2019年9月のイラク・クルド人自治区の入国・物価・治安・国内移動
2019年の9月にイラク・クルド人自治区に滞在しました。クルディスタン(クルドの土地)というとトルコやイランも含めてしまいますが、面倒なのでここではクルディスタン(狭義の)と表現します。
ルートとしては
エルビル空港から入国
→タクシーでラワンドゥズ Rawanduzへ
→タクシーでラーニア Ranyaへ。タクシーを乗り継いでスレイマニアへ
→スレイマニアからドバイへ出国
といった感じです。
民家や個室に泊まっていたこともあり、観光客にはほぼ会いませんでした。スレイマニアではドミトリーのある宿泊施設に泊まったため、バックパッカーっぽい白人を見かけましたが、それが全てです。
治安はひじょうに良く、観光客も少ないためぼったくりにあうことも全くありませんでした。むしろ道に迷ってたら無償で車で送ってもらう始末です(二度も)。旅行者へのホスピタリテはパキスタン北部(フンザ周辺)とかに近い気がします。
入国
日本国籍の方の入国は30日間ノービザです。
飛行機が着いてからアライバルビザに目もくれず、そのままPassport Controlに向かってかまいません。
多分英語だった気がしますが、いずれにせよ記憶に残るほど言葉は交わしません。
「どこに泊まるか」「帰りの飛行機は」「目的は」とかも聞かれませんでした。
ちなみにイラク共和国のスタンプが押されます。
エルビル市街まで
入国後はまずATMでイラク・ディナールを下ろしておくことをオススメします。しっかりATMが使えるのがイランとは違って楽なところです。
ホテルやタクシーでは米ドルで支払ってもディナールでお釣りをくれることもありますが、基本的にはディナールを使用するので、5万ディナール(4500円)くらいは下ろしてもいいと思います。
空港の建物を出ると、目の前にシャトルバスが10分おきくらいに止まります(無料)
それに乗ると「タクシーターミナル」のような場所まで連れて行ってくれます。
そこから市街地までは大体4000-5000ディナール(450円)で行けます。
ぼくは空港職員のおじさんに「ここで乗ると高いから外で捕まえた方がいいぞ」といわれ、テクテク歩きましたが、交通量が多いわけでもないので、結局タクシーターミナルから出てきたタクシーに便乗しました。
宿泊
ぼくは基本的にCouchsurfingかBooking.comしか使わないので、クルディスタン内の宿泊には難儀しました。Airbnbだと少し増えますが、それでも限られています。
時間があれば現地で探す方がいいと思います。スレイマニアでぼくがテキトーに見つけたボロいホテルは、ツインで一泊15000ディナール(1350円)とお手頃な値段でした。
街に深夜に着く場合は先にネットで予約することになりますが、エルビルは最安が30ドル、基本50ドル以上でした。お高い。
物価
物価はそのまま書くのが一番わかりやすそうなので、そのまま書きます。
瓶コーラ 500ディナール(45円)
搾りたてのジュース 1500ディナー(135円)
シンプルなケバブサンド 1000ディナール(90円)
ロカンタでの一食(ごはん、おかず、サラダ) 5000ディナール(450円)
市内のタクシー移動 4000-5000ディナール(450円)
移動
ぼくは全てタクシー移動でした。
というのも、エルビル、スレイマニア、ドホークなどの大都市を直接結ぶようなルートは取らなかったためです。
大都市間はイランのようにバスターミナルから国内国際バスのチケットを買って乗ることができます。
そうでない場合はターミナルに行き、ひたすら数時間同じ方向の人を待ち、ようやく出発します。
最初はエルビルからラワンドゥズ。それが80キロ程度で10000ディナール(900円)
ラワンドゥズからラーニアが15000ディナール(1360円)、ラーニアからスレイマニアが40000ディナール(3600円、たぶん深夜でつり上げられた)てな感じです。
言語
クルド人は当然クルド語を話しますが、大きくクルマンジーとソーラーニーと二つの方言があります。ざっくり言うとイラク内のクルド地域においては、ドホークのみがクルマンジー、それ以外はソーラーニーです。
クルマンジーはトルコ語同様にラテン文字、ソーラーニーはアラビア語・ペルシャ語同様にアラビア文字を使用します(いくつかアラビア語に使用されない文字もあります)
ただソーラーニーでは/i/以外の母音を全て表記するので、アラビア語よりはとっつきやすいです。文字さえ覚えてしまえば、かなり読めてしまいます。
クルマンジーとソーラーニーは差異が大きいです。「クルディスタンに行く前にクルド語を学びたい!」という方は、ソーラーニーを学ぶことをオススメします。KurdDicというアプリがソーラーニーを使用しているので、インストールしときましょう。
クルド語以外では、英語のほかにアラビア語、トルコ語、あとは人によってはペルシャ語が通じるんじゃないかなと思います。
相手が何を言っているのかさっぱりわからないときにトルコ語のtamam(オッケー)とかotogar(バスターミナル)とかが聞き取れたおかげでなんとかなったりもしました。
最後に
当初の予定ではラワンドゥズに行ったあと、ドゥカン Dukanという湖を擁する街へ行く予定でした。
そこでゆっくりしてからスレイマニアに行く予定だったのです。
ですがラワンドゥズで、泊めてくださった家庭があまりに暖かく居心地が良かったため、気付けば2泊してしまい、ドゥカンに行く時間がなくなりました。
そこはカウチサーフィンで見つけたわけでなく、ただ走っている車を止めて「4000ディナールでラワンドゥズまで乗せてください」といったら、そのままタダで乗せてくれ、気付けば泊めていただいていました。
見晴らしのいい丘に連れてってくれたり、クルドの家庭料理を振る舞ってくれたり、金曜礼拝に参加させてくれたりと本当にお世話になりました。
クルディスタンはこういうところです。ぜひ。