なぜベンチャーはサクサク潰れるのか?
ベンチャーとフリーランスの生存率
日経ビジネスの記事によれば、ベンチャー企業の10年後生存率はわずか6.3%だという。なかなか衝撃的な数字だが、20年後生存率に至っては0.3%なのでさらに絶望的だ。ベンチャー企業の99%以上は、20年以内に跡形もなく消滅する。これは統計が示すまぎれもない事実である。
一方、フリーランスの10年後生存率も絶望的であるが、それでも11.6%。要は、フリーランスでやっていけるスキルがあるなら、ベンチャーに入るより個人でやるほうがまだしもマシ、ということになる。
企業のスケールメリットとは
なぜベンチャーはサクサク潰れるのか? 結論からいうと、小規模企業の場合、スケールメリットが機能しないからである。
大企業というのは、単に中小や零細より社員数が多いことを意味しない。
有能な人材を優先的に確保できるというのもあるが、ほかにも企業規模に比例して利益率が劇的に上がるというメリットがあるのだ。
わかりやすい例でいえば、PCやiPhoneなどの工具器具備品類やオフィスの什器類を大口購入できる、社員ひとりあたりの家賃や光熱費など固定費が下がる、事務などはシステム化して省人化できる、などなど。
なにより、大企業の大きな武器として独自の経済圏を築いていることが大きい。多くの大企業では、システムインテグレータ、デザイン会社、配送、人材開発や派遣など、企業活動で必要となる協力企業がことごとくグループ会社になっているので、コストは幾何級数的に小さくなっていく。というより、お金がグループ内で行き来しているだけなので、実質的にはコストゼロ。例えるなら、有能な人材が全国から集まった結果、村が都市にランクアップしたようなものだ。
ベンチャーや零細を蝕むスケールデメリット
一方、ベンチャーや新興、零細企業は、そうした企業ならではのスケールメリットが働かない。ぎゃくにスケールデメリットだけが残ることになる。
筆者は転職活動をしたとき、従業員数3人の新興デザイン会社を受けたことがある。その会社の方針が笑ってしまうほどひどくて、ぎゃくに思い出深くさえある。
人員構成はデザイン会社の最小ユニットであろう営業・クリエイター・事務の3人。
社長が営業を兼ねており「仕事をとってくるごとに売上の七割を営業がとる、残り三割をクリエイターと事務で分けろ」とのたまったのだ。
それ営業要ります? 脳内を埋め尽くした率直な疑問がそれだった。
誤解しないでほしい。ぼくだってクリエイターのはしくれだ。デザイン会社を新規で立ち上げる。その気概や行動力、本来なら心から応援するし、尊敬だってする。
だけど???
クリエイターが必死で制作した成果物を???
右から左へ動かすだけで、七割の利鞘……???
まさに、クリエイターを家畜としか考えていない悪魔の所業だ。今回の募集もデザイナーの退職を受けてのことだそうで、そりゃそうだろ。
言葉が出なかった。いや、ベンチャーってときどきこういう社長の社長による社長のための会社があるのだ。クリエイターにとっても、クライアントにとっても、だれのメリットにもなっていない害悪の権化みたいな会社が。この手のデザイン会社で家畜として働くぐらいなら、直接クリエイターが仕事をとってきたほうが全員ハッピーではないか。
もちろん、こうした分業も、大企業レベルの規模になれば合理的になる。
ただ、ベンチャーの規模でこの役割分担をされると、クリエイターやエンジニアなどの専門職だけが割を食うことになる。専門職にとっては、営業や事務は別に自分でやるか自動化すれば済む話なのだから。
ベンチャーや新興企業がフリーランスより安定しないのも当然で、数人レベルの企業の場合、大企業と違ってスケールメリットや分業の合理性が機能しないのである。
最低限以上のスキルのある専門職からすれば、マイナスキャリアにしかならず、待遇もけっしてよくないベンチャーや新興で、スキルもない上司に従うメリットは皆無である。大手に行くかフリーランスになったほうが、実入りがいいし学ぶものも多い。
Yellow Houseにはクリエイティブを直販できる態勢がある
サイゼリヤやUNIQLOは、自社工場から直販することで高品質を安価で提供する態勢を築き上げた。テスラ・モーターズ社やAmazonは、営業活動をITで自動化することでコストを削減し、莫大な利益を上げている。
デザイン事務所Yellow Houseも、基本スタンスはかれらと同じだ。中間マージンを徹底的にオミットし、クリエイティブを直販することで、安価でのご提案が可能になっている。
さらに、グラフィックからWeb、JavaScriptやPHP実装、動画編集やモーショングラフィックス制作、ライティング、イラスト制作に至るまで、すべてワンストップでご提供できるため、外注コストが生じない。Yellow Houseが外注しているのは、物理的に対応できない女性ナレーションと、ほかのイラストレーターとのコラボ作品だけだ。
恐れながら事業者様各位にご提言差し上げるが、中小規模以上のデザイン会社に惰性で依頼してはいないだろうか? かれらが出してくる見積は、本来のクリエイティブとは別のスタッフの人件費、必要性の不明瞭な移動費や出張費、社長の遊興費、果ては不届きな社員のカラ残業などなど、無駄なコストの一切合切が上乗せされた金額である。少なく見積もって、成果物に必要な費用の数倍に膨れ上がっているだろう。
クリエイターの良心に懸けて、それを適正価格とは、とてもいえない。
差し出がましい話をすれば、クリエイティブに関わる人間の数は少なければ少ないほど値段が下がり、クオリティは上がる、このごく単純な基本原則に立ち返ったほうが賢明とはいえないか。
もちろん、無駄な中間マージンを支払うのが大好きだ、札束をドブに捨てるとその日のメシがすこぶる旨い、たくさんのスタッフがひしめいて現場が混乱すると笑いが止まらない、そうした考えも広い世の中にはあっておかしくないし、個人の自由である。
ただ、現状に少しでも疑問をお感じであれば、Yellow Houseに依頼するのもひとつの案かと存じます。
おそらく、半値以下でのお見積をお約束できましょうから。
どうぞよしなに。
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