手書き書類、根絶せよ。~手書きコンプレックスの妄言~
突然ですが、文字を書くのが苦手です。
いえ、語弊がありますね。苦手だと認めてるわけじゃありません。だって漢字もそこそこ書けます。漢検準二級持ってます。
でも、私自身がなんとも思っていなくとも、幼いころから散々「字が汚い」とか「字が下手」とか言われ続けた結果、もう字を書くことそのものに暗澹とした気持ちを感じるのです。
「YeKuさんってしっかりしてるから字がきれいそうなのに、意外だよね」
ダマらっしゃい。しっかりしてる人の字がきれいだなんて、偏見もいいところ。
量を書けば字がキレイになる人と、全くセンスの無い人は違うんです。
私の場合は、一つ一つの文字を正しく書くことはできるのですが、真っすぐ字を書いたり文字同士のバランスを取るのが苦手で、いびつな印象を与える字しか書けません。
文字を書いて人に渡す時、「どうせこの人もなんて下手な字なんだと思ってるんだろう」とねっとりした目で見てしまいます。
ああ、まさに手書きコンプレックス。
でもインターネットやパソコンが普及するにつれ、文字を書くことから解放されてきました。私は字をなるべく書きたくないのでなるべく手書きを避けています。
封筒の差出人を手書きするのも嫌なので、専用のスタンプを特注するぐらいです。
でも世の中には、なぜか手書きしなければならない書類がまだ残っています。
役所に提出するような気の狂ったフォーマット(何としてもA4一枚に収めてやるという熱意でパズルを作るんじゃない、かえって分かりづらいんだ)の書類はその最たるものです。
私はPCと肉体が一体化しているので紙で書類を渡されるとまず混乱して機能を停止してしまいますし、手書きで書かないといけないとなると腰が重く期限ギリギリまで放置してしまうこともシバシバ。
年末調整なんて、何度も書いてるはずなのに毎度毎度困惑します。
年収がいくら以上の場合は、ここで、その年収の根拠は見込みで良くて、保険に入っている場合はこの記載も……。
ちょっとちょっと。
つまりどういうことだってばよ?
オンラインフォームなら、「この場合はこの記述をしてください」と前に選んだ選択肢によって設問を限定できるのに、無理に紙で申請させるからこういうことになるのです。そもそも資源の無駄遣いです。
紙の申請書類は速やかに廃止されるべきです。
まあ、とはいえ最近ではオンラインでPDFを配布している役所も増えたので、Adobe Acrobat(無料)を使ってPC上で書類を書き、印刷して提出するようにしています。結局紙は無駄ですが。
なぜ郵送でなければならないのでしょう? PDFの添付ではいけないのでしょうか?
履歴書なんかも、最近では「手書きでなくとも構わない」というところも増えましたが、いまだに「字から人格ややる気が伝わるんだ」という謎の信念を持っている人も多いようです。
字から人格ややる気なんて伝わりません。
二時間くらいかけてなるべく丁寧に書いた履歴書を、提出先の会社に「雑過ぎるから、書き直して」と言われた私が断言します。
「どのくらいかけて書きましたか?」
と言われ、
「書き損じの分を除けば二時間くらいです」
と答えたら、相手は沈黙していました。
まあ~、字がきれいだから何だというのでしょう。いや……、とはいえ、正直、字がきれいな人に対してはコンプレックスも手伝って尊敬の念を禁じえない自分もいますが、あの死刑が確定した木嶋佳苗被告だって、信じられないくらい字がきれいですよ。彼女の人格は優れているのですか?
そう、字が人格を示すなんて、根拠のない思い込みです。「美人は性格もいい」と同じくらい根拠がありません。何の統計もありません。前時代的な思い込みであり、非科学的です。
全日本人は字のきれいさをもって、人間を判断するのを止めるのと共に、速やかに紙の書類を止めるべきです。
手書きの方が好ましいのは気持ちのこもった手紙くらいです。
ということで、「自分も字のきれいさには自信がないなあ」というあなたも、今日から胸を張って「だからどうした」と言っていきましょう。正義はPC・電子・オンラインです。MSゴシックこそ至上。これらを金科玉条として、今こそ手を取り、立ち上がるのです!
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