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学生プロジェクトに研究をちょい足しできると良い(講評抜き出し)

学習サポートセンターでは学生による学びの成果を発表・共有するイベントとして「北星スチューデント・アクション」を開催している。今年も2月25日に大学で開催された。スチューデント・アクションは助成金によるプロジェクトの口頭発表と,同じく助成金による研修参加,一般参加の学生や高校の探究学習,卒業研究のポスター発表という2つがある。今回のセンター長の仕事は発表全体に対する講評だった。その内容を少しまとめて紹介したい。

まずこれは講評には入れてないが,ポスター発表の内容は多岐にわたっていたことは特徴的だった。ざっとあげると他大学で行われたSTARTUP HOKKAIDO連携講義や国際学生会議への参加,研究発表も漁業に携わる女性への聞き取り,オーウェルの『1984』をテーマにした卒業論文,子どもの居場所づくりの実態と課題と多岐にわたっている。高校も倍速再生が人々や企業に及ぼす効果や舞台演劇の今後のあり方などを扱ったものが見られた。北星は小規模大学としては大きい方だけど,そこにこれだけの研究が集まるのだから,どの学生も卒業までに一度は見てほしいと思っている(そこは課題なんだよなあ)。

さて,肝心の講評だけど,今回のプロジェクトの口頭発表は全部で3つだった。

  1. 食への感謝プロジェクト 〜農業make笑顔〜 の学び

  2. 環境問題と未来を考えるジム

  3. 海ごみ×アート-アップサイクルの可能性

これらは相互に関係のないグループによるものだったのだけど,偶然どれも「環境」がひとつのキーワードだった。環境というキーワードそのものは身近な,言い方を変えるとありふれた,事柄だろうと思う。そこに対してどうアプローチするのかに特徴が出ていたわけである。ではどうアプローチすればいいのか,それがそれまでの学生の経験や学習から作られていくのだろう。だから,アプローチする視点を作るためにも色々な勉強をしてほしいなあと思っている。書いてみたけど,当日はこんな言い方できてなかった(苦笑)。

もうひとつ,どのプロジェクトもプロジェクトとしてはがんばってたと思うのだけど,もうひとつだけより良くすることができたかもしれないことがあった。それは(もっと)関連研究を探すということである。実際,食への感謝プロジェクトは規格外野菜の活用をテーマにしているのだけど,これは野原克仁さんが"Willingness to pay for pesticide-free vegetables in Hokkaido, Japan: the relationship between appearance and pesticide use"という論文で論じている規格外野菜であっても無農薬の野菜ならばそこに価値を感じるということの実証としても使えるように感じた。ちなみに野原さんは元北星の先生。

環境問題とジムのプロジェクトもおそらく"Sustainable Fitness"という論文にあげられた課題を活用することでもっと良くなったかもしれない。

また,海ゴミのプロジェクトだと,アップサイクルで何にするかを考えるとき "Plastic waste upcycling toward a circular economy" という論文の議論が参考になるのかもしれない。

どれも英語論文なので読むのは大変かもしれないけど,こういうときにはChatGPTを活用する余地も大きいわけで。

ちなみにどうやって論文を探せばいいのかというのは同じく北星スチューデント・アクションのときに書いたことがあった。

この辺までカバーできるととても研究としてもレベルアップして見えてくるものが変わると思う。もちろんそれなりに大変なのだけど,そこはラーニング・コモンズを活用してもらって…

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