マッチングアプリとマイナカードを連携? 第一印象で不安の声を上げるネット民
皆さん、こんにちは。
自民総裁選の件で毎日賑わっていますが、河野太郎大臣が推進するマイナンバーカードの活用に関し、『ロマンス詐欺の防止を目的としてマイナンバーカードの連携情報を活用』する方針を発表しました。
今日はこの若干刺激的なニュースについて、その是非を調べてみました。
個人的にはあまりマッチングアプリに明るくありませんが、既婚未婚や年収に関して虚偽の登録をする方は多いと聞きます。関係が長期間に及んだ後、嘘がバレる……貴重な時間が無駄になり、悪質ですよね。
そもそも、きちんとした事業者なら免許証や住民票、年収証明書類を元に認証する仕組みがあったような気がしますが、用意する書類が多いですし、全てのマッチングアプリで認証の仕組みがある訳ではないようです。
マイナンバーカードでも何でも構いませんが、事業者にきちんと認証するよう要請することで実際に騙されるケースが減るなら、恋愛、結婚の推進、ひいては少子化対策にもなり、いいことですね。
しかし、この発表を受けて一部から盛大なブーイングが上がっているようです。
さらに、この記事のコメント欄を見ると、とにかく「不安」「ありえない」といった反応が主立っています。
私も、記事タイトルだけ読んだ時は少し不安に感じたのですが、よく考えれば考えるほど何も問題ないし、むしろいいことだという結論に達しました。
一つ一つ見て行きたいと思います。
運営事業者が日系企業なのかどうかは特に関係ありません。『業者が海外資本だから悪質業者だ』というのはただの偏見です。
そして、マイナンバーカードを利用した公的個人認証サービスを事業者が利用するには大臣の認可が必要であり、実質的には認定事業者のみが利用することができます。悪質な業者はそこでブロックされるでしょう。
それに、万が一マイナンバーが悪意のある海外業者に渡ったところで、悪用の方法は限られます。個人確認はカードと共に顔認証と組み合わせた二要素認証になりますし、マイナンバーだけで何かが出来る訳ではありません。
まぁ、年収や既婚未婚などと組み合わせた登録情報は重要な個人情報ですが、それはもとからであり、マイナンバーカードを元に認証していようといまいとリスクは変わりません。
『認定事業者である』と嘘をついて不正に情報を収集する事業者が現れる可能性はありますが、それはもうただの詐欺なので取り締まりの対象であり、マイナンバーカード云々とは論点がズレてきます。
次。
既にマイナンバーカードを認証に利用しているPairsでは「生年月日」「性別」「顔写真」を公的データとして本人確認用に取得するが、マイナンバー自体は一切使用せず、入力したパスワードも保存していません。
セキュリティや個人情報管理の観点から、まともな事業者はそもそもマイナンバーやその暗証番号などという激ヤバなデータを収集したくありません。流出した時のリスクが爆上がりするからです。
そもそも、行政手続き以外でマイナンバーを収集することは禁止されています。
ですから他の事業者もそもそも保存していないので、ハッキングされてマイナンバーが流出するリスクはありません。
何某かの悪意をもってマイナンバーをデータとして収集したとしても、本人確認は物理的なカードと併用することが基本です。前述の通りマイナンバーだけで何かができる訳ではありません。
次。
何か勘違いがあるようです。マイナポータルにマッチングアプリ利用状況を連携するとは誰も言っていません。マッチングアプリ側が情報を利用するだけです。
次。
マイナンバーカードを持ち歩き禁止と政府が発表した事実はありません。
そもそも運用当初から顔写真付き身分証としての利用を想定されており、持ち歩けないのでは本末転倒です。
ソース:マイナンバーカードは当初「持ち歩き禁止」だったって本当? 総務省に聞いた
『悪用されたらどうするのか?』という論調に関しては、どのように悪用されるかに拠りますね。
例えば『政府のサーバーがハッキングされ、健康保険、免許証、銀行口座の情報が流出する』という可能性はゼロではないでしょうが、だからといって保険情報にしても免許証にしても銀行口座にしても、それだけで悪用できる訳ではありません。
そもそも、政府が管理している個人情報は、マイナンバーに限りません。当然ですが、戸籍や住民票といった情報も重要な個人情報です。それらがハッキングされて漏洩する可能性は今までも存在し、これからも存在します。マイナンバー周りの情報だけ不安になる意味はあまりないでしょう。
『落とした時にどうするのか?』という観点であれば、速やかに届け出すれば遠隔でデジタル証明書を無効に出来るので、それ以上の悪用を防ぐことができます。そもそも、マイナンバーカードを拾得したからといって顔写真付きの身分証なので第三者が本人確認に使える訳ではなく、また、その人物がたまたま悪意のある犯罪者である確率がどの程度かを考えるとほぼ杞憂でしょう。
監視社会に対する懸念
以上の通り、マイナンバーカードの利用拡充に伴う不安反応はほぼ杞憂であると結論しますが、一方で、情報を一元管理しすぎるとさすがに問題があります。
例えば、位置情報、交友関係、個人的な買い物、趣味活動の履歴、恋愛など、個人の緊密なプライバシー情報です。これらの情報を政府に監視されると、セキュリティがどうこうというよりも、政府による国民の恣意的なコントロールにつながり、もはやディストピア的な監視社会に繋がりかねません。
アメリカにおいても、2014年に収集した個人情報によって選挙結果の操作が行われる、ケンブリッジ・アナリティカ事件という大事件が起き、以降欧米では政府から個人に至るまで個人情報の取り扱いに非常にセンシティブになりました。
(仕事で海外向けのWebシステムを作っていると、日本と比べて圧倒的に厳しいことが身に染みて分かります……)
もし日本政府がそのような方向に進み始めたら、どこかで止めるよう声を上げるべきです。しかし、現在管理している程度の情報ならばそこまで大きな問題はないでしょう。
結論
マイナンバーカードの推進に関しては、メディアが煽っているのか、強硬な反対派・否定派が目立つように思います。
しかし、本記事で語った通り、大半の不安は誤解でした。
急な変化が起きると拒否反応を起こす国民性なのかもしれません。
ですが、マイナンバーカードが普及することでマイナポータルによる一元管理やデジタル申請への移行が進み、便利で住みやすい社会に一歩近づきます。
マイナポータルを利用したお役所の手続きなどのデジタル化が推進され、紙申請がもはや古代のものとなり、二度と役所に行かなくて済む日も近いかもしれません。
そうなれば、身体的・精神的な理由で役所で長時間事務手続きに追われることが難しい層(病気だったり、高齢者だったり)も気軽に役所の申請を済ませることができ、ひいては社会保障をあまねく国民に施行することが容易になります。それによって救われる人もいるはずです。
個人的には、保険証をマイナンバーカードに統合することで、(謎の資格確認書があるとはいえ)実質的に全国民にマイナンバーカードを持つよう義務付けたのは英断だと思います。誰かが強行しないといつまで経っても普及しません。
ものすごく誤解されている河野大臣やマイナンバーカードですが、これからも安全かつ便利な運用を推進していただきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます! 良かったらスキ/フォローお待ちしてます。あなたにいいことがありますように!