学会の開催方式へのひとつの解と詰まりどころ
コロナ禍以降,授業だけでなく学会(大会)の開催方法に対する意見もオンライン開催と現地開催という大きく2つに意見が分かれている。
現地開催の再開を望む意見の理由はおおよそ次のツイートにあるとおり,偶然性の高いコミュニケーションを多くの人が作り得るところだろう。
対してオンライン開催の継続を望む意見は,地方在住や子育て中,介護,資金不足など,様々な理由で移動が困難な人にとって参加が容易になるところにある。
今の時点で私の関わっている学会も対応は分かれて次のようになっている。なおカッコの「型」は京大のページを参照してほしい。
日本語学会 春の大会は現地開催,秋の大会はオンライン開催
日本言語学会 大会は現地開催。ただし一定条件でオンラインでの発表も認める。口頭発表とワークショップはスクリーンを録画し,後日期間限定で配信。任意だがポスターも含め発表資料は参加者にだけ期間限定で公開。シンポジウムはzoomで画面収録し後日一般公開(ブレンド型に近い)
日本音声学会 口頭発表,ポスター発表,ワークショップは現地開催,公開講演のみ同時中継(=一部ハイフレックス型)
日本音韻論学会 同時中継(=ハイフレックス型)
開催方法を決めるのはとても難しく,私もどちらの気持ちも分かりすぎるほど分かるので,日本言語学会で大会運営委員長に就いた際にはいいとこ取りをするつもりで上のようにブレンド型に近い方式を採った。
記事にも書いたがいわゆるハイフレックス型(同時中継)は現地での配信準備に不安が大きく,限られた委員で多くの会場(当時で最大8会場だった)をやるのは無理と判断した。その代わり後日の動画配信を付けることでどこからでもとりあえず発表と質疑は聞け,情報を得るという点では参加しているのに近い状態を保てるようにした。
一方で現地開催でやるのには上にあるようなコミュニケーションの機会を作ることを重視してポスターを多くしたり,参加者交流会にして誰でも無料で参加できるようにした。このあたりの経緯は下の記事に書いている。
もちろんこれが正解ということもなく,評議員会(会員選挙で選ばれた数十人からなる会議体)でもTwitterでも直接でもなかなか厳しい意見を頂いている。
また,この方式で実際に運用する際には,運営に関わる委員の負担をなるべく高めないように設計したつもりだったけれど,思ったとおりにいかないこと,思った以上に難しいことに直面することもあった。今回から委員長を交代し運営には入っていないのだけど,話を聞いている限り色々とトラブルもあり,何かを作りかえることの難しさと運営陣への申し訳なさを感じるばかりである。細かいことは書かないけど,運営での難しさは次にある。
複数人が入れ替わりスクリーンを使うシンポジウムはzoomで録画するのはトラブルが出がち
オンライン発表は現地(開催地)でのトラブル対策が難しい
ポスターの数とバランスの塩梅が難しい(今回はかなり良かった。いや,前回が私の確認不足で人数が多く聞きづらくなったのですが,その反省をよく活かしてくれたと思います)
そんな立場で書くのもなんだけど,運営に携わった方々は当日だけではなく月単位で時間を使って準備・運営していただき本当に感謝するし,やはり申し訳ないという言葉しかない。ぜひ,まわりにそういう方がいたら,いなかったらSNSでも,ねぎらいの言葉はかけてほしい(繰り返すけど運営には入ってないのだから私は含まれないぞ)。
かくいう私はとあることですっかりやさぐれてしまい今までほとんど何も書く気力がなかったのでそれこそ「おま言う」案件ではある。