【第三世代フェミニストの弾薬庫】線形代数とフェミニズム②エロスとバイオレンスの非対角成分?
以下の投稿で導入した「二項問題の対角化」概念ですが…
以下の様な状況へも応用が効きそうです。
1970年代には黒人搾取映画(Blaxploitation)のパム・グリアーや東映ピンクバイオレンス映画の梶井芽衣子のセックスアピールが一時代を形成。これを1990年代から2000年代にかけてタランティーノ監督がリバイバル。
そして2010年代、KPOPグループの一つWonder Girlsが米国進出に失敗するとキム・ヒョナがセクシー路線で米国市場を狙った。
この路線で思う様な成果が挙げられなかったキム・ヒョナが、今度はパム・グリアーや梶井芽衣子の様な非白人女性の「セクシー&バイオレンス」路線に倣ったTroublemakerを発表するとこれが国際的に大ヒット。特に(和製コンテンツが弱い)ラテン圏の着エロ文化へのアピールに成功したのが大きかったと推定されている。
そしてこの様な「セクシー&バイオレンス」路線は今日では遠藤達哉「SPYxFAMIRY(2019年~)」のヨル・フォージャーに継承されたとも。
「バイオレンスのみ」「エロのみ」を対角成分とに見立てた場合、この系統における非体格成分は以下となります。
エンターテイメント作品としての全体的組み立てとしては「作中でヒロインはどんどん酷い目に遭わされるが、最後には必ず逆転勝利を飾ると分かってるので安心して見てられる」というアレ。よく考えてみたら007シリーズといったスパイ物の基本構成でもありますね。
007映画第一作「 Dr.No(1962年)」には「接近してきた(見るからにアバズレな感じの)女密偵と寝た後、当局に引き渡す」非情な場面が存在したが観客受けが悪かったらしく、この作品にしか存在しない。
007映画「サンダーボール作戦(Thunderball、1965年)」では(原作が発表された1961年時点のアメリカではまだまだフシダラの象徴だった)ビキニ姿で初登場するヒロインが、原作同様敵のボスから拷問されるも(原作の様に瀕死の重傷を負わされる事なく)無傷同然の姿で再登場する。当時のレギュレーションの変遷を受けての改変で「スター・ウォーズ(Star Wars、 1977年)」に登場するレイア姫も敵に囚われ拷問を受けながら再登場の際にその痕跡を残していないのも同じレギュレーション。
「レギュレーションの変遷」…1960年前後はまだまだ、ブラム・ストーカー「ドラキュラ(Dracula、1897年)」に見られる「尻軽女のルーシーは死に、貞女のミナ・ハーカーは助かる」といった勧善懲悪展開が(特にアメリカの保守層において)期待される時代だった。なのでその価値観に従って「見るからにアバズレな感じの女密偵」が捕縛されたり「ビキニ水着で初登場するフシダラ女」が拷問によって瀕死の重傷を負わされたりした訳だが次第にそういう価値観は時代遅れとなっていく。1970年台に入ると遂に黒人からパム・グリアーが、アジア系から梶井芽衣子が出るが、歴史のその時点においてなお、(少なくとも保守的な人々の間では)「白人女性はそんな野蛮な世界とは無縁の貞淑な存在」なるイメージが一貫して保たれ続けていた。そんな「(当事者に自覚がない)人種差別意識に満ちた」白人女性が主導したウーマンリブ運動が不守備に終わるのは必然だったとも。
もちろん日本におけるレギュレーションにはまた別の歴史が存在する訳だが、高橋留美子「うる星やつら(1978年~1987年)」も連載開始以前の段階では「悪女」枠のラムが乳首を見せたり性的誘惑を仕掛けてくる一方、「貞女」枠のしのぶが絶対に乳首を見せないのもこの辺りのレギュレーションに従っている。当時のエピソードはあまりに以降の作品とキャラが異なるのでまずアニメ化される事はない。例えば3巻3話収録の「さよならを言う気もない」では「品行方正なあたる」と「フシダラなあたる」が分裂し、前者が「貞女」しのぶのもの、後者が「悪女」ラムのものになる事で三角関係が解消しかけたりするのである。
ここに突如登場した「悪女-貞女の二項関係」の解消過程について話し出すと長くなるので、今回は割愛。
エロスとバイオレンスの非対角成分?
ところで今回の投稿の発端投稿なったのは以下のポスト。
そして…
そして…
時代によっては台頭する「暴力のの連鎖」
そもそもの発端は学生運動が敗退していく1970年代前半における「暴力を容認する雰囲気」。
そして…
そして…
当時の日本音楽(特に児童向け番組主題歌)と国人音楽のリンクも興味深い話題なのですが、長くなるので割愛。さらにはこんな話も。
。2010年代は(最終的には扇動による動員数最大化を狙う第四世代フェミニズムを併合した)無政府主義者集団の復興期でもあり、その影響力の継続を強く感じます。そういう流れもあって、どうやら多くの国で「暴力を辞さない」原理主義的急進派が台頭して大変な事になってる様だ? ここで興味深いのが地域ごとの動向の違い。
欧州では福祉国家時代に積み上げられた手厚い危篤権を守ろうとする年長者層が穏便中道派を形成する一方、とにかく即刻現状を変えたい若者層が極右や極左などの急進派に流れ共闘の姿勢まで見せている。
米国の若者はトランプ大統領登場まで穏健な中道右派と中道左派が緩やかな連携を保っていたが、それ以降は都市在住リベラルを中心とする民主党支持派と宗教右派を含む地方在住者を中心とする共和党支持派の分断にそれぞれがそれぞれなりに巻き込まれてしまった。
日本では若者層が原則として穏健中道派に留まる一方、「学生運動時代が忘れられない」老害層がマスコミ支配などを武器に急進派を形成。
アメリカは今回の大統領選挙、日本は今回の衆議院選挙以降、また新しい動きを見せるかもしれませんが、とりあえずの現状報告という事で。そんな感じで以下続報…