モンテソッリー式のトイトレ③
昨日は急な"Teacher's Workday(先生たちが保育以外の仕事をする日)"というアメリカの保育園でよくあるお休みだったため、記事更新が1日空きました。(息子と長い長い1日を過ごしました。笑)
日本で息子が通っていた保育園では、事務兼務の先生でも子どもと過ごす時間が多く見え、「いつ事務作業をしているの?残業も多いのかな?」と心配してしまうほどでした。一方、アメリカでは先生たちが保育以外の作業に専念できるような日がきっちりと設けられており、仕事に合理性や効率性を求めるアメリカらしいな、と思います。先生たちは、最後の園児のお迎え時間(17:30)のすぐあとに、きっちりと帰宅しています。
(ちなみに昨日はアメリカ大統領選挙でもありました。結果は各種メディアに取り上げられている通り…。付き合いのあるアメリカ人は全員リベラルなので、「どうしてこうなるの?私の周りにはトランプ派はいないのに、私たちはマイノリティーなの?投票したのに?」と絶望的なコメントをちらほら見かけます。私自身は2016年NY滞在中に盛り上がった選挙で一度絶望感を味わったので、今回は感情が「無」と言えるほど言葉が出ません。こちらについても書きたいです…。)
さて、気を取り直して…前回は"Toilet Awareness"(著者:Sarah Moudry)の第3章を簡単にまとめ、翻訳しました。モンテソッリー教育やトイトレの専門家ではありませんので、私なりに解釈した内容も含まれますこと、ご了承ください。
取り上げている本はこちら:
目次はこちらです:
今回は、第4章の内容をご紹介します。
4.The Language You Use(使用する言葉)
子どもの生活のあらゆる場面で正しい言葉を使用することは重要です。その際、子どもと目線を合わせ、赤ちゃん言葉や作り言葉を使わずに、はっきりと意図をもって話しましょう。
正しい言葉を使うことは、脳が発達するにつれて自然と身の回りの物の名称を知りたいと思う、子どもの学習に役立ちます。また、言語への理解や他人とコミュニケーションをする際の助けになります。
言語習得の初期段階では、子どもは大きなカテゴリーを一つの言葉で表します。例えば、四足歩行の動物はすべて「犬」と言います。そのうち「牛」とか「キリン」等、他の言葉での表現ができるようになります。
その後の発達段階では、複数の言葉を組み合わせて、物やその動きを表現することを覚えるようになります。赤ちゃん言葉や作り言葉を使用した場合、子どもはその言葉を学びなおす必要があると同時に、相手が自分の発言を理解してくれない場合、不必要なストレスがかかるため、大人が正しい言葉を継続的に使用することは大事です。
正しい言葉を継続使用することは、子どものトイトレにも役立ちます。同じ言葉が誰に対しても難なく通じれば、自信を持ってトイレに行くことができるからです。
トイトレは言葉を覚える絶好の機会でもあります。身体の部分や機能、そして身の回りの物の名称を覚えることができます。赤ちゃん言葉や作り言葉はこのプロセスを遅らせると同時に、他のことに利用できるはずのエネルギーを無駄に消費してしまいます。
手話も子どもの表現を手助けする一つの手段です。Receptive language (言葉を理解する能力)は、Expressive language(表現する能力)よりも早く発達します。子どもがトイレに行く際に、手で"t"の文字を作り(手をグーにし、人差し指と中指の間に親指を入れる)、前後に振り、「トイレ」と繰り返し教えてください。そのうち、自分から手話でトイレに行きたいことを示してくれるようになります。
いかがでしたか?
実はこの章、息子のトイトレ中にはサラッと読み流していたのですが(笑)、今回は「言葉遣いをここまで取り上げるのはなぜ?」と考えながら翻訳をしました。
「継続して正しい言葉を使用すること」
一番大事なことは、子どもが自信をもってトイレに行けるようになることで、これがトイトレをスムーズに進める鍵となるようですね。自信を持つことは、モンテソッリー教育の「自立心」を促すことにも繋がるので、とても大事なことだと気付くことができました。
尚、アメリカでも赤ちゃん言葉があるように、子どもを育てる過程ではどうしても赤ちゃん言葉を使用してしまいがちです。完璧な育児は難しいので、私自身はある物や事柄を表す時には、厳密に正しい言葉ではなくても、継続して同じ言葉を使い、子どもを混乱させないように気を付けています。
例えば、この本ではトイレに行きたい時には、最も正しい"Toilet"という言葉を使っていますが、アメリカでは赤ちゃんがトイレに行きたい時に、"Potty"という言葉をよく使います。息子も保育園では"Potty"と言っているようなので、家でも"Potty"(または日本語では"トイレ")を使用しています。息子の場合は、英語がトイトレ完了後に出るようになったので、最近は家でも"Potty"と言うことが多いです。
「手話」
また、個人的に「手話」はとても興味深かったのですが、私のアメリカ人のお友達は、子どもがお腹がすいた時に手話(ベビーサイン)を取り入れていました。娘さんはまだ2歳前で言葉数は多くなかったのですが、ベビーサインなら言葉を使用しなくても表現できます。子どもを授かるまで小さい子ども相手の仕事をしていた彼女のことだったので、そのやり方に関心したのを覚えています。
言葉が出る前から赤ちゃんは意志があります。言葉が出ない子どもは、要求が相手に伝わらないと、泣きます。言葉が出ないうちは、言葉ではなくベビーサインで伝えられれば、子どもの泣く回数が減る、と考えると、大人にとっても大助かりですよね。
少し調べたところ、ベビーサインについては"Baby Signing Time"というアメリカのメソッドがあるようです。私は息子の泣く回数を減らせることを期待して、あらゆる要求に対し「お腹すいたのね」とか「オムツが気持ち悪いのね」とか、言葉を意識的に教えるようにしていました。言葉をたくさん教えたからか、泣きわめくことは少なく感じますが、息子が2歳になる前にベビーサインについても知っていればよかった…と思います。
次回はモンテソッリー教育が重要視している「自立心」にかかわる、第5章と第6章を取り上げていきます。