みちのく東北ひとり旅.3 #寺山修司と美術館編
7月6日火曜日、東北ひとり旅3日目。
この日は2時間ほどかけて三沢市の寺山修司記念館まで行き、帰りに青森県立美術館に寄る予定だった。前日に続き一日のほとんどを車の中で過ごすなかなか効率の悪い旅程だったけれど、スタンプラリーのように慌ただしく観光地を巡る旅行があまり好きではないのでこういう旅も悪くなかった。
前日に弘前で買ったアップルパイを食べたあと、ホテルのすぐ近くにあるレンタカー店から出発。青森市内は弘前に比べて断然交通量が多く、市街地も広い。この日は前日と違って海から離れた山道を行く予定だった。
運転にもだいぶ慣れてきたところで、プチハプニングが発生。運転に不安があるので車の流れがはやい高速道路や有料道路の類には乗らないと決めていたのだけど、カーナビの余計なおせっかいでみちのく有料道路を走るルートになってしまっていたのだ。
運転がうまい人には理解できないと思うけれど、ペーパードライバーにとって高速道路や有料道路は鬼門だ。しかし、最高速度が時速60キロのみちのく有料道路は阪神高速みたいに車がびゅんびゅん走っているわけでもなく、ペーパードライバーに優しい道路だった。接近してくる大型トラックに怯えながらも無事最後の関門である料金所をクリアした。
みちのく有料道路を使ったおかげでだいぶ早めに目的地に近づいたので、寺山修司記念館の手前にある小川原湖に寄っていくことにした。天気の関係で十和田湖に行くのを断念したので何かしらの湖を拝みたいという欲求が働いたのだった。
特に何をするというわけでもないけれど、海や湖があると吸い寄せられるように見に行ってしまう。どこまでも広がる水辺はどうしてこれほどまでに心を癒すのだろうか。
湖の前にある施設の壁面にバブリーな絵が描かれていてかわいかった。
湖を後にして市街地から山道を進んでいくと緑が生い茂る森のなかに寺山修司記念館が現れる。寺山修司というとなんとなく都会的でハイカラなイメージがあったので、このアヴァンギャルドな建物がまさかこんな山奥にあるとは思わなかった。
エログロやアングラといったジャンルに属する映画やお話が苦手なので、恥ずかしながら寺山修司については今回ここに来るまでほとんど無知だった。旅行することになって初めて彼にまつわる著書を読んだぐらいだ。
それではなぜここに来たのかというと、そのとき記念館で開催されていたアングラ演劇のポスター展に興味をそそられたからだった。天井桟敷立ち上げの頃に舞台美術を担当した横尾忠則は私が大好きな芸術家のひとりだ。
寺山修司ではなく横尾忠則目当てという些か邪道な目的で来館したので展示されているアート作品にばかり目がいってしまったけれど、記念館の細部にわたって寺山修司や天井桟敷の世界観が表現されていてあらゆるものが新鮮だった。
記念館の裏手には寺山修司の俳句がのんびり楽しめる散歩道があり、展望スポットからは湖を眺めることもできる。
森のなかで蚊にさされながらも自然の景色を堪能し、記念館を出発。
お昼は道の駅ですじこのおにぎりと焼き菓子を買って食べた。お気づきの通り、これまでのところほとんど東北のグルメを楽しめていない。事前にあまりグルメ情報を調べてこなかったというのもあるけれど、運転に不慣れだとよさげなお店にふらりと立ち寄るという粋なことがあまりできないのだ。ふらりと立ち寄れるのはせいぜい大型ショッピングモールか道の駅というのがペーパードライバーの悲しい性である。
次の目的地、青森県立美術館に向かってまた片道2時間弱の道のりを走る。山道に飽きてきたので、少し遠回りな海沿いのルートを行くことにした。浅虫温泉あたりの海の景色がとてもよかった。
15時ごろ、青森県立美術館に到着。
真っ白な建物と緑のコントラストがかわいい。雪の季節に来るとまたちがった景色になって綺麗なんだろうなぁと思っていたら、雪景色の日に撮影された美術館の写真も館内にばっちり展示されていた。冬にもまた来たい。
有名な奈良美智のあおもり犬。館内の展示作品のなかではシャガールのアレコが一番お気に入り。
じっくり楽しんだので、美術館を出たときには入口の木の模様のネオン館が青白く灯っていた。
美術館から青森駅はすぐ近くだったので、レンタカーの返却時間までだいぶ時間があまった。
せっかくなので、アスパムとA-FACTORYでお土産を買っていくことにする。どちらも青森の名産品がたくさん置いてるけれど、アスパムは昔ながらのお土産物屋さんという風体で、A-FACTORYは今風のおしゃれなセレクトショップのような雰囲気だった。
A-FACTORYでお菓子やお酒を購入。アスパムではなにも買わなかったけど、裏手に海が見れる遊歩道があるので散歩した。
レンタカーを返却したあと、ホテルのすぐ近くにあるラーメン屋さんへ。
味噌カレー牛乳ラーメンというB級グルメが売りのお店だったけれど、辛いものが苦手なので味噌牛乳ラーメンをいただいた。まろやかで美味しいラーメンだった。店主さんも優しくて朗らかな方だったのでとてもおすすめのお店。
食後に商店街をぶらぶらして、この日も早めに就寝。
ビジネスホテルが大好きなので、ひとり旅のときは早めにホテルに帰ってお菓子を食べながらごろごろすることが多い。夜も必ず8時間以上は寝る。
青森滞在はこの日が最終日。翌日からは岩手に行く予定だった。丸二日間滞在したけれどまだまだ青森で行きたい場所はたくさんあるので、またリベンジしようと思う。次は奥入瀬渓谷や八甲田山の自然巡りツアーがいいかな。
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