シェア
なんで私は火鍋が食べたいって言ったんだっけ?と思いながら人波をかき分けて新宿駅東口に出た。 駅前のビルの温度計は29度。 今日は8月31日。夏はもう終わる。 先週あたりからすでに秋の匂いがしていた。 大抵何かが終わる前には、すでに次のものはやって来ている。 渋谷に続き新宿って街は本当に最低で、土曜の夜で人は多いし臭いし道は分かりにくい上に吐瀉物だって平気で転がっていて、不快感しかない。 そんな街を急ぎ足でとっとと進み、着いた先は空調が効いてるのか効いてないのかイマイ
孤独を選択し続けている気がする。 こんな言い方すると勘違いされるかもしれないけど、要は寂しさを埋めるために好きでもない誰かと一緒にいるなら1人の方がマシって話。 1人でいる時間は本当に好き。だけど気楽さの中に寂しさが混じる時もある。特に何かが欠けた直後。 気持ちを紛らわすために色んなことをする。マライアキャリーのI still believeをシャワーを浴びながら大声で歌って、夜中まで友達としゃべり倒す。自分に起きたことを話すたびにどんどん悲しみは薄まるような気がする。
もし、この人と出会うタイミングが今じゃなかったら。 もし、あの時出会っていなかったら。 数え出すとキリがない「もしも」。 「実は僕、結婚して子供もいるんだけれど…」と食事をした男性に二軒目に入ったバーで言われたことがある。私は動揺を隠しながら、オレンジと黄色のグラデーションの上に傘の飾りと濃いピンクの花が乗った能天気なカクテルに口をつけた。 「デート」だと思ってデコルテが綺麗に見える洋服を選んで、ピンヒールを履いてノコノコやってきた自分が突然恥ずかしくなる。 彼の話はとて
小さくてキラキラしたペンダントがおまけで付いている玩具菓子。あの頃はお菓子の方がおまけだと思っていた。 早く全種類集めたいし、同じペンダントは欲しくない。私はしゃがみ込んで奥の方から商品を取って箱を振り、音で中身を推測して真剣に選んでいた。 私が欲しいのはかぼちゃの馬車の真ん中に大きなハートのラインストーンがついたペンダント。 箱を振りながら音を聞いているとこちらへ近づいてくるハイヒールの高い音が重なって聞こえた。母が迎えにきたのかと思って振り返ると、私の視界はブルーに占領