モンテソッリー式のトイトレ⑤
アメリカの東海岸もいよいよ寒くなってきました。今年は寒くなるのが遅く、本日ようやく今年初めてコートを着て、息子を保育園まで送りました。
さて、今回はようやく、トイトレの実際のプロセスについてご紹介します。前回は"Toilet Awareness"(著者:Sarah Moudry)の第5章と第6章を簡単にまとめ、翻訳しました。モンテソッリー教育やトイトレの専門家ではありませんので、私なりに解釈した内容も含まれますこと、ご了承ください。
取り上げている本はこちら:
目次はこちらです:
今回は、第7章の内容をご紹介します。
7.The Process(プロセス)
◆トイトレを始める際には下記ステップを1から順に、行いましょう。
トイトレを始める日を決めましょう。
トイトレに必要なアイテムを揃え、環境を準備しましょう。
子どもが朝起きたら、準備した環境まで連れていき「今日からトイレを使うよ」と伝えましょう。
準備した環境にあるアイテムの名前を教えてあげましょう。
「まずはパンツ(またはオムツ)をおろすよ」と伝えましょう。
子どもにパンツ(またはオムツ)の両端に親指を入れることを教え、そのまま下までおろすことを教えてください。
着替え用の椅子があれば、子どもに座らせ、パンツから足をひとつずつ出させてみましょう。
汚れものを入れる場所(かご等)示し、「汚れてしまったものはここに入れてね」と教えましょう。
子どもに汚れたパンツを汚れものを入れる場所(かご等)に持っていかせてください。もし嫌がる場合には、無理せず、サポートする大人が行いましょう。無理強いすると力関係の問題から、このプロセスを進めることが難しくなります。ただし、ほとんどの子どもは、かご等に自分でものを入れることを楽しめるはずです。
トイレを指し示し、「トイレに座ってみて。」と伝えましょう。
子どもがトイレに座ったら、そこで少し落ち着く時間をとりましょう。「もしおしりに力が入るのを感じたら、それはおしっこだから、そのままトイレに出せるよ。」と言ってもよいでしょう。子どもには新しい出来事なので、すぐに理解はできないかもしれませんが、何が起こっているのかを度々伝える機会を作れば、徐々に言葉に慣れ、理解できるようになります。
トイレができたら、簡易トイレの中身を捨てる間に(普通のトイレに補助椅子などを付けている場合にはこのプロセスはありません)、着替える場所に移動させましょう。トイレの中身を捨てる作業に、興味を示す子どもは多いはずです。可能であれば、子どもがしたいことは一緒にさせてあげましょう。家を汚す可能性がある場合等、何か懸念点がある場合には、無理をして一緒に作業をする必要はありません。大人が安心できる範囲で子どもと一緒に作業をしましょう。
新しいパンツが入っている場所(かご等)を子どもに見せましょう。「これは○○ちゃん/くんの新しいパンツだよ。新しいパンツはここに入っているからね。」と教えてあげましょう。
子どもに、パンツは両端に親指を入れて、足をひとつずつ入れると履けることを、見せながら教えましょう。
両足がパンツに入ったら、立つように促し、パンツの前を持って上にひっぱることを教えましょう。「私が後ろを持って上げるから、○○ちゃん/くんは前を持って上げてね。」と言い、一緒に作業しましょう。
手洗い場に行き、手を洗うのを手伝ってあげてください。
「一日の間に何度もトイレにいくことがあること」そして「トイレはいつでも使ってよいこと」を、子どもに教えてあげましょう。
多くの子どもは新しいプロセスを繰り返し行うことが好きです。好きなだけさせてあげましょう。
上記プロセスのうち、パンツを脱いでトイレに行くまでのステップは:
子どもが起きている間、1時間ごとに行いましょう。
子どもが漏らしてしまった場合に行いましょう。
トイトレを始めた瞬間から、子どもがトイレ周りの適切な使い方を理解することが大事です。新しいパンツを汚れものを入れる場所に入れたり、簡易トイレを動かして遊んだり、といったことをさせないようにしましょう。トイレに座る間に遊び相手にならないように注意しましょう。
子どもをトイレに連れていくタイミングには、例えば下記があります:
起床の直後
食後
外出前
着替える時
入浴前
違う遊びに移行する時(休憩時)
就寝の直前
◆観察して調整する
トイレ環境を紹介できたら、毎日このルーティンを進めましょう。子どものトイレに行く間隔が1時間以上あくことがわかれば、2時間ごとにするなど、子どもの進捗に応じて調整していきます。
子どもが順調にトイトレを始めたかと思いきや、1~2週間経って、急に後退してしまうことがあるかもしれません。これは普通のことです。それでも同じルーティンを繰り返すことが重要です。後退するのは、どこまで許されるか試したり、毎日同じルールが適用されるかどうかを確認するための、子どもなりの方法なのです。批判や苛立ちを持たずに、そのまま続ければ、一緒に乗り越えられます。
子どもに無理強いをさせてトイレに座らせる必要はありません。でも、子どもがトイレに行きたくない時はどうすれば良いでしょうか。大人はそれでも、毎日トイレに座ることを期待されていることを子どもに示さないといけません。「パンツを下ろして、お尻をトイレに触れさせ、またパンツを上げる」ことだけでも、それを示すことはできます。次の瞬間、またトイレに座ってくれるかもしれないし、あるいは反対に、大人に対して憤慨するかもしれません。それは普通のことです。そんな時には、「次はおしっこに行きたくなるかもね。」と声をかけてあげてください。
一貫したルーティンは、子どもが自分のトイトレをコントロールできるようになるために必要です。自分の体の機能をコントロールできると感じると、トイトレで成功できるようになります。
いかがでしたか?
後退についての実体験
私も一番最初に息子とトイトレを始めたときには、「順調順調!すぐに進みそう!」と思っていたのですが、急に「トイレが痛いから座らない。」と拒否され、ついに座ってくれなくなった時期がありました。その時に「痛い」の意味をきちんと考えて改善してあげればよかったのですが、「トイレに座りたくないから"痛い"と言っているのでは?」と勝手に決めつけ、すぐに改善しなかったんですね。
状況としては、外出時に利用するために買った簡易トイレを家のトイレの上に置いて使っていました。実際にそのよう使うこともできるものですが、息子の場合は、そうした時に足の太股部分がひっぱられて痛かったようなんです。それを理解した瞬間、家のトイレに設置できる階段付きの補助トイレを即購入しました。
しばらく座らなかった時期はありましたが、以前こちらの記事でご紹介した通り、幸いにも息子の好きなキャラパンツで再開することができました(笑)。そして、補助トイレも更新していたので、痛みはもう感じなくなり、安心して座ってくれるようになりました。
この経験と今回ご紹介した内容を照らし合わせてみると、「環境を準備すること」と「観察して調整する」というのがすごく大事だったと実感しています。加えて、「安心感」を与えてあげることも非常に大事ですね。
一貫したルーティンを子どもに示す
また、この本を読んで目から鱗だったのが、拒否された時の対応方法です。読んでいなかったら諦めかけていたと思うのですが、幸いにも本を読んでいたので、拒否をされた場合でも、「トイレに行き、パンツを脱いで(脱がせてくれない時はパンツをしたまま)、便座にお尻を触れさせ、パンツを履く」という動作を継続して行うようにしました。ものすごく怒られても、抱っこしてお尻を便座にタッチさせました(笑)。便座にタッチするまでにいかなくても、トイレ環境に行くだけでも良いかもしれません。
「毎日トイレに座ることを期待されていることを子どもに示す」というのは、どれだけ子どもに嫌われても、大人がめげずに続てあげないといけない部分と思いました。
それでは次回は第8章を見ていきます。多くの親が荷が重いと感じる、外出時の対応に関する話題です。