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333.っと逃げるスキル!

北海道遠征も残すところあと2箇所。
連日の長飲みで疲れの溜まった身体からのサインを見逃すおれではない。寝る前にホテルでチェックアウト時間を1時間遅らせ、しっかり休んでから苫小牧へ移動することに。

苫小牧までは電車で。千歳で乗り換え、1時間もかからなかったように思う。

昼過ぎには宿に着いて、少し早かったけどチェックインさせてもらえた。やさしさ〜。
チェックインからチェックアウトまでの時間、ミュージシャンは行く宛のない街の観察者です。
いまはドトールにスタバと、ボイコット(不買運動・バイコット?)のため利用しないようにしている店があるので、時間を潰す店も限られる。

おそろしい眠気に襲われながら翌日出演するライブハウス「エルキューブ」を調べていると、その日「昼から飲む会」が開かれているとのこと。はじめての場所だし、一度顔を出さねば、と思い、歩いていくことに。

photo by umihayato

函館ARARAは今回で3度目。エルキューブはその系列の1号店だ。ARARAの店長かとぺさんが「せっかく来るならぜひ」と紹介してくれたのだった。

ブッキングの樫村くんという25歳の男の子がドリンクカウンターにいて、「小野雄大です」と挨拶すると大層驚いて喜んでくれた。ラウンジではみんなでWiiのゲームをしていた。突然リモコンを渡され、チャンバラやボーリングに参加。苫小牧まできてゲームて(笑)ただ、この場所を知るのに理解が早まったと思う。みんな仲良しだった。4〜5杯ビールを飲み、何人かと話して、自分のことを知ってくれてる人などいたし、いる間にも人の出入りもあったので、せっかくなので自分のCDを渡した。明日よろしくお願いします、と。

帰りしなに「夕ご飯食べよう」と宿にいる駿人さんに連絡を取り、商店街を歩いていて見つけた店で夕飯を。身体も精神も疲労が溜まっているのがわかった。帰って駿人さんと少し話したが限界がきて寝た。12時間くらい寝た。

翌朝ピンピンになってハイパー元気復活!さらにバスに乗って近くのスーパー銭湯へ。さらに元気増し!風呂上がりに座敷でプランクしちゃったよ。

photo by umihayato

おばあさんに「バス一緒だったわね、行動が一緒ね」と話しかけられて、「気持ちよかったですね」と言ってウインクしあった。

エルキューブに着くと、「あこがれゴールデン」がかかっていた。「めっちゃいいです」と樫村くんが言ってくれて嬉しかった。やっぱヒラメ筋は大事。足で稼ごうバンドマン。

ありがたいことだけど、最近しばらくワンマンが多かったので、ブッキングライブは超久しぶり。6組。1組25分、自分だけ30分いただいた。誰も自分のことを知らない場所で、はじめて聴いてもらう歌を届ける。

photo by umihayato

今回の旅を通して、年下の子たちと共演することが多いとふと思った。それもかなり下だ。この日も19歳の子たちがいた。

阿寒の夜、かんととの間に生まれたようなあの感覚は、自分が彼らのために差し出せるなにかを手渡したということだろうか、とふと思った。

photo by umihayato

10代、20代を経て、今年34歳になろうとしている。
今まで歩いてきた道のりや得てきたものの中に、彼らがこれから歩いていく際につまづくものを飛び越える、あるいはつまづいても立ち上がれるヒントを自分には持っているかもしれない。

そして逆に、彼らは自分がいま持っている問題を解決するためのヒントを持っているかもしれない。

後輩のことから考えははじまったが、「いや、これらは年齢関係なく人との対話によって生まれる超いい関係だ」ということになり、とにかく、自分はみんなと話をしたいのだと思えた。

地元のこと、音楽のこと、政治のこと、チャリティーのこと、友達のこと、戦争のこと、恋人のこと、仕事のこと、進路のこと、家族のこと、わからないまま苦しい心のこと。
あらゆることで話を聞かせてほしい。

photo by umihayato

対話によって、よりよい社会の形が見えてくるかもしれない。
もしも「政治はわからない」というのならみんなで学びたい。
政治のことなど考えずにただ音楽を享受し純粋に「楽しい最高!」だけ言ってへらへらしていられる時間のために。
どうしようもできずに諦めるしかなく志半ばで折れてしまわないように。
そうなったとしても「それでよかった」と思える未来のために。
うまくいかなくて苦しい夜に、「遠くでおなじく苦しむ人間がいるから、その時は変顔送り合おうね」って言えるように。

photo by umihayato

出演者全員の25分を見届けて、いよいよ立った初めての苫小牧のステージは、あまりにもみんなとの距離が遠かったので、近づいた。揃わないなら、自分から目線を合わせていく。遠いなら近づく。どこにだって歌いにいく。

photo by umihayato

「話をしましょう」
と言ったライブに応えて、終演後、ひとりの女の子がきてくれた。店が終わるまでずっと話した。

この話は、いつか同じように悩む誰かにとっても救いになるかもしれないね。
話を聞いたら自分ごとになる。

自分がこれからどうしていけば良いかという道標にもなる。
まだ見ぬ星座を作るように、暗くなるほど見えてくる星を、ひとつひとつ繋いでいきます。

photo by umihayato

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小野雄大
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