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Wordでのファイル共有の落とし穴

今学期は積極的にWordのファイル共有を使って学生たちに作業させた。

上のリンクで書いたときはMoodleにあるファイルをひとりがダウンロードして共有する流れだったのだが,学生が作ったファイルを共有させるときは注意が必要なことが分かった。キーワードはファイルの保存先だ。

ある回で,学生の書いたドラフトをペアの学生と私の2人に共有するようした。上にも書いたように自分の組織(=大学)のアカウントで操作することが重要だということは力説したのでそれはほとんどの学生はできていた(感覚的には1割ぐらい守ってなくて,そういう1割の人の宿題のクオリティはかなり悪いことが多いのでどうにかしないといけない)。

しかし,大学のアカウントから共有にしたのに共有先にメアドや名前を入れても補完入力されない,さらには共有してもメールにはプライベートなアカウントが出てくるという学生が出てしまった。それで私も見て一緒に操作したところ,もとのファイルを作ったときに保存先がプライベートなOneDriveにあると発生するようだった。

つまり,アカウントを切り替えてから共有したからといって,切り替えた先のOneDriveにファイルが保存されていなければならないのだ。考えてみたらファイルの共有なんだからそういうもんなのは当然なのだけど。少なくともDropboxを使っていて感じることはないのでやはり驚いた。

というわけで,学生にファイル共有させるときの手順を改めて書いておく。

  1. ファイルを開く。

  2. 現在のWordのアカウントを確認し,プライベートなものの場合,大学のものに切り替えて保存する。

  3. 共有を押し,共有先を入力する。このとき補完入力されるかを確認する。

こうやって書くと当たり前のことなのだが,かなり分かりづらい。Microsoftはなるべくファイルの概念を意識させないで使えるように設計している。これ自体はおそらく善意からなのだろうけど,これがかえって事態を悪化させているところがある。

ファイルの概念がないので「クラウド」と言ってもピンとこないし,ファイルの探し方が分からないので,なくなると終わりみたいなこともある。ファイルを保存していない可能性もあるのだけど,それすら判別しづらい。でもだからといってコマンドプロンプトという時代でもないだろう。

ファイルの概念がないとファイル管理ができないので,数回前のファイルを見るのが難しいということがある。授業では全てMoodleに出すからまだどうにかなるが,自宅で作業したものを探すのはけっこう骨が折れる感じがする。

やや応用的だが,数年後に被害が出るケースもある。大学にいる限り大学のアカウントで作業させたほうがこちらとしては効率がいいし,プライベートで使う頻度が低い学生なら大学のアカウントに常時入っている状態になるだろう。しかし,大学のOneDriveにあるファイルは卒業とともに消えてしまう。もちろん注意喚起はするが,いつもの調子で使おうとしたら学生時代のファイルが全て消えてしまったなんてこともあるわけだ。

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