観光とレジャー、レクリエショーンの違いとは? 観光学を簡素に「総ざらい」 vol.2

どうも。有馬です。昨日、子ども達と海を見に行ってきました。

これ、どこかわかりますか? 関東です。神奈川です。そう、横須賀です。ってわかならいですよね(笑)。この近くには海岸もあり、磯遊びもできました。さて、これは「観光」でしょうか?「レジャー」でしょうか?「レクリエーション」でしょうか?いや「〇〇ツーリズム」でしょうか。うーん、正直どうでも良い、、、

いやいや、どうでも良いことを突き詰めてみると面白くなるのが学問の真髄です!ゼミでも最初に議論をしたのは、この「観光」という語や構造をめぐる内容でした。今回はその内容をご紹介します。

「観光」の由来

「観光」という単語の由来は、昔々の中国においてリーダシップとはなんたるかを書いた占い本、いや哲学書、いや古典の『易経』という書にあるそうです。『易経』にある一節「観国之光 利用賓于王」、現代風に言えば「国の光をみなさい。そうすると、王様に重宝されるよ」といった意味(正式な訳や様々な解釈については、ぜひお調べください。それだけで論文書けそうです)。

その後、かなり経ってから、日本で、船の名前に「観光丸」と付けてみたり、学校に「観光館」と付けてみたり、岩倉具視が「観」と「光」の文字を書いてみたりと、使用されてきました。なお、日本で「観光」という語が目立つようになってきたのは明治期以降といわれています。

ちなみに、公には、あの渋沢栄一(と益田孝)が設立した「貴賓会」の設立目的にある文章が最初のようです。ちなみに、この「貴賓会」が発展に発展して、皆さんの知っているJTBとなっています。観光と渋沢栄一、そのつながりは意外でしょうか?

レジャーやレクリエーションとの意味の違い

さて、話がちょとずつ横に外れそうなので、軌道修正。観光に似た単語に、余暇(レジャー)[Leisure]レクリエーション[Recreation]という単語があります。この違いはなんでしょうか。大雑把に言ってしまえば、余暇(レジャー)は時間の概念レクリエーションは字の如く(自らの)リ・クリエーションなので心身的な概念となります。観光は先ほどの通り「光」を「見る」意味がありますので、見るという行為の概念に近くなります。なので、一気にレジャーとレクリエーションと観光をすることは、単語の定義的には可能です。

※ただし、注意が必要です。さまざまな団体や法的には、独自の定義があります。今回ご紹介する話も含めて、どれが正しいという唯一解は今の所ありません。

さて、先ほどの単語の違い、余暇とレクリエーションには英語名を書き入れましたが、観光には書き入れませんでした。観光を英訳しようとすると、おそらく二つの英単語が浮かぶのですが、それがtourismsightseeingです。観光は中国語が由来ですので、適切な英訳がないとも言えるのですが、どちらか?と問われれば、どちらでしょう?

これまでの流れで、もしかしたらお気づきかもしれませんが、観光を英語にするとsightseeingに近いものとなります。ですので、sightseeingの意だけに囚われないツーリズム[tourism]という語が使用されることが近年多くなりました。なお、ツーリズムはtour + ismですので、移動の概念が強くなります。(別解釈として、観光=行動、ツーリズム=観光業という解釈もあります。)

他にも「旅行」は?「旅」は?と、類似の単語もありますが、これ以上書くと「簡素に」というタイトルにそぐわなくなりますので、この辺にしましょう。なお、今回のゼミでこの話題を発表してくれた学生が参考とした観光学の教科書は以下のもので、今回の内容もこの本を一部参考にしています。


観光の構造

さて、おまけではないですが、「そんな観光ってどうやって捉えれば良いの」というヒントを。

観光現象には、まず需要側やゲストとも呼ばれる①観光者(研究的には観光客とは言いません)が存在します。そりゃそうですね、人がいなければ始まらない(笑)。

次に、観光者の移動先には必ず何かしらの②観光対象(観光資源の他にも、この中にホテルやお土産屋などの観光地の施設も入ります)があります。供給側やホストとも捉えられます。何かがあってそこに行くわけですからね。

そして、最後に、観光者と観光対象をつなぐ③観光媒体があると言われています。これは具体的には交通であったり、送客を行う旅行会社、はたまた情報を伝えるガイドブックや、最近ではインスタもそうかもしれません。

これらの観光者、観光対象、観光媒体というのが、現代の観光を理解する上でわかりやすい観光の構造です。「これらのどこにテコ入れをするのか」を考えるのが観光政策と言っても良いかもしれませんね。

最後に

最後に今回のゼミでの議論をまとめた、学生のイラストをみてみましょう。

簡単なイラストや文字情報で、話をまとめる手法はグラフィックレコーディング(略称:グラレコ)と呼ばれています。もちろんデメリットもありますが、このように簡素に、要点をまとめるのには適していると思います。毎回、ゼミでは議論の後、まとめのグラレコを書いてもらっています。

学生たちも初めてのグラレコながら、頑張りました!今回の内容の復習としてもご覧いただけますね。

それでは、今回はこの辺で。ちょっと長くなりました。次回は短めに。

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