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容器のヒミツ☆ヨーグルトの容器には色々な制約があるのです⑹

今回は表示について、です。
たくさんのご当地ヨーグルトがあり、独自の製法、原料で美味しいヨーグルトを世に出しておられます。
ですが!
表示が間違っている!!と思う商品がたくさんあります。
「うぅ…これ違う…」とモヤモヤします。
大手メーカ様なら専門の部署がありますが、そのような部署がない場合、表示のルールはわかりにくくてメンドクサイ..。
他社製品を真似して書いておこう・・となりがちです。
表示を作られる方にはぜひ覚えておいてほしいことを、複数回に分けて説明します。

その場で食べるイートインの商品は別ですが、販売される商品には、
食品表示法という法律で決められた表示が必要です。

食品表示法とは、
JAS法
原料や原産地など商品を選ぶときのポイントとなる品質の表示ルール
食品衛生法
添加物やアレルギーなど健康や安全にかかわる表示のルール
健康増進法
栄養成分表示や栄養機能食品など健康の増進に関わる表示のルール

という、3つの法律に分かれてわかりにくかったルールを一つにまとめたものです。
引用「食品表示を見てみよう」東京都福祉保健局

容器のヒミツ☆ヨーグルトの容器には色々な制約があるのです⑵でも少し触れましたが、乳製品には乳等省令という法律があります。
食品表示法と乳等省令を基に、牛乳には全国飲用牛乳公正取引協議会、発酵乳には、一般社団全国発酵乳乳酸菌飲料協会・発酵乳乳酸菌飲料公正取引協議会※で決められた自主基準規約が決められています。(※以降 発酵乳協会)

牛乳もヨーグルトも同じ乳製品ですが、表示のルールは違います。
ここではヨーグルトの表示で気を付けていただいきたいところを、取りあげます。

詳しい規約は上記の発酵乳協会のHPに「発酵乳・乳酸菌飲料の表示に関する公正競争規約規約」が載っていますので、表示作成の際には必ずそちらをご覧ください。

①一括表示のルール(義務表示)

一括表示とは食品には表示しなければならない項目を一括にまとめて表示するものです。
ほとんどの加工食品には四角で囲まれて、製造した会社の名前だとか、何グラムはいっているか、原材料名は何が入っているかを書いてある表がありますよね。あれは書かないといけない義務表示です。

消費者の方にとって大事な情報なので、他の文章と区別がつくように、枠で囲むか、見やすく下の色を変えるかして(だいたい白地ですね)見やすい場所にわかりやすい字で表示しなくてはいけません。
発酵乳協会の規則では、各項目と共に8ポイント以上の活字で記載すると決まっています。順番を変えたり、不必要なものを記載してはいけません。

一括表示の様式
   種類別名称(種類別でも可)
   無脂乳固形分及び乳脂肪分
   原材料名
   内容量
   賞味期限または消費期限
   保存方法
   製造者

それでは順に説明します。

<種類別名称>または<種類別>
「ヨーグルト」は種類別名称ではありません。
種類別名称とは、無脂乳固形分の数値の違いによって規格が決まっています。
牛乳は【約87%の水分】と【約13%のと乳固形分】で構成されます。
その乳固形分は、【約9%の無脂乳固形分(たんぱく質、炭水化物、ミネラル、ビタミン)】と【約4%の乳脂肪分】で、構成されています。
無脂乳固形分がこの商品の中にどれだけ含まれているかで、種類別名称が決まります。

無脂乳固形分
 8.0%以上             発酵乳
    3.0~8.0%未満     乳製品乳酸菌飲料
 3.0%未満            乳酸菌飲料

「ヨーグルト」は種類別名称ではないので書いてはいけません。
また牛乳のように最初に商品名を書いているものも多くありますが、商品名の項目はありません。

《注意》
無脂乳固形分が8.0%を切る飲料は、乳製品乳酸菌飲料ですが、食べる方は「乳等を主要原料とする食品」となり発酵乳ではありません。
フルーツをたくさん入れたりして、無脂乳固形分が8.0%を切ってしまうと
○○○○ヨーグルトという商品名はNGです。
○○○○&ヨーグルトなどの商品名を変更するか、固形分を増やすかしてください。

<無脂乳固形分・乳脂肪分>
上記の無脂乳固形分、乳脂肪分を小数第二位を切り捨てし、第一位までを百分率(%)で表示します。
牛乳の表示では3.3%以上などと記載しますが、発酵乳の場合「以上」は表示しません。
1年を通じて乳の成分には、ばらつきはありますが、絶対に下回らない数値を記載してください。平均値ではありません。その数値を下回ることがあると表示違反となります。

<原材料名>
使用した原材料を、重量割合の多い順に表示し、一番多いもの(1番前に書いたもの)の原産地をかっこ書きします。
原産地はできるだけ広い範囲で書くルールです。国産が一番広い範囲となりますが、ご当地ヨーグルトなどはその都道府県の牧場の生乳を使っていることがアピールになりますから、都道府県、もしくは旧国名や地域で一般によく知られているものであれば記載してもよいとなっています。(阿蘇・信州など)

スターターに使用した乳酸菌名は原材料名としては表示しません。

使ったフルーツソースなど2種類以上の原材料からなる原材料は、その名称の次にかっこ書きで重量割合の多い順にかきます。文字が多くなってわけがわからなくなりますが、ちゃんと全部表示してください。

添加物は原材料との間を「/」で区切るか、改行して分けるか、または別に「添加物」の項目を設けて表示します。

アレルゲンを含む食品は生命に関わる原因となりますので、必ず記載が必要です。

その食品名の後ろに個別でかっこ書き
  食品名(〇〇を含む)、添加物(●●由来)
一括で最後にまとめて記載
 (一部に〇〇・●●を含む)

乳はアレルゲンの特定原材料7品目に入ります。(卵・乳・小麦・かに・えび・そば・落花生)
乳の場合は、(乳成分を含む)という記載になります。
ですが、生乳、牛乳などの後ろには乳を含むとは書かなくても良いことになっています。
ミルクやチーズなどは、言葉が違うだけで特定原材料と同一であると理解できる「代替表記」であり、牛乳や生乳は「乳」という文字で乳成分があるとわかる「拡大表記」と認められています。わざわざ同じ言葉を重複して記載しなくてもよいのです。
一括表示ではない場所に改めて書く場合は、「乳成分」と表記するのを忘れないでください。

<内容量>
「g」「㎖」ではなく、メガネグラムといわれるグラム表示(g:環境依存文字のため違って見えている場合があります)、「ml」で表示します。
デザイナー様にお願いしてラベルのデザインを作ってもらう場合、単位はきちんと伝えてください。正面の内容量の単位が違って、あとから単位だけ修正するとデザイナー様のイメージと違って何回もやり直しになることがあります。

<賞味期限または消費期限>
賞味期限または消費期限を一括表示の項目内に表示するには、スペースが小さかったり、印字するには難しかったり…。
その場合、ここには書けないので違うところに書くよ、とその場所を記載します。
「ラベル上部に記載」や、「枠外に記載」「キャップに記載」「アルミ蓋に記載」というように、容器をぐるぐる回して、え?どこ?とならないように、わかりやすく明記してください。

<保存方法>
「10℃以下で保存してください。」と具体的に表示します。
「開封後は早めに消費してください。」などは、一括表示枠外に記載します。

<製造者>
製造者名、製造所在地は記載します。
他の会社のプライベートブランドなど別に販売する者がいる場合(販売者)、表示に関して責任があるほうを一括表示枠内に記載します。そうでないほうは枠外に記載します。
HPアドレスやお客様お問い合わせ先などは、記載してもかまいません。


以上が一括表示の記載方法です。長文でしたが、これでもざっくりです。
もっと詳細にルールがありますので、実際に表示を作成される場合は、必ず発酵乳協会の規約や乳等省令をご一読ください。

続いての義務表示である栄養成分表示については次回(7)に続きます。


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