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「鴻上尚史のオープンワークショップ」参加レポート

先日、鴻上尚史さんが主催する演劇ワークショップに参加してきました。

このワークショップ、演劇や表現に興味がある人には激推しの内容だったので、振り返りも兼ねて、ネタバレにならない程度に参加レポートを書き残しておきたいと思います。

(なおトプ画はAIに作らせたもので、現地の様子とは無関係です)

参加のきっかけ

私は舞台デビューして2年目の駆け出し俳優、これまで3本の舞台に出演させてもらい、所属する俳優養成所でも週1回の演技レッスンを受けていますが、まだまだ勉強しなければいけないことだらけ。

演出家として名高い鴻上尚史さんの著作も読み、紹介されていたレッスンをいくつか実践もしましたが、やはり独学だと不安になるもの。

そんなときに鴻上さん主催の演劇ワークショップがあると聞き、直接教えを請うために迷わず参加を決めました。

しかも、ちょうど2月末に上演される舞台への出演が決まったばかりで、ワークショップが開催される1月中旬は稽古が始まる直前という絶好のタイミングでした。

ワークショップの概要

このワークショップは3日間、毎日13時から21時まで行われました。通常は同程度の内容で2日間の開催らしいです。参加費用は少し割高にはなりますが、時間に余裕があるのは自分にとってはむしろラッキーでした。

夕方には軽く食事できるくらいの休憩時間があるほか、短時間の休憩も随時挟まれます。

講義中の多くの時間は声を出したり体を動かしたりする実践的な内容。一方で10ページ程度の講義資料を参照しながら行う座学の時間もありました。

なお、このワークショップに参加できるのは「人生で一回のみ」らしいです。参加者の名前はきちんと記録してチェックしているんだとか。なおさら無駄にはできない貴重な機会ですね。

1日目

初日はまず参加者全員で自己紹介。参加者は約30名の老若男女、下は高校生から上は70代まで、実績十分のベテラン俳優もいれば自分のような駆け出し俳優もいるし、さらには演技とは無関係な職業の人も。皆さん、様々な理由でこのワークショップに参加していました。

次はウォーミングアップ。みんなで体を動かします。ワークショップではこの時間も含めて、鴻上さんの著書で紹介されているゲームを数多く行いました。

続いて呼吸と発声のレッスン。腹式呼吸や丹田を意識した声の出し方を学びました。S音レッスンや体のさまざまな場所で声を響かせるレッスンは、やはり鴻上さんの著書で紹介されていたものではありますが、ペアを組んでやるのは初めてでしたし、「本当にこのやり方で合ってるのかな」という不安を感じることがないのは対面講義の良いところですね。

7人組、14人組になっての声かけレッスンでは、自分の声のベクトルや幅が視覚化されるので課題も丸わかり。鴻上さん曰く、これが上手になると騒々しい居酒屋での注文が通りやすくなるそう。

声帯とはどのような器官なのか、声帯ストレッチ、滑舌を良くする方法なども学びました。

そして「スタニスラフスキー・システム」の解説。本来は3〜5年かけて学ぶものらしいが、今回はそれを1時間ちょっとで。台本を読んで4Wを識別し、Sympathy と Empathy をもって解釈し、与えられた状況に対する理解を深めていく。

印象的だったのは自意識の話。自意識というのは、自分の理解が正しければ、演じる対象の人物の意識ではなく、演じている自分の意識のこと。「よく映りたい」とか「どっち向くのがいいかな」とか「次は◯◯しないと」みたいな。これが演技の邪魔になる。与えられた状況を詳細にイメージすればするほど、自意識は演技を邪魔するのではなく、自分の後ろに回って見守ってくれるようになる。

詳しい話はこの本に書いてあるとのこと。

最後にちょっとしたゲームをやって初日が終了。

とは言え、一人芝居の長ゼリフをスタニスラフスキー・システムで分析する宿題が出たので、帰宅後も作業しないといけない。

2日目

まずはウォーミングアップ。リズムに合わせて身体をほぐすと同時に、表現することの気恥ずかしさみたいなものが徐々に取り除かれていく絶妙なメニュー。

そして「表現」のレッスン。二人組になり、身体を使って様々なものを表現する。上手な演技とはなにか?正しい身体とは?という、興味深いお話もありました。

続いて声の5要素や、状況に会った言葉を使うことの重要性について学んでいく。舞台と映像での表現の違いを考える際の視点なども。

次はいよいよ宿題にもなっていた一人芝居。感情の変化を声で表現する。5要素をあえて1つずつ変えてみる。ありえなさそうな声であえて表現を揺さぶってみたりする。そして、台本をもらったらこれをやるといい俳優になれるというある作業。なんてことのないセリフが突然輝いて見えてくる(こともある)ということ。ちょうど来月の舞台の台本が手元にあるのでこれはやらねば!

2日目の最後は「ラバン・システム」。人間の動きは8種類に分類できるらしい。これを知ると、1つのことを8通りの方法で演じ、その中から最もしっくり来るものを選べるようになる(ということだと思う)。座学で理論を学んだ後は、実際に身体を動かして試してみる。なるほどなー。

そして今日の宿題はラバン・システム。8種類それぞれの動きに合う動作とセリフを考えてくるという課題。この日も帰ってから1時間程度の作業。

3日目

最終日もリズムに乗りながら体と心を整えるウォーミングアップからスタート。

続いて3人組になり「演技しながら考えるレッスン」(という表現で正しいのかどうか自信がない)。事前にプランするのではなく、演技しながらその場で考える。これが難しい。頭の中が真っ白になって、言葉が出てこなくなること度々。

そして昨日のラバン・システムの宿題発表。2人1組になって披露し、希望者は鴻上さんにも見てもらい講評をいただく。8種類の動きを声に乗せるレッスンもありました(ここの記憶はあいまい)。

今回のワークショップ、最後のパートは「サブテキスト」。講義資料でサブテキストとは何かについて学んだら3人1組になり、サブテキストを意識しながら短い台本を演じる。台本を外して演じるので、準備時間はちょっと長め。サブテキストだけでなく、スタニスラフスキー・システムなど、このワークショップで学んだことを総動員。そして順に発表。鴻上さんからの演技指導を受けながら、何度も繰り返す。これはぜいたくな時間だ。

最後にワークショップ全体を通しての質疑応答の時間。参加者それぞれが抱える疑問や悩みに、鴻上さんが丁寧にアドバイスをしてくださいました。

懇親会

ワークショップ終了後に希望者を募って懇親会を開催したところ、夜9時半過ぎという遅いスタートにもかかわらず約20名が参加、なんと鴻上さんにもご参加いただけました!

3日間同じ時間を過ごした他の参加者の方々との交流も楽しく、鴻上さんからも面白いお話、役に立つお話をいろいろと伺うことができ、とても有意義な時間を過ごすことができました。二次会に行く人も10名以上おり、大盛り上がりの一夜となりました。

感想

今回のワークショップ、端的に言って大満足でした!この充実した内容を考えると受講料は3万円は安すぎると思えるほど。

多くの知識や気付きを得られましたし、鴻上さんの著作を読んで知っていたことも、直接指導を受けることで理解度が段違いに高まった実感があります。今後俳優活動を続けていく上での大きな財産となりそうです!

来月の舞台も楽しみになってきました!

来月の舞台

少しだけ宣伝。来月出演する舞台「Fight!」は2023年11月に初演された作品の再演で、初演は私にとっては記念すべき舞台デビュー作でもあります。

再演されるということは初演の評価が高かったということでしょうし、それに自分も少しは貢献できた、少なくとも作品をぶち壊すようなことにはならなかったというのはひと安心です。

それにしても、いつも本番を迎えて観客の反応を確認するまで「この作品は本当に面白いと思ってもらえるんだろうか」と不安になることがありますが、今回に限っては今から100%の自信を持って言えます。

この舞台は確実に面白いです!興味を持っていただけた方、ぜひ劇場までお越しください!

なお東京公演と大阪公演があり、それぞれAチームとBチームがありますが、おすすめは東京のAチームです。なぜかと言うと僕が東京のAチームだからです。

  • 2月27日(木) 15:30

  • 2月28日(金) 18:30

  • 3月1日(土) 13:00

  • 3月2日(日) 18:30

  • 3月3日(月) 12:00

チケットは既に先行販売が開始されています。1/31(金) 12:00 までです。

一般発売は 2/3(月) 12:00〜、以下のサイトで。

チケット購入時は応援キャストで「海老原雄一郎」を選んでもらえるとうれしいです!

では皆さん、劇場でお会いしましょう!

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