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【第三世代フェミニストの弾薬庫】2020年代フェミニズムが手放してしまった「選択の自由の尊重」概念について。

さて、2010年代のうちに「共稼ぎで家事も育児も夫と公平に分担するバリキャリ妻も、夫を仕事に専念させる為に家事と育児を担当する専業主婦も、それが自ら選んだ選択の結果なら同じくらい尊い。だから喧嘩せず、ピンクタックス問題などの共通課題については共闘しよう」と提唱してきた第三世代フェミニズムはリベラル・フェミニズムとラディカル・フェミニズムの党争激化の狭間に消えていきました。その結果フェミニズムからは何が失われてしまったのでしょうか?

欧米流アイデンティティ・ポリティクス強要の問題点

ここに丁度いい例題が現れました。

このアプローチへの反論。

ここに乱入しました。

状況の俯瞰的整理。

この問題は法律でムスリムに公共の場におけるベール着用を禁じたフランスの事例を連想させます。

この法律が生まれたきっかけは、2009年6月に当時の大統領サルコジが宗教上の理由によるヴェールはフランスに歓迎されないと述べたことにある。サルコジは、法律の目的は女性が顔を隠すよう強要されることから守り、フランスの政教分離を擁護するためだと述べた。世論調査では80%が法律による禁止に賛成した。

イスラームの知識人たちは、ヴェールで顔を隠すことはイスラームの教えではなく、コーランにも書かれていないが、ムスリム文化の伝統であると述べた。アメリカに住む著名なイスラーム学者のハムザ・ユースフは、「個人的には顔をヴェールで隠すことに賛成しないが、ヴェールはイスラームの合法的な伝統である。ヴェールを被る女性の大半は神の命令に従って着用しており、決して夫の命令ではない。数年前にフランスに行ったが、街でポルノグラフィーの大きな看板がかけられていることに衝撃を受けた。女性のヴェールをはぎとって人びとの視線を集めることが文明で、その視線をかわすためにヴェールをかぶることが犯罪なのはおかしい」。

法律施行の前々日の2011年4月9日、パリで法律反対のデモを無届けで行ったとして61人が逮捕された。施行当日には反対する女性数人がヴェールをかぶってノートルダム寺院の外で抗議行動を行った。同じ日、フランス政府はブルカ(頭から足まで包み込む衣服)がコミュニティの人間関係を壊すと述べ、法律支持者はジェンダー平等と政教分離を進めるものだと賛意を述べた。

上掲「スカーフ禁止からその後」

こうした強制についつい反感を覚えてしまうのが日本人の伝統?

「インド人のベットタウン」葛西における展開。

ところで私の住んでる葛西というのは「埋め立てによって地元漁師が土地成金となり(第一身分)、輿入れしてきたインドのマハラジャの娘が高層マンションを建てて多くのインド人を誘致し(第二身分)、その後日本人や在日外国人が流入してくる(第三身分)」なる面白い成り立ちをした地域。その経緯から在留インド人の自治意識が高く、市会議員選挙に際しても応援に駆けつけてきた立憲民主党議員が「この街の多様性は素晴らしい‼︎」と誉めそやす一方、インド人立候補者が「我々は不法移民を許さない‼︎」と力説して聴衆から大喝采を集める異様な展開に。そう、きちんとした手続きを踏んでこの土地に居着いた合法移民側にとっては「水商売や裏稼業を巡る紛争でしばしば死人を出す上海人」や「ネパール人に紛れて暗躍する毛派」や「どこからともなく流れついて怪しい店を経営している東欧系白人」はあくまで自分達の足を引っ張る迷惑なだけの存在という認識。まさに2024年度米国大統領選で「民主党のアイデンティティ・ポリティクス」を破った「移民側の本音」を地でいく展開な訳ですね。

そんな葛西の日常風景に目を向けると…

  • 「ずっとトラディショナルな民族衣装を貫くのは老人中心。若者は原則として現代装だが、晴れ着としてファッショナブルにアレンジされた民族衣装を着る事もある」なる原則自体はインド人も日本人も同じ。ただ日本人の場合「トラディショナルな民族衣装を貫く老人」の比率が低く、その分だけ欧米人に近づいてる感覚。

  • インドの女性用民族衣装にはヴェールがつきものである一方、現代装の若い女性は天然ソバージュの髪を剥き出しにしてる事が多い。ただしヴェールには夏場の日除けという実用性があり、だから夏場限定で復活。

  • 課題ではごく稀にブルカ着用者を見掛ける事があるが、お供も連れず数人単位で現れ、中から若い女性のくすくす笑いが聞こえる事から単なるコスプレと思われる。コンビニなど店舗内には立ち入らない。「(強盗避けの為に)フルフェイスのヘルメット着用者など顔を隠した客の立ち入りを禁止する」日本店舗ルールはちゃんと守ってる訳である。

日本には江戸幕藩体制時代の身分単位での服装強要状態から脱するのに特別な禁止令を出さなかった伝統が存在。「服装の自由」を宣言しつつ、明治天皇などインテリ/ブルジョワ/政治的エリート階層が自ら積極的に切り替える事で自然に洋装が主流となる様に奨励していった訳です。

その伝統が「葛西のインド人」にもちゃんとそれなりの形で継承されてる感じがしてちょっと面白くなりました。

【追記1】HTSの穏健路線はどうやら本物っぽい?

こんな情報も流れてきました。

間違いなく慎重に振る舞う事を心掛けている様ですね。良い兆候かと。とりあえずベイズ更新…

【追伸2】「なまじ強制すると逃げる楽しみが生じてしまう」ジレンマ

なるほど、背景としてイランではこんな展開があったんですね。おそらくシリアへも波及してた?その一方でHTSの方々の「ごめん、一緒に写真撮る人は髪を隠して」は「うちの戦闘員まだまだジハード戦士気分が完全に抜け切ってないのであんまり刺激したくない(下手したら暗殺される)」というメッセージの模様…

そんな感じで以下続報…

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