れたのかな。久しぶりに面会した時「お母さん元気そうでよかった」そんなこと一番に思った反面「あぁ、こんなちゃんとした会話できたの久しぶりだなぁ....」としみじみ思っていました。
入院前の母親は、いつも被害妄想と幻聴に苦しんでて、その苦しさを私たちにぶつけることが多かったので会話なんて成り立つことがなく支離滅裂な会話ばかり。
誰も周囲にいないのに
「あの人が私を見て馬鹿にしにきた!」
近所に車が停まっているだけで
「みんなが私を監視している!」
何も前触れもなく物を破壊して
「どーせ!私が全部悪いんでしょ!私にどうしろっていうのよ!!!!!!!!」
仕事から帰って帰宅したら
「私のことを周りに言いふらしてきたんでしょ?!だから、そうやって他人に私の話するのやめてって言ってるじゃない!!!!!!」
そんな言葉を毎日毎日言われるわけです。気持ち滅入ってきますよ。ほんとにね。よくわからない理由で怒鳴られ、実際に起きてもないことだから解決もできないし。どうしろっていうのよ....。いい加減にしてよ.....。そんな気持ちでした。
統合失調症って、きっとこれから先ずっと付き合っていく病で完治するのも難しいのはわかっているけど、でも、気持ちのどこかでは治って昔の明るくて料理上手で手先も器用でなんでも作ってくれるお母さんに戻るんじゃないかな。なんて思ってるわたしもいたりするんです。
昔みたいに「お母さん」って普通の母親と娘のような関係に戻りたい。本当は大好きで嫌いになんてなりたくなかった。怖い存在なんて思いたくもなかった。そして、今思えばそんな風に思ってしまった自分自身が嫌いだった。だって、本当は母親が大好きだから。
でも、母親が元気そうな姿を見て”やっぱりわたしにとっては唯一の母親なんだ”って思えた。やっぱりどんな姿でもわたしにとっては母親で大切な人なんだって、再確認できた瞬間でもあったのだと思います。そして、再確認できたことで嫌いだったはずの自分がやっぱり母親を大切に思う自分に戻ったことで、自分自身のことを許せた気がしました。
そろそろ面会を終わろうとすると、母親が悲しそうな表情で「私なんにも記憶がないのよ」って呟いている姿を目にした時、あの酷かった期間を母親は病気と一生懸命戦っていた。病気のせいで脳が常に稼働している状態で休めてなかったんだと。だから、記憶を保存することもできずにずっと走り続けていた.....そういう風に感じると同時に悲しくもなりました。だって、記憶がないって戸惑うだろうし、何もわからない空白の時間に何を自分がしていたのかもわからないから不安だと思います。
だから、そんな母親に伝えたかったのはただ一つ「大丈夫だよ」ってこと。これからを不安な中で生きることになる母親に直接話したのは
お母さんが病気なのはみんなわかってるよ。
今までしたことが消えるわけじゃないけど、みんなわかってるよ。
病院でてから今までの記憶がなくても大丈夫。
お母さんの病気はもうずっと一緒に生きていくものだから、お母さんは自分が病気なんだって。だから、無理しなくていいんだって。そういう風に病気と向き合っていかないといけないんだよ。
もう入院したんだから、立派な病人だからさ、もう普通に頑張らなくていいよ
そういったことを話しました。言い方が悪かったかもしれませんが、わたしの母親にはちゃんと自分が病気だと認識してもらうことが悪化を予防できる方法だと思いました。
なぜなら、わたしの母親はずっと専業主婦をしており、家のことは一生懸命する人だから。だからこそ、『無理しないでね』ということが伝わるようにそんな言い方をしました。それを聞いた母親の曇っていた表情は少しだけ晴れた様子でした。
病気になってしまった事実は変えられないので、少しでも母親の生活が穏やかなものになるようにサポートしていけたらいいと思いました。
共倒れにならないように。私自身のことも大切にしながら。
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