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期待

じっとしていると頭の中に文章が溢れてストレスで目の下がピクピクしてきた。
ピアノを練習しようにも少し手が震えて気が散る。

そもそも本番1ヶ月前に泊まりでアイドルの推し活なんて狂気の沙汰であることは、クラシックピアノガチ勢には理解してもらえると思う。
1日サボると3日なまるだの、有名なところでいうと
「練習を一日休むと自分にわかる。
二日休むと批評家にわかる。
三日休むと聴衆にわかる。」
という世界の端くれで、サボり続けながらもただ単純に辞めなかっただけの人がわたし。それでも、この考えはなんとなく染み付いてしまっている。

という前提がありつつ

先日、ラポスタに行ってきた。(ラポスタ知らない方は読まないかもと思って省略します)
3日間あり、初日は地元のライブビューで鑑賞、2日目東京まで遠征して付近のイベントで遊ぶ、3日目はライブ。

最終日のラポスタは、ゲストがいない分、ラポネグループのパフォーマンスがもしかしたら長いかも、大好きな大好きな推しを少しでも長く見れるかもという淡い期待。2月に何か発表があるというので今日も2月だとふんわり片隅に思い、何も期待しないという人生の指針をすっかり忘れてしまっていた。

そもそもINIを好きになったきっかけが遅れて見たオーディション番組。
オーディション番組は、あの華やかな人たちでも緊張し、努力し続け、練習し、悩み…
本番の緊張に弱いわたしが勝手に勇気をもらって、その成果であるパフォーマンスをみて本当に大好きになった。
その裏にある犠牲も、作られた笑顔も、簡単な大好きも、全てが愛おしかった。大好きなプロアイドル。それは今でも。

わたしにとってINIのパフォーマンスは本当に大切なもので、様々な人が関わりメンバーが努力したひとつの芸術をみていると思っていた。それも、私の勝手。
こんなクラシック界の片隅にいるわたしですら、毎日何時間も仕事外で練習するし、いつも締切に追われていて、本当に毎日励まされていた。それも私が勝手に。

もともと、クラシック界はお高くとまっていて厳しいところがある。楽章間に間違って拍手してしまうことの是非とか、大衆ウケを気にした選曲の是非、あげればキリなく揉めていることも多く、しかしそこに居ながらもそこまで詳しくないしと距離を取っていた気がする。でもしっかり染まっていたんだなわたしは。

INIのパフォーマンス中に岡村さんが乱入してきた件について、あれはエンタメだった。予定調和。
わたしの知らない予定調和。
お笑いをみるのも嫌いじゃない。お笑いだとわかっていれば。お笑いもプロの世界だから。

わたしが、音楽に、勝手に期待しすぎたんだ。勝手に芸術作品だって、頭の中で仕上げてしまってた。
ただの資本主義のエンタメだったのに。
みんなわかってたんやね。
あらゆる犠牲と努力の上に成り立っていたはずのパフォーマンスを、少し自分と重ねて、努力できない自分の不甲斐なさを感じたり、メンバーを心から尊敬し、泣きながらみていたから、本当にびっくりした。
あ、いいんだ……

あとで、そういうもんだよって聞いた。
そういうエンタメだよって。わたしだけ真面目だったんだ。岡村さんにというより、許容したメンバーにがっかりしてしまった。断れないにしても。そうか。おいしいってことなのね。売れないと意味がないもの。資本主義社会だってことを忘れてたよ。
たくさんの人に届くには、いくら芸術性が高くたって意味なんてない。本物が認められるとは限らない。
勝手に崇高なものに仕立て上げていたのはわたしだ。
知らなかったのか忘れていたのか、アイドルってそうやったね。わかっていたのに。虚構。

だからこれまで、ハマらなかったのに人生で一度も。
どこで何をみていたんだろう。何が見えてなかったんだろう。わたしが期待しすぎてたんだ。
本当に、自分のことしか考えていない、わたし自身にとても呆れて、とても疲れた。

2キロ痩せた。ラッキー。

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