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『若者ライフスタイル資料集』がすごかったのでもっと知られていい件

短大部生活創造学科の授業「日本語表現法」では①「20年前と現代の変化」を自分の手で探し,②変化の理由を社会に関する統計で説明してみる,というエッセイを書かせています。

2番目(説明)に使う統計資料はインターネットで検索して出てくるものも多くありますが、図書館をなるべく使ってほしくて白書や年鑑なんかの集まってる書架に通ってます。そのとき見つけたのが,『若者ライフスタイル資料集』です。

表紙

この本,一言で言えば統計資料集です。先ほども書いたとおりインターネット上にまとまっている統計資料は多く,例えばe-Statはとても有名ですが,これは国の統計資料だけです。

国以外にも世の中では様々な組織・会社が調査を実施しています。「社会実情データ図録」のようにそれらを集めたサイトがあります。

『若者ライフスタイル資料集』は公的な統計,私的な統計(企業などによる調査)の両方を集めてまとめてあります。その意味で「社会実情データ図録」に近いですが,かなり面白いデータも含まれています(社会実情データ図録も面白いです)。以下ではそこから2つほど選んで紹介します。

フリーターの職業観がポジティブ

フルキャストという派遣会社が行ったフリーター対象の仕事観の調査とかちょっと見ませんよね。

アルバイターを対象にした調査は珍しい

この中で「フリーターとしての働き方を選んだ理由」を見てみます。

回答にポジティブなものが目立つように思います。今は「非正規雇用」とも呼ばれますが,それとはだいぶ事情というか空気が違うということが分かると思います。

ちなみに「非正規雇用」という言葉そのものは1990年代後半から登場しますが,2001年だとそれほど登場せず,2005年以降グッと増えます。

朝日新聞の登場回数

こうやって統計資料を見ていくと,当時の社会の状況,現代との違いがよりリアルに感じられるのではないかと思います。

暴走族のリアル

資料の中には地方の警察が行った調査もあります。そのひとつが広島県警察本部による「暴走族に対する中・高校生の意識調査」です。

目次から不穏な言葉のオンパレード

広島県警は2001年4月に全国初の「暴走族対策課」を作ったそうです。

県警は7日、これまで交通指導課の中に置かれていた暴走族対策室を格上げし、「暴走族対策課」を新設すると発表した。県警によると、暴走族を取り締まる部署を課として独立させるのは全国で初めてという。4月1日に発足する。

「全国初の暴走族対策課 県警に来月発足 室から昇格、増員 /広島」
『朝日新聞』2001年03月08日

この資料を見ると,暴走族に対するイメージがより鮮明になります。

暴走族への勧誘経験があるのは7.0%で,その半分が自分の学校の関係者でした。関係者というのが同級生なのか上級生・卒業生なのかは分かりませんが,当たり前ながら近いところから誘われるわけですね。

暴走族に(誰から)誘われたか

最後の「脱会時にリンチを受けることを知ってるか」はちょっとバイアスというか啓発も兼ねたのかなと思いますが,33.0%が知らないんですね。

リンチを受けることを知っているか

他県のデータが揃わないので分かりませんが,暴走族という多くの人にとってなじみない組織への意識が分かります。

この他にも『若者ライフスタイル資料集』には興味深いアンケート結果が掲載されています。気になったものの一部を抜き出します。

  • ペアルックでデートするとしたら,何をお揃いにしたいか

  • 恋人を探そうと思う際,どこで(どのような方法で)見つけたいと思うか

  • 1億円が何桁の数か,すぐに答えられるか

  • 低用量ピルが1999年9月2日に解禁になったことを知っているか

  • (中国の大学生対象)日本に学びたいこと

  • (独身OL対象)ボーナスがどのくらいの金額ならば満足するか

こういった統計データは上で紹介した記事に使えそうです(こじつけ用だけど)。またあらためてここに掲載されているデータの紹介をしたいと思います。

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