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なんで私は火鍋が食べたいって言ったんだっけ?と思いながら人波をかき分けて新宿駅東口に出た。 駅前のビルの温度計は29度。 今日は8月31日。夏はもう終わる。 先週あたりからすでに秋の匂いがしていた。 大抵何かが終わる前には、すでに次のものはやって来ている。 渋谷に続き新宿って街は本当に最低で、土曜の夜で人は多いし臭いし道は分かりにくい上に吐瀉物だって平気で転がっていて、不快感しかない。 そんな街を急ぎ足でとっとと進み、着いた先は空調が効いてるのか効いてないのかイマイ
もし、この人と出会うタイミングが今じゃなかったら。 もし、あの時出会っていなかったら。 数え出すとキリがない「もしも」。 「実は僕、結婚して子供もいるんだけれど…」と食事をした男性に二軒目に入ったバーで言われたことがある。私は動揺を隠しながら、オレンジと黄色のグラデーションの上に傘の飾りと濃いピンクの花が乗った能天気なカクテルに口をつけた。 「デート」だと思ってデコルテが綺麗に見える洋服を選んで、ピンヒールを履いてノコノコやってきた自分が突然恥ずかしくなる。 彼の話はとて