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【第三世代フェミニストの弾薬庫】2020年代フェミニズムが手放してしまった「選択の自由の尊重」概念について。
さて、2010年代のうちに「共稼ぎで家事も育児も夫と公平に分担するバリキャリ妻も、夫を仕事に専念させる為に家事と育児を担当する専業主婦も、それが自ら選んだ選択の結果なら同じくらい尊い。だから喧嘩せず、ピンクタックス問題などの共通課題については共闘しよう」と提唱してきた第三世代フェミニズムはリベラル・フェミニズムとラディカル・フェミニズムの党争激化の狭間に消えていきました。その結果フェミニズムからは何が失われてしまったのでしょうか?
欧米流アイデンティティ・ポリティクス強要の問題点
ここに丁度いい例題が現れました。
アサド政権を倒したHTS、BBCの女性レポーターにヒジャブを(正しく)かぶることを求めたとのこと。アフガンでタリバンが権力を握った時は最初は寛容性があるような雰囲気を出していたが、急速に原理主義的になっていった。 https://t.co/4sOfVGmamG
— Kazuto Suzuki (@KS_1013) December 11, 2024
元々アルカイーダなので、原理主義に回帰する可能性はおおいにある。
— 錦糸町見物人(個人アカウント) (@MonophonicTokyo) December 11, 2024
トルコの支援を取り付けるためだけのパフォーマンス。
シリアのアフガン化は、内戦内乱だけではなく、IS的な原理主義志向も含まれる。
トルコや革命前のイランくらいしか世俗主義的雰囲気を維持できないんでしょうか。(彼らの宗教観が100年前くらいで止まっている?)
— 宮嶋龍太郎RyotaroMIYAJIMA (@MiyajimaRyotaro) December 12, 2024
第二次タリバン政権が原理主義化していったと言ってもハザラ人虐殺とかしてた初代タリバン政権に比べたらまだ穏健なほう。
— 浦安齧歯類警察 (@Demokrat_Rep) December 11, 2024
シリアもアフガニスタンのようなイスラム原理主義の支配する国家になるのかもしれない。
— hiro (@hirot1954) December 12, 2024
このアプローチへの反論。
丁寧な言い方やし、これくらいなら良いんじゃないかな。ここからどうなるかですねぇ。
— 青豆🇺🇦Stand with Ukraine (@rhythmofk) December 11, 2024
いつか出て来ると思うが出てこないで欲しい。そういう気持ちがあるから、結構敏感に反応してしまうのでしょうね。
— ї_ (@enter_blank) December 11, 2024
ここに乱入しました。
これ「(ヘッドスカーフをヒジャブと見てとって)ヒジャブを被るなら(髪の毛を隠す様に)ちゃんと着用しようね」と、嗜めたという話なのでは?最近の観光ブームで日本においてもムスリム女性を良く見掛ける様になりましたが、誰一人として髪の毛を出しないんですね。着物の着付けみたいな感覚?
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 12, 2024
もちろんHTSにイスラム原理化の危険がないといってるのではなく「この情報だけでの判断は禁物」というだけの話。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 12, 2024
で、そういう観察結果から以前から気になってたのが「欧米リベラルが引っ張り出してくるムスリム女性の多くがヒジャブで髪の毛を完全には隠してない」件。https://t.co/vdLyMegjc2
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 12, 2024
つまりそれって「着物をあえて着崩して、それを嗜める日本人を「やっぱり日本人は非寛容」と決めつけて貶める」みたいな欧米リベラル独特の挑発行為なのかもしれないという話…https://t.co/w0j2t0ePFJ
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 12, 2024
「ヒジャブ着用が浸透してる地域では髪の毛がおっぱい、(目しか出さない)ニカブ着用が浸透してる地域では目から下もおっぱい、(全身を隠す)ブルカが浸透してる地域では、全身がおっぱいと考えれば、そこに独特のエロティズムが見出せる」と宣言してライコス認定された以下の投稿では… pic.twitter.com/JGozBkQHJk
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 12, 2024
とある日本人ムスリム女性から「ヒジャブ被って髪の毛出してるのは感覚的のパンチラと同じでと教わりました。要するにリベラル系のそれって「フェミニストが抗議行動の時にすぐトップレスになって挑発してくる」あの感じの可能性も?
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 12, 2024
レポート原文、とりあえず機械翻訳して眺めましたが「あえてパンツを見せて注意させ「やっぱり女の敵‼︎」と騒ぎ立てる」活動家的嫌らしさを感じないでもなく。むしろ「キリスト教徒ですか?(ならパンチラではない)」とあえて事前に確認してくる辺り「想像してたよりずっとマシ」という印象。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 12, 2024
ヒジャブの「着付け」と見るご指摘は、かなり頷けるところ。もし日本で外国人の方の着物が崩れていたら、ちょっと直してあげることもあるかと。 https://t.co/1ffwnlOeQa
— Ayasekaz (@ayasekaz) December 13, 2024
状況の俯瞰的整理。
やれやれ欧米メディア、アサド政権を倒したHTSに対してこんなヤバい釣りとか試してやがんのか。「HTSはやっぱり原理主義者」派が大喜び。 https://t.co/h3zRIqiyQY
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 12, 2024
原文はこちら。HTS側はリポーター女性のヒジャブから髪の毛がはみ出してるのを目にして(?)「キリスト教徒なら問題ないですが、ムスリムなら完全に隠した方が美しいですね」とアドバイス。HTS思ったより話せるやつ… https://t.co/RUwPBHFZAk
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 13, 2024
というのも、最近の観光ブームで日本にも随分とムスリム女性が訪れる様になりましたが揃って髪の毛をヒジャブで隠してます。聞くところによれば、それは信仰心云々というより「髪がはみ出てるのはみっともない」「子供っぽい」という感覚。日本人の感覚に置き換えると「パンチラ」に近い? pic.twitter.com/DAvDbwzxR1
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 13, 2024
それでも欧米寄りの女性活動家がヒジャブから髪の毛をはみ出させてるのには(これもこれで欧米メディアが扇動してる側面もある)イラン・スカーフ問題への抗議というニュアンスがある模様。ただし日本を訪れる各国のムスリム女性を見ても、一般層までの波及は到底…https://t.co/Dct5zxD62O
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 13, 2024
この運動の是非自体はともかく、それをいきなり「とりあえずその部分はどうでもいい」HTSにぶつけて「ほら、やっぱり駄目じゃん」と言いふらす欧米メディアの傲慢さ…そんなあり様だからお前らのアイデンティティ・ポリティクスとやらは必ず失敗に終わるんでないの?
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 13, 2024
欧米メディアはトルコ支援のHTSをシオニスト勢力に取り込めると信じているのか、現状中立的に見受けられます。
— Ho-Ho🇯🇵 (@HoHo83271645) December 13, 2024
Xでの偽情報の発信源は、シリアから一斉放逐されたロシア系、日本語では金正恩の盟友バッシャール・アル=アサド亡命に腹を立てている北朝鮮系が目に付きます🤷https://t.co/FlBko7nlqJ pic.twitter.com/Cc02MmSVQA
まぁ元記事自体はあくまで良くも悪くも「イランのスカーフ事件に抗議してヒジャブで前髪を隠してないイラン系女性記者がHTSに「ちゃんと髪の毛隠してた方がムスリムとして美しいですよ」とアドバイスされて「イラン体制側と何が違う?」と感じた」という個人的所感。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 13, 2024
私自身は、むしろ「あなたはイラン人なのですね。私達はイラン人は好きだが、国としてのイランはそう好きじゃない。対立して戦っていた時期もありますから」「あなたはキリスト教徒なのですか?」と尋ねる手順を踏んでからその質問をしたHTSに「全然狂信者じゃないじゃん」という感想を持ちました。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 13, 2024
イラン+英国の公共放送BBCと来ればHTS兵士でなくともスンニー派にとって完璧な敵のはずが、危害を加えられるわけでもなく単なる皮肉であしらわれた、この対応は日本の埼玉県にもいるPKK/YPGやISISとはまるで異なりますね。
— Ho-Ho🇯🇵 (@HoHo83271645) December 13, 2024
これをあえて伝えるBBC記事はHTSテロリスト説を払拭したかったのでしょう。
なるほどそういう考え方もありますね。本当に勉強になります。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 13, 2024
あれ?やっぱりBBCは「HTSへの不信感」を煽ってる側なの? https://t.co/DSHxL94Scl
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 13, 2024
2024年11月27日の攻勢開始からわずか11日で首都ダマスカス陥落、アサドを亡命に追い込むなど、一般市民の多大な協力がなければ起り得ません。
— Ho-Ho🇯🇵 (@HoHo83271645) December 13, 2024
半世紀以上の圧政から解放された民衆はHTSを通じてバース党幹部やその配下を吊し上げる、BBCは解放直後によくある一齣を伝えているに過ぎないと思われます。
逆にこれこそが「事態への客観性を貫く本当の報道のあり方」という気がしてきました。本当に勉強になります。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 13, 2024
この問題は法律でムスリムに公共の場におけるベール着用を禁じたフランスの事例を連想させます。
この法律が生まれたきっかけは、2009年6月に当時の大統領サルコジが宗教上の理由によるヴェールはフランスに歓迎されないと述べたことにある。サルコジは、法律の目的は女性が顔を隠すよう強要されることから守り、フランスの政教分離を擁護するためだと述べた。世論調査では80%が法律による禁止に賛成した。
イスラームの知識人たちは、ヴェールで顔を隠すことはイスラームの教えではなく、コーランにも書かれていないが、ムスリム文化の伝統であると述べた。アメリカに住む著名なイスラーム学者のハムザ・ユースフは、「個人的には顔をヴェールで隠すことに賛成しないが、ヴェールはイスラームの合法的な伝統である。ヴェールを被る女性の大半は神の命令に従って着用しており、決して夫の命令ではない。数年前にフランスに行ったが、街でポルノグラフィーの大きな看板がかけられていることに衝撃を受けた。女性のヴェールをはぎとって人びとの視線を集めることが文明で、その視線をかわすためにヴェールをかぶることが犯罪なのはおかしい」。
法律施行の前々日の2011年4月9日、パリで法律反対のデモを無届けで行ったとして61人が逮捕された。施行当日には反対する女性数人がヴェールをかぶってノートルダム寺院の外で抗議行動を行った。同じ日、フランス政府はブルカ(頭から足まで包み込む衣服)がコミュニティの人間関係を壊すと述べ、法律支持者はジェンダー平等と政教分離を進めるものだと賛意を述べた。
こうした強制についつい反感を覚えてしまうのが日本人の伝統?
「インド人のベットタウン」葛西における展開。
ところで私の住んでる葛西というのは「埋め立てによって地元漁師が土地成金となり(第一身分)、輿入れしてきたインドのマハラジャの娘が高層マンションを建てて多くのインド人を誘致し(第二身分)、その後日本人や在日外国人が流入してくる(第三身分)」なる面白い成り立ちをした地域。その経緯から在留インド人の自治意識が高く、市会議員選挙に際しても応援に駆けつけてきた立憲民主党議員が「この街の多様性は素晴らしい‼︎」と誉めそやす一方、インド人立候補者が「我々は不法移民を許さない‼︎」と力説して聴衆から大喝采を集める異様な展開に。そう、きちんとした手続きを踏んでこの土地に居着いた合法移民側にとっては「水商売や裏稼業を巡る紛争でしばしば死人を出す上海人」や「ネパール人に紛れて暗躍する毛派」や「どこからともなく流れついて怪しい店を経営している東欧系白人」はあくまで自分達の足を引っ張る迷惑なだけの存在という認識。まさに2024年度米国大統領選で「民主党のアイデンティティ・ポリティクス」を破った「移民側の本音」を地でいく展開な訳ですね。
そんな葛西の日常風景に目を向けると…
「ずっとトラディショナルな民族衣装を貫くのは老人中心。若者は原則として現代装だが、晴れ着としてファッショナブルにアレンジされた民族衣装を着る事もある」なる原則自体はインド人も日本人も同じ。ただ日本人の場合「トラディショナルな民族衣装を貫く老人」の比率が低く、その分だけ欧米人に近づいてる感覚。
インドの女性用民族衣装にはヴェールがつきものである一方、現代装の若い女性は天然ソバージュの髪を剥き出しにしてる事が多い。ただしヴェールには夏場の日除けという実用性があり、だから夏場限定で復活。
課題ではごく稀にブルカ着用者を見掛ける事があるが、お供も連れず数人単位で現れ、中から若い女性のくすくす笑いが聞こえる事から単なるコスプレと思われる。コンビニなど店舗内には立ち入らない。「(強盗避けの為に)フルフェイスのヘルメット着用者など顔を隠した客の立ち入りを禁止する」日本店舗ルールはちゃんと守ってる訳である。
日本には江戸幕藩体制時代の身分単位での服装強要状態から脱するのに特別な禁止令を出さなかった伝統が存在。「服装の自由」を宣言しつつ、明治天皇などインテリ/ブルジョワ/政治的エリート階層が自ら積極的に切り替える事で自然に洋装が主流となる様に奨励していった訳です。
その伝統が「葛西のインド人」にもちゃんとそれなりの形で継承されてる感じがしてちょっと面白くなりました。
【追記1】HTSの穏健路線はどうやら本物っぽい?
こんな情報も流れてきました。
「少女はインスタでこう語った。
— 黒井文太郎 (@BUNKUROI) December 15, 2024
彼は、私が彼と一緒に写真を撮りたいなら髪を覆うようにと、優しく父親のように頼みました。(略)これは完全に彼の権利です。(略)彼は女の子全員に髪を覆うように頼んだわけではなく、彼と一緒に写真を撮りたい女の子だけに頼んだのです」 https://t.co/yEqN0kB9D7
間違いなく慎重に振る舞う事を心掛けている様ですね。良い兆候かと。とりあえずベイズ更新…
あえてシリアのHTSに明治政府を重ねるなら、皮肉にも浮かび上がってくるのは「なまじ直前まで尊皇攘夷活動が盛んで、それでは勝てないと悟ってしまったが故の穏健主義」という部分かも。 https://t.co/PqlIgf17KP
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 15, 2024
今イスラエルが勝手に緩衝地帯を構築してますが、明治政府もちょっとした小競り合いを契機に列強に神戸を占拠される神戸事件が起こってます。まぁ「信用ゼロ」とはそういう事…https://t.co/M95Tsswpub
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 15, 2024
明治政府も一枚板ではなく、なにしろそれまで互いに殺し合ってきた勢力の寄せ集めなので互いに口もきかない関係が多く、明治天皇が「電話交換手」役を務めていたという話も。この辺りHTSではどう対処するかが鍵となりそうですね。 https://t.co/bZJuMChOk1
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 15, 2024
そういうのも含め、今の私の結論もまたこれですかね。なお明治維新時点で不平等条約によって関税自主権を奪われ、外国人居留地の治外法権を認めさせられていた当時の日本の方が見方によってはハードスタート? https://t.co/JnD9PXylS7
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 15, 2024
「福翁自伝」にも「明治政府が安定して暗殺の標的が時の権力者に集中するまで怖くて逃げ回ってた。それまで迂闊に近づくと誰に難癖つけて殺されるか分からなかった」とあります。徳川慶喜が渋沢栄一をフランスに送り出したのも「有能な庶民出身などいい標的」だったか…https://t.co/B5XcB47BLu
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 15, 2024
その一方でこの野蛮国、フランス革命最大の成果にして他の欧州諸国には到底実践不可能だった「法権領土を全廃しての中央集権的郡県制への移行」をサラッと成し遂げてしまうという…https://t.co/enYRKKTtGk
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 15, 2024
一方、HTSのこういう側面は… https://t.co/lWEEqdCuEm
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 15, 2024
いわゆる「ルワンダの奇跡」と重ねて考えるべきかもしれません。https://t.co/soa9DQGeMg
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) December 15, 2024
【追伸2】「なまじ強制すると逃げる楽しみが生じてしまう」ジレンマ
なるほど、背景としてイランではこんな展開があったんですね。おそらくシリアへも波及してた?その一方でHTSの方々の「ごめん、一緒に写真撮る人は髪を隠して」は「うちの戦闘員まだまだジハード戦士気分が完全に抜け切ってないのであんまり刺激したくない(下手したら暗殺される)」というメッセージの模様…
そんな感じで以下続報…