「木綿のハンカチーフ」と色気の話
自分が生まれるずっと前の曲なのに、木綿のハンカチーフはいつの間にか覚えていて、今やすっかりカラオケの十八番になっている。
曲中で度々語り手が変化することにより生まれる視点の移り変わりが、一つの物語を読んだような感覚を与えてくれる(実際曲ってそういうものか)
でも単に失恋を描くのじゃなく、男女どちらも恨めないようにまとめ上げているのって、一曲として時間的制約がある中ではすごいことだと思います。
やっぱり、ふるさとにいる「恋人」の方が人物として好きになってしまう。
この曲は一見すると都会に染まりゆく「あなた」と素朴なままふるさとにいる「恋人」の構図を描いているけれど、「恋人」にある色気のようなものがどうしようもなく魅力的で心を掴まれるし、これが応援したくなる理由だと思う。
ダイヤとか真珠は要らないんだなあ、最後にお願いするのも木綿のハンカチーフなんだ。いつもすっぴんみたいだし。飾らない、飾ることを知らない女の子がそこにいる。
でもこの子、「あなたのキス」は知ってるんだ。人を愛することも愛する人が変わっていく寂しさとかも感じてるんだ。
着飾るだけでは出せない色気がここにある。おしゃれよりもっと大事な、人とか恋とかの本質のようなものが生々しく表現されていて、曲を聴く私達は「恋人」のことを本当に愛おしく思ってしまう。