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死票の境界線

例えばの話として。30人いるクラスで代表を3名選ぶにはどうすればいいか,考えてほしい。

1人1票の場合

まず思いつきそうなのは1人1票投票して上位3名を選ぶというものである。次のような結果になったとする。

5票…1名
4票…1名
3票…1名
2票…3名
1票…12名
0票…12名

めでたく上位3名で決まりとなりそうだが,ここで死票(死に票)という要素も考えてみたい。

死票というのは要は落選者の得た票数の合計だ。市議選や区議選などのように複数の当選人を出す選挙だと死票が減る一方,衆議院選などの小選挙区制では当選が1名なので死票が多くなる。

死票がいくつまで許容されるのかはひと議論あるが,市町村議員だと有効投票数÷定数の1/4(国政選挙は1/6)に行かないと当選できないのが参考になるかも知れない。ちなみに上のケースだと30÷3=10で,この1/4は2.5となる。そうすると,上位3名は条件を満たすことになる(あくまで地方選挙の割合を適用すれば)。

しかし,いずれにせよ死票は18票で全体の60%になる。個人的には30人の選挙としてはちょっと多いのではないかという感じがする。

1人複数票の場合

1人3票持つことにし、当選には過半数(16票)必要だとして選挙した。その結果、次のようになったとする。

10票…1名
9票…1名
7票…2名
6票…2名
5票…2名
4票…3名
3票…3名
2票…3名
1票…8名
0票…5名

この投票では誰も過半数の16票を得てないため再投票となる。しかし再投票が続きすぎるのを避けるため、当選人の3名に1名足して上位4名による決選投票を行おうと提案されたとする。

これは良い提案だろうか?

上の提案では5位以下の6票以下が落選となる。そうすると死票は票数×人数の合計である57票が死票になる。今回30人が1人3票持っており総投票数が90票なので,2/3近くが死票ということになる。

国や地方自治体の選挙が1/4ないしは1/6で再選挙になることを考えればそこまでではないが、やはり2/3が死票になるのは多すぎるように思う。

個人的にはこういった段階での死票は1/2以下になるようにしたい。そうすると,6票獲得の2名も入れた6名にすると合計票数が45票になるので死票もちょうど1/2になる。保険をかける意味ではもう1つ下の5票獲得の2名も入れるかは検討しても良さそうに思う。その場合,死票は35票となる。

ただこんな死票の境界線みたいな話ってどれくらい共感が得られる話なのだろうか…

完全に余談だが,上のシミュレーションをきちんと作るのにすごい時間がかかってしまった。冗談と思う人はエクセルなどを使わずに自力でやってみてほしい。互選で票が割れている現実的な状況を再現するのはけっこう難しい。

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