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会社の理念は、粗利益率に宿る

粗利益率はブランド力であり、他社との比較を行うことで自社のブランド力を把握できるという話を、以前のnoteでしました。

ブランド力は大企業だけの話ではありません。フリーランスでも中小企業でも必要になります。では、中小企業ではどのようにブランドを作ればよいのでしょうか。

ブランドとは「違い」である

まず、ブランドについて。
よく聞く言葉ですが、ブランドの定義を聞かれてすぐに答えられるでしょうか。私はいつも、「ブランドとは、違いである」と答えています。

自社のサービス・商品が、何者であるか。そして、何者でないか。
同業との違いが、エッジになり、それを好む人と嫌う人を分け、好む人は値段が高くてもそれを得ようとする。
それを端的に伝えられるかどうかがとても大切なのです。

他社との違いが明確になるほど、敬遠する消費者や取引先が増えるかもしれません。しかし、市場に「その違いこそが欲しかった」という人がいれば、あなたの会社の「違い」は希少性と呼ばれ、高い利益率となって数字に反映されます。

ですので、粗利益が業界と同等水準だからヨシ!というところで留まるのではなく、もう一歩踏み込むためにはどうしたよいか?を考えることが、経営者にとって非常に大切なのです。

違いは、思いから生まれる

では、どうやって違いを出せばいいのでしょうか?
奇をてらえばいいというものではありません。「違い」と「おかしい」は違いますよね。おかしい方へずれてしまうと、誰からも選ばれなくなってしまいます。

どんな業界にも課題があります。既存のサービスでは満たされていないニーズがあります。真剣にビジネスに取り組んでいれば、「なぜこういう課題が放置されているのか」と思うことが見つかるはずです。

私は財務戦略家として独立しましたが、元々は会社の経理マンでした。
経理部ってどういう印象ですか?数字だけを扱い、事務的な対応に終始して、責任を持たずに不親切な振る舞いをする。そう思うことはないでしょうか?

私自身、同じ経理部の人が、他部門に対して非常に冷たい対応をしているのを何度も見たことがあります。新しいビジネスを始めたいのに「経理としてはこういうリスクがあるからやってほしくない」「こちらは〇〇を対応してもらえるのなら構いません(その〇〇がむずかしいから相談に来ているのに)」などと、木で鼻をくくったような対応をしている人を見るたび、とても悲しい気持ちになりました。

だから、ナメられるんだと。

営業が数字を上げなければ会社は成長しないのです。経理のために営業部門があるのではなく、営業部門が会社を成長させ、利益が増えるから(もしくは、増やすために)経理部門が必要なのです。そこを履き違えたら、同じビジネスパーソンとして評価されないはず。

このように、業界の従来サービスが持つ課題に憤りを感じることがあれば、それを改善することで喜んでくれる人が増えるはずです。

突き詰めた思いが理念となり、周囲を巻き込む成長となる

同業他社の問題点を探すだけでなく、自社が提供しきれていない価値があるなら、それを突き詰めてもよいと思います。

いずれにしても、社会の課題に対して自社はどうアプローチするのか?ということを考えることが、お客様から選ばれる違いになっていきます。

もちろん、社会の課題を解決するのは難しいです。だから他社は目をつぶるのです。そういう問題はどこの業界にも転がっていています。

それらの中から、どの課題を選んで解決するか。なぜそれを選ぶのか。よく考えていくと、そこには経営者のビジョンや思い入れが詰まっているはず。

それを磨いて、言語化することが理念やビジョンとなり、周囲を巻き込んでいくのです。

このようなビジョンの作り方に賛同してくれる社員は、取り組むことにやりがいを感じてくれます。人生で「これこそ」と確信して取り組む仕事ほど、自分を成長させ、幸福にしてくれるものはないと思います。

すぐには見つからないかもしれないけれど、探さない限り見つからない。
ぜひ、心にとどめておいていただければと思います。

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