デスクワーク社会人のストレスについて、農家へ転職した人間が思うこと
私は元々システムエンジニアとして5年ほど仕事をしており、その後農業の仕事に転職しました。
システムエンジニア、というかデスクワークの世界と農業というのはまるで正反対の世界で、良い意味でも悪い意味でもカルチャーショックは多くありました。
農業の仕事に転職して何よりも感じたのは、精神的ストレスの少なさです。
農業の仕事にもどうしても精神的ストレスはあります。それはそうなのですが、前職よりも精神的ストレスは遥かに減りました。
深く考えたり悩む時間の短さと、外で体を動かす仕事であるという点がその理由であると思います。
今の農業の仕事は、デスクワークほど複雑に何かを思考し続けるという状況はほぼありません。
ひたすら苗を植えたり肥料を撒いたりと同一の作業の反復という状況が基本的には多いです。
一度感覚を掴んでしまえば後は体力勝負となるような事が多く、長時間集中しながら物事を考えたり、人と人の間のコミュニケーションのストレスが生じるような場面が少ないため、一日ごとのストレスの量がだいぶ違うことを感じます。
また屋外の仕事というのも重要なポイントであると思います。
農業の仕事の中にも屋内の仕事と屋外の仕事がありますが、屋外の仕事のほうが気が晴れると周りの人もよく言います。
(ただし、屋外の仕事は肉体的疲労がきついことが多い)
一方でデスクワークの世界でやっていた頃のことを思い出すと、やっぱりデスクワークというのはどうしてもストレスが溜まりやすくなっていると感じます。
特に今時のITが発達したような世界では、1人あたりが1日に処理しなければならない情報の量、思考の量というものは凄まじいもので、コミュニケーションツールが発達して昔より簡単に多くの人とのコミュニケーションが可能になった分、それらを駆使してより密度が高く多量の情報をやり取りすることが求められるようになりました。
そもそも、1日中部屋の中で誰かと連絡を取り合ったりしながら集中して仕事をし続けなければならないというのが人間的には相当なストレスです。
どちらの仕事が良いのか、といった話はその人によるとしか言えないのですが、私は思い切って転職をしてみて、世の中には無限に選択肢があるし、自分が思いつききらないような数の仕事が世の中にはあり、人生の選択肢というのは思った以上に幅広いものであるということを考えるようになりました。
結局農業は農業で、デスクワークの精神的ストレスに負けないくらいの肉体的ストレスがあるので、デスクワークに疲れたら肉体労働の仕事に転職して全て解決というわけにも行きません。
ただ選択肢がたくさんあるということを常に忘れずにいられれば少し楽になる人もいるかも知れません。